ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

旅人の影

2025-01-28 12:14:39 | 
馴染みの店がまたひとつ消え
跡地は住宅に占められている
小さな物語が終わりを告げ
またひとつ街は色褪せた

振り返れば細々とした道
妙に嫉妬深い日もあれば
なぜか感慨深い日もあった
支え合う喜びに満たされた日もあったろう
不意に訪問した悲しみに崩れ落ちた日もあったろう
この世に打ちひしがれながら
笑って生きる人間の曲芸

誰もが時の住人であるからには
確かに今日の自分は最も老いていて
しかし今日の自分は最も若い
どちらを選ぶかは心に吹いた風にまかせ

不安を抱えていた朝が遠くに見える
ともかく一日が終わろうとしている
優しい月がなだめるように旅人を照らす
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