九月十一日(日)雨後曇り。
どうも歳のせいか、六時前には目が覚めてしまう。日曜日なので家族は起こさずに、雨の音を聞きながらリビングにて読書。辻政信の『潜行三千里』を読了する。良い酒と、良い本は同じで、イッキに飲んで、読んでしまうのが惜しくてチビリ、チビリとやる。飲み終えてしまった、読了してしまった後のむなしさ・・・。酒は、金さえあれば、同じ銘柄の物を味わえるが、本はそうもいかない。楽しいと思う本に巡り会うのは、本当に偶然の出来事でしかない。
「義務」として本を読まなくなってから久しい。若い頃は、娯楽や息抜きのためではなく、運動に関わっている以上、政治的、思想的、あるいは時局に関する本を「義務」として読んだ。たしなみとして読んでいるうちに、楽しみに変わることもある。と言うことを知ったのもその頃のことだ。本を読むのに、ある程度の教養も必要だが、一番大切なのは、読書をする体力をつけることだと思う。そのためには、つとめて大冊の本に挑戦することだ。五巻も十巻もあるような本を読了した時の達成感。こういった読書を二、三年続けると、驚くほど読書の理解力が高まる。そして乱読の時を二年ほど持つ。若い頃に四年ほど、こういった読書の修行の時を持つことは、とても大事な事であると、実感している。
北朝鮮の核実験に、韓国はもとより、日本もアメリカも右往左往している。何百回の「遺憾の意」を表明しても、国連で非難の決議をしても、北朝鮮は、痛くもかゆくもないだろう。カダフィー、チャウシェスク、フセイン。これらの独裁者が核を保有していたら、あのように無残に殺されたのであろうか。それを一番よく知っているのは、首領様本人であろう。迎撃ミサイルのPAC3なんて何十基用意したって、気休めにもならない。とどのつまりは、核報復攻撃を出来る国防体制を確立する以外にない。中国、北朝鮮、ロシアと言う三匹のシン・ゴジラが、我が国への上陸を虎視眈々と狙っていることの現実から目を背けてはいけない。今日も、大人しく「黒霧島」を相手に、酔狂亭で独酌>
そう言えば、「独酌」の詩があるのを思い出した。
権徳輿『独酌』
独酌復独酌 独酌 復独酌
満盞流霞色 満盞 流霞の色
身外皆虚名 身外 皆虚名
酒中有全徳 酒中 全徳有り
風清与月朗 風清と月朗
対此情何極 此に対す 情何ぞ極まらん
独り酌み 又 独り酌む
盃に満つる仙酒の色。
我身の外にあらはるる物は皆虚名のみ
酒を飲む中にこそ完全なる徳は有れ。
風清く月朗らかなる時
この酒に対へば面白きこと限りなし。
(訳・青木正兒)
どうも歳のせいか、六時前には目が覚めてしまう。日曜日なので家族は起こさずに、雨の音を聞きながらリビングにて読書。辻政信の『潜行三千里』を読了する。良い酒と、良い本は同じで、イッキに飲んで、読んでしまうのが惜しくてチビリ、チビリとやる。飲み終えてしまった、読了してしまった後のむなしさ・・・。酒は、金さえあれば、同じ銘柄の物を味わえるが、本はそうもいかない。楽しいと思う本に巡り会うのは、本当に偶然の出来事でしかない。
「義務」として本を読まなくなってから久しい。若い頃は、娯楽や息抜きのためではなく、運動に関わっている以上、政治的、思想的、あるいは時局に関する本を「義務」として読んだ。たしなみとして読んでいるうちに、楽しみに変わることもある。と言うことを知ったのもその頃のことだ。本を読むのに、ある程度の教養も必要だが、一番大切なのは、読書をする体力をつけることだと思う。そのためには、つとめて大冊の本に挑戦することだ。五巻も十巻もあるような本を読了した時の達成感。こういった読書を二、三年続けると、驚くほど読書の理解力が高まる。そして乱読の時を二年ほど持つ。若い頃に四年ほど、こういった読書の修行の時を持つことは、とても大事な事であると、実感している。
北朝鮮の核実験に、韓国はもとより、日本もアメリカも右往左往している。何百回の「遺憾の意」を表明しても、国連で非難の決議をしても、北朝鮮は、痛くもかゆくもないだろう。カダフィー、チャウシェスク、フセイン。これらの独裁者が核を保有していたら、あのように無残に殺されたのであろうか。それを一番よく知っているのは、首領様本人であろう。迎撃ミサイルのPAC3なんて何十基用意したって、気休めにもならない。とどのつまりは、核報復攻撃を出来る国防体制を確立する以外にない。中国、北朝鮮、ロシアと言う三匹のシン・ゴジラが、我が国への上陸を虎視眈々と狙っていることの現実から目を背けてはいけない。今日も、大人しく「黒霧島」を相手に、酔狂亭で独酌>
そう言えば、「独酌」の詩があるのを思い出した。
権徳輿『独酌』
独酌復独酌 独酌 復独酌
満盞流霞色 満盞 流霞の色
身外皆虚名 身外 皆虚名
酒中有全徳 酒中 全徳有り
風清与月朗 風清と月朗
対此情何極 此に対す 情何ぞ極まらん
独り酌み 又 独り酌む
盃に満つる仙酒の色。
我身の外にあらはるる物は皆虚名のみ
酒を飲む中にこそ完全なる徳は有れ。
風清く月朗らかなる時
この酒に対へば面白きこと限りなし。
(訳・青木正兒)