二月二日(土)晴れ。
良い天気だ。横浜は二十度まで気温が上がった。この時期の暖かさは、何となく嬉しいものだ。家族が揃って朝食。メニューは朝粥。我が家のお粥は、中華風だ。お米に鳥のももを入れて、お米の八倍から十倍のお水を入れて炊く。炊き上がったら、少し、蒸らすのがコツだ。そうすると、お米が水分を吸って、より柔らかくなる。
私が漬けた白菜のおしんこに、頂き物の塩鮭。朝日の中で家族揃って朝食をとる。こんな当たり前のことが、幸せに感じてしまうほど、小市民的な生活に甘んじている。まあ家族が恙なく暮らしているだけで、良しとしなければ。
先日、女性の「箸の持ち方が気になる」と書いたが、読了した「孤愁」に、こういう一文がある。「見事ですね、日本女性は。箸の持ち方、使い方、置き方、そして箸を伸ばす時にそれとなくたもとを押さえる仕草、どこか含羞の色を浮かべた眼差し、すべてが優雅です。芸術です。本質的問題は、文明とは程遠いアフリカやアジアの果ての果てに、どうしてこの日本という宝石のような国が存在するのかということです。その自然の佇まい、鮮烈な季節の変化、精緻(せいち・非常に細かい所まで注意が行き届き、よく整っていること)玲瓏(れいろう・美しく澄みきっているいるようす)な芸術、とりわけ日本女性は宝石中の宝石です」。
嗚呼、明治は遠くになりにけり・・・。か。夜は、暇なので、愚妻とレンタルしてきた「天地明察」という映画を見た。「おくりびと」で第八十一回アカデミー賞外国語映画賞を受賞した滝田洋二郎監督が、冲方丁原作の時代小説を映画化したもの。江戸時代前期、八百年もの間国内で使用されてきた中国の暦のズレを正し、日本独自の暦作りに専念した実在の人物安井算哲の半生を描いたものだが、これが中々良かった。最近は、こういったほっとする映画が少なくなった。