なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

高齢者の肺癌

2012年09月13日 | Weblog

 「相談があるんですが」と、他の医師から相談を受けた。

 94歳女性で肺癌だった。家族の話では、2年前に胸部異常影を指摘されて、内科医院から基幹病院呼吸器科に紹介された。高齢なので肺癌で間違いないとしても治療の対象にはならないため、経過観察となったらしい。

 今回は軽度の呼吸苦があり、当院の救急外来を受診した。酸素飽和度が低下(室内気で酸素飽和度88~89%)していた。左上肺野に腫瘤を認め、胸膜陥入像を伴っていた。入院して少量の酸素吸入を開始して、症状は軽快した。食欲も十分あるという。肺癌そのもので低酸素になるがというと、よくわからない。といってCOPDでも間質性肺炎でもない。陳旧性肺結核の残存陰影が少しあるが、それでも説明しがたい。経過が長いので、画像上明らかではないが、癌性リンパ管症になりつつあるのか。

 この年齢までひとり暮らしをしていて、子供たち(といっても70歳前後)は、引き取って同居することはできないという。退院するとしても在宅酸素療法継続になるし、さすがに家事はできない。予後は3~6か月見込める状態で、その間ずっと病院に入院したままというわけにもいかない。在宅酸素になると、施設での受け入れはできない。療養型病床のある病院に転院依頼して、ベット待ちにするしかないようだ。

 病状がもっと進行していて、予後があと1か月という状態ならば、そのまま入院継続となる。まだまだ持ちそうなので、いったん退院にするしかないというのも変な話だが、今の入院費のシステムではやむを得ない。

コメント
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