71歳男性。パーキンソン病で神経内科外来に通院していた。移動は車椅子で、嚥下障害のため食事摂取はかなりむずかしくなっていた。この前の日曜日、日直をしている時に救急搬入された、妻の話では、何日も食事がとれず(飲み込めず)、次回の外来予約まで待っていると死んでしまうと思ったという(受診の遅れで死亡すると自分の責任になると思ったそうだ)。胸部X線・CTでは誤嚥性肺炎があった。入院後、抗菌薬投与して肺炎は軽快した。聴覚言語療法士にみてもらうと(みてもらうまでもないが、形として)、嚥下は無理だろうという。
寝たきり状態で生活全般に全介助とはいえ、71歳だとまだまだ生きてもらわなければならない。妻に話をして内視鏡的胃瘻造設術を行う予定とした。パーキンソン病でずっと診てきた神経内科医に胃瘻にすることを話すと、「患者さんがそれでよければと」不満そうに言われた。パーキンソン病で使える薬を全部使ってがんばってきただけに、残念な気持ちがあるのだろう。うちの父親もパーキンソン症状が続いて、嚥下障害で胃瘻も作ったが、最期は誤嚥性肺炎を繰り返して亡くなった。この患者さんはどうなるだろうか。