83歳男性。以前に「胸に曇りがあるといわれたが、その後検査していない」という訴えで内科新患外来を受診した。当院で胸部X線を撮影した履歴はなかった。どこで言われたのかわからないらしい。検査すると胸部X線・CTには気腫性変化があり、慢性閉塞性肺疾患(肺気腫)だった。長年の喫煙歴があるが、今は禁煙している。スパイロは正常域だった。
泌尿器科から前立腺肥大症で処方を受けていた。カルテをみると被害妄想的な発言が続いて、聞いているときりがないので義務職員を読んで対応してもらったようだ。今日は内科外来でも、毒をもられた・国からいじめをうけていると繰り返し訴える。そのうち首相や市長が犯罪者だと言い出した。具体的なことは言わず、ただ毒を盛られた、いじめを受けているというのを繰り返した。精神科受診を勧められたこともあるが、行く気はないようだ。精神科ではどのような病名をつけるのだろうか。認知症はなさそうだ。おそらく高齢になってからのことなのだろう。といって、数か月の経過ではなく数年以上なので、脳の器質的な疾患(前頭葉の脳腫瘍など)が起きているのも考えにくい。妄想性障害ということになるのか。
とりあえず内科には胸部疾患の検索で来たはずなので、タバコの病気を認めるが、今は禁煙しているので問題はない、このまま禁煙を続けて下さいとお話しした。今日は泌尿器科外来の予約が入っていたので、では泌尿器科に行きましょうかというと、案外にあっさりと腰を上げてそちらの外来へ歩いて行った。腰は少し曲がっているが、年齢の割にスタスタと歩いている。抗精神薬を少量使うと良くなるのかもしれないが、初めて診て正確な診断もつかないのに処方するのはためらわれる。また何度も受診するようなら処方を考慮しよう。承諾すれば、念のため頭部CTかMRIをみておくのがよいだろう。