日曜日の日勤帯に、神経内科外来に通院している78歳男性が救急搬入された。両側肺炎があり、嚥下障害が進行していたころからは誤嚥性肺炎と判断される。
4年前に意欲の低下・幻視・パーキンソニズムで発症していた。パーキンソン病というよりはレビー小体型認知症になるか。幻視・REM睡眠行動異常・認知症があり、精神科病院でも相談していた。
神経内科の外来カルテにはこれまでの経緯が記載されていた。カルテにこれまで経緯をコピーして、さらに新規の記事を追加するという形式になっている。
経口摂取ができなくなった時、肺炎を来した時の対応が書かれていて、胃瘻造設はしない、気管挿管・人工呼吸はしない(心臓マッサージ=胸骨圧迫もしない)とあった。
先月に神経内科の外来受診時には、経口摂取が難しくなっていて、仙骨部に褥瘡ができている。できるだけ自宅で過ごすと言うことなのだろう。
日直は外科医だった。肺炎の治療は酸素吸入・抗菌薬・点滴を行い、治療に反応せず病状が悪化した際にはDNARの方針で家族の合意があった。内科の当番は別の内科医だったが、連絡はせず、外科医が主治医となって入院治療を開始していた。
ゾシン(PIPC/TAZ)で開始して、酸素吸入3L/分で酸素飽和度は良好に保たれている。肺炎自体は軽快治癒になりそうだ。
そうなると、嚥下訓練をして経口摂取は無理となった場合、対応としては、1)末梢静脈からの点滴をしながら少量でも経口摂取を続ける、2)高カロリー輸液を行う、の2つのどちらかになる。(通常は3)胃瘻造設・経管栄養もあるが、この患者さんでは選択されない)
家族はどちらを選ぶのだろうか。