先月急性腎盂腎炎で入院していた93歳女性が腹痛を訴えた。腹部CTで右鼠経ヘルニア嵌頓を認めて、地域の基幹病院外科に搬送した。
手術はしてもらったが、消化管穿孔からの腹腔内膿瘍があり、抗菌薬を投与していた。家族の話では、急性期病院なので長くは入院できないと言われたそうだ。
当院に転院の依頼が来て、術後のADL低下のためというような話だった。転院を予定したが、その後に酸素吸入をしているという情報が入っていた。
今日転院してきたが、酸素吸入をして、左上腕からPICCが挿入されていた。昨日まで抗菌薬(セフメタゾール)が投与されていた。炎症反応は当初のCRP30よりは軽減しているが、直近でCRP10だった。(利尿薬も投与あり)
胸腹部CTで腹水があり、腹腔内の脂肪織に炎症像を認める。両側胸水貯留があり、胸水に接した肺は無気肺になっているか、浸潤影を呈しているようだ。
食事が出ていて、嚥下調整食2-1を1割くらい摂取していたと記載されている(看護師さんの記録)。転院後に食事介助をしてみたが、数口食べたが、口腔内の残っていた。実際は経口摂取が難しいようだ。
高カロリー輸液と抗菌薬投与で治療を継続するしかなかった。家族に腹腔内膿瘍と肺炎の治療(と心不全の治療)を継続しますと伝えると、はっきり言ってもらってわかりやすいと言われた。
先方の病院では危ないと言われて、病状を説明されたが、何だかわからなかったという。たぶん詳しく病状を説明されたのだろうが、当方の単純な説明の方が確かにわかりやすいかもしれない。
経口摂取は難しくても、抗菌薬を中止できて、高カロリー輸液で経過をみられるところまで持っていけるだろうか。93歳を手術してもらったのはありがたかった。PICCを挿入してくれていたのも、とてもありがたい。