なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

アタラックスP

2021年11月27日 | Weblog

 水曜日の当直の時に、36歳女性が救急搬入された。午前0時を少し回ったところだった。

 症状は午後8時ごろから始まっためまい、嘔気、頭痛ということだったが、一見したところは過呼吸だった。手指がしびれるという。看護師さんがもっとゆっくり呼吸して、と呼び掛けていた。

 嘔吐があるので、横にしたり、ガーグルベースを当てたりしていたが、すみませんと小声で答えている。当初は精神的に問題のある方ではという気がしたが、そうではないようだ。

 頭痛と言っても突発したものでもなく、それほどではないらしい。めまいは回転性ではなく、ふらつくということだった。嘔気・嘔吐の方が主症状のようになっている。といって腹痛はなかった。血圧、心拍数、体温、酸素飽和度などのバイタルは問題ない。

 その日はすでに、急性腎盂腎炎の高齢女性と頭部打撲の超高齢女性(98歳)を入院させていた。最近の当院は時間外の入院はゼロか1名程度なので、当直の看護師さんとしては3人目の入院か(今日は当たる日だ)と思っていたろう。

 点滴をして、吐き気止めの注射(プリンペラン)をした。全体的には不安・興奮で夢中になっているという印象だったので、アタラックスP点滴静注をして休んでもらうことにした。

 眠気が強く出過ぎることもあるが、ちょうどいい感じに落ち着いた。夫は県外に単身赴任で子供(すでに就寝)は姑にお願いしてきたので、家族は誰も来ていない。

 そのまま朝まで休んでもらって、朝の状態で検査を行うことにしていた。午前8時前に処置室に行ってみると、すっかり症状は消失していた。

 ふだん特に病気はなく、今回のようなエピソードもなかったようだ。今回おかしくなった原因はわからないが、子供が心配なので帰りたいと言う。家庭環境を詳しく訊く必要もなさそうだ。検査も不要だろう。

 2本目の500mlの点滴はまだ100mlしか入っていないが、そこで抜針して帰宅とした。

 

 この前メニエール病の男性が救急搬入された時にも、アタラックスP点滴静注を行った。叫ぶような嘔気・嘔吐がうまく治まっていた。

 アタラックスPの立ち位置がどうなのか専門家(精神科?)に訊いてみたいが、抗ヒスタミン薬で安定剤的に作用するが、不思議な薬ではある。

 

コメント
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