なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

ステロイド糖尿病

2021年11月10日 | Weblog

 肺炎で入院した91歳女性は軽快したものの、在宅介護が困難のため、施設入所待ちとなっている。

 この患者さんは3年前にも肺炎で入院していた。肺炎自体は抗菌薬投与(セフトリアキソン)で軽快していたが、途中で肝機能障害を認めた。

 薬剤性肝障害が考慮されたが、中止後も継続して悪化した。トランスアミナーゼが最大4桁まで上昇していた。肝炎ウイルスマーカーは陰性だった。

 自己免疫性肝炎疑いだったが、抗核抗体は陰性で抗ミトコンドリア抗体が陽性だった。胆道系酵素も上昇しているため、臨床的に自己免疫性肝炎(AIH)と原発性胆汁性胆管炎(PBC)のオーバーラップを考慮した。

 担当は内科専門医の専攻医の地域医療研修で来ていた若い先生だった。相談されたか覚えていないが、肝機能障害なので消化器科医に相談していたのだもしれない。

 プレドニンを30mg/日から開始して、肝機能は軽快してきた。その後漸減して、プレドニン5mg/日で継続されている。ウルソ600mg/日が併用されていて、肝機能は正常域だった。

 今回の入院でも抗菌薬はセフトリアキソンを使用したので、薬剤性肝障害ではなかったことを証明したことになる。(完全に否定できないので、他の抗菌薬の方がよかったのだろう)

 

 もともと糖尿病があり、DPP4阻害薬・メトホルミン・α-GIが処方されているが、HbA1cは8%くらいだった。今回血糖をみると、空腹時血糖はそれほどではないが、昼食前、夕食前と高値になる。ステロイド糖尿病らしい変動だった。

 施設入所になるので、DPP4阻害薬+持効型インスリンで行こうとしたが、昼夕は高めになる。毎食直前に超速効型インスリンを少量入れると血糖は良くなるが、入所する施設の事情を聞かなけれならない。(インスリン注はダメな施設、1日1回ならインスリン注ができる施設、インスリン強化療法でも対応可能な施設がある)

 後は、プレドニンを漸減中止できないかということになる。軽度のAIHならばウルソだけでも治療可能だ。プレドニンを1mgずつ減量してみたいが、施設入所が決まった時に再燃してしまう可能性がある。

 今回再検してみたが、抗核抗体は陰性で抗平滑筋抗体も陰性だった。抗ミトコンドリア抗体は弱陽性だった。3年間プレドニンを投与しているので、続発性副腎皮質不全になっている可能性もある。よけいなこと(プレドニン漸減~中止)はしない方がいいか。

 

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