なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

脳梗塞の血糖管理

2021年11月16日 | Weblog

 昨日、内科再来に神経内科から院内紹介が来ていた。その日脳梗塞の67歳男性が、地域の基幹病院脳神経内科から当院の回復期リハビリ病棟に転院してきていた。担当の神経内科医からの紹介だった。

 心房粗動・慢性心不全・高血圧症・糖尿病などで内科クリニックに通院していた(抗凝固薬はなかった)。心房粗動となっているが、心電図をみると、RR間隔は一定ではない。4:1、2:1でもなく不規則なので、正確には心房粗細動というのだろう。

 1か月前に左中大脳動脈の閉塞による脳梗塞が発症した。患者さんは一人暮らしで、たまたま訪問した弟さんが倒れているのを発見して救急要請したという経緯だった。

 診断は心原性脳塞栓症とされていた。症状は右半身麻痺・運動失語・構語障害。言葉は出ないが、言われたことは(ある程度?)理解されているようだ。利き手交換(左手)で嚥下調整食を食べている。

 さて糖尿病の治療はと確認した。内科クリニックではSGLT2阻害薬が処方されていた。先方の病院の検査結果を見ると、HbA1c7.1%とあるので悪くはない。

 治療はインスリン強化療法になっていて、毎食前に速効型インスリン(ヒューリンR)皮下注と就寝前の持効型インスリン(インスリングラルギンBS)を使用していた。

 おそらく急性期にヒューマリンRを血糖測定によるスケールで使用して、空腹時血糖が高いのでそれに持効型インスリンを追加したのだろう。

 普段の治療でHbA1c7.1%ならば、経口血糖降下薬で血糖コントロールできる見込みだ。まずは先方のメニューで継続して、血糖を見てインスリンの減量を行う。

 慢性腎臓病(糖尿病腎症+腎硬化症?)があり、メトホルミンは使えない。DPP4阻害薬(トラゼンタ5mg)で開始することにした。

 一人暮らしでの脳梗塞発症で、退院後は施設入所になる。インスリンは簡単な使い方(BOT)なら継続できるが、可能ならば経口血糖降下薬だけにしたい。

 

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