なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

COPD末期か老衰か

2021年11月25日 | Weblog

 慢性閉塞性肺疾患(COPD、肺気腫)・慢性呼吸不全・在宅酸素療法の82歳が食欲不振・体動困難(仙骨部褥瘡)で先月入院した。

 身長150cm・体重25kgと、サルコペニアというか極端に痩せていた。明らかな肺炎はなく、COPDの終末期と判断されたが、酸素投与1L/分くらいで酸素飽和度を保てる(動けないので労作時の増量がいらない)。

 末梢静脈からの点滴をしながら、食事形態を工夫していたが、やはり食事摂取は進まなかった。全身状態から内視鏡検査もはばかられた。少なくともCTで見る限り、腹部に悪性腫瘍はなかった。

 甘いものは苦にしないので、チョコレート数個とアイスを少し食べるが、食事量は上がらなかった。エンシュアリキッドは好まず、飲めなかった。

 奥さんと二人暮らしで、在宅介護は無理と入院希望で連れて来ていた。夫婦の年金だけでは経済的には施設入所や療養型病床への入院は難しいということだった。

 疎遠だった息子さんに連絡して、病院に来てもらった。もし療養型病床へ入院となった場合は経済的に援助するという話が出た。

 全身状態としては老衰なのだろうと思われたが、簡単な会話はできる方だった。高カロリー輸液を行って、療養型病床への入院を目指すことにした。

 1日1000mlの高カロリー輸液製剤がちょうどいい量だった。幸い2号液に上げても高血糖にはならない。

 

 欧米では、食事摂取ができなくなった高齢者はそういうものとして自然に看取ると聞いた。経管栄養や高カロリー輸液を行うのは、かえって虐待ととらえられるそうだ。入院費が(超)高額なので、ナーシングホームで看取るという面もあるのだろう。

 日本では入院費が安く、高齢者が長期で入院できる。いわゆる老人病院は食べられなくなった高齢者を扱うことで成り立っている。療養型病床をもつ病院の看護師さんは、高カロリー輸液の方が経管栄養よりも手間がかからなくていいと言っていた。1日1回点滴を交換すればいいから。

 

 

 

 

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