なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

死因はどっち

2021年11月05日 | Weblog

 昨日の午前6時過ぎに心肺停止の92歳男性が救急搬入された。前日の当直医だった耳鼻咽喉科医が対応していた。

 午前5時すぎにトイレに行くところを妻が確認していた。その後トイレから出てこないのに妻が気づいて、何か物音がしたようでもあるので、様子を見に行った。

 夫がトイレの前で大量に嘔吐して倒れているのを発見して、妻が救急要請した。救急隊到着時、心肺停止が確認され、心肺蘇生術を行って搬入された。

 ふだんは眼科に通院しているだけで、内科疾患はなかったそうだ。胆汁混じりの消化液を口腔内に認めた。吸引して気管挿管を行った。アドレナリンを投与して心肺蘇生術を続けた。短時間心拍が再開したが(自発呼吸はなし)、また心静止となった。処置を中止して、死亡確認に至った。

 Autopsy imagingが行われた。頭部CTでは脳委縮のみで、頭蓋内出血はなかった。胸腹部CTでは両側肺に消化液吸引による陰影を認めた。腹部は胃から小腸まで著明な拡張と消化液貯留を認めた。腸閉塞の所見になる。

 その後、警察の検視が行われて、事件性はなく疾患死と認定された。病院で死亡診断書(正確には死体検案書)を作成することになる。腹部疾患を死因としていた。

 

 トイレに行ったのは、腸閉塞になって嘔気を感じて、嘔吐するためだったかもしれない。家の構造がわからないが、トイレではなく洗面所に行こうとしたのかもしれない。

 嘔吐して大量の消化液を誤嚥したのが死因になった可能性がある。腹部疾患で倒れてから誤嚥したかもしれないので、どっちと決め付けることはできないが、消化管穿孔でなければ腸閉塞で即死することは一般的にはない。

 

 当直の終わり近くに対応した先生は、その後の検視などもあり、午前中いっぱいはかかったはずだ。お疲れさまでした。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする