なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

警察に逮捕された1型糖尿病

2013年03月11日 | Weblog

 糖尿病性ケトアシドーシスで入院した後から真面目に治療を始めた1型糖尿病の40歳台男性が警察に逮捕された。警察官が病院に来て、インスリンを持ち帰った。当然逮捕されたという事実は伝えられたが、具体的な罪状などは教えてもらえないのでわからない。バイトで仕事を多少していたはずだが、自由になるお金はほとんど持っていない人だった。同居している兄弟の収入と母親のお金で生活していたはずだった。とりあえず拘留されている間もインスリンはやめられないので、きちんと治療してもらうしかない。案外拘置所の食事なので血糖が良くなるかもしれないなどと思ってしまった。

 昨年は高血圧症で通院していた50歳台男性が逮捕されて、警察官が病院に薬をとりに来た。その前も別の1型糖尿病患者さんが勝手に私有地の山に入って山菜だかきのこをとって逮捕されて、警察官がインスリンをとりに来た。どこの病院でも時々あることなのだろう。

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ウイルス性胃腸炎に罹った

2013年03月10日 | Weblog

 今日の午前4時過ぎに嘔気と腹鳴で目が覚めた。トイレに行くと下痢便だった。腹痛というほどの痛みはない。金曜日の外来でうつったらしい。日中食事がとれず、昼過ぎから水分が少しとれるようになった。甘みがほしくなり、カルピスウォーターを少し飲んだ。その後夕方には倦怠感と熱を感じたが、下痢は朝方の2回で治まった。今晩は早めに寝ることにするが、明日の朝はどこまで回復するだろうか。

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感染症の本を買ってきた

2013年03月09日 | Weblog

 今日土曜日は当番ではないので、ゆっくり過ごしていた。午後からジュンク堂に出かけて、本郷偉元先生が編集した「Step Up式 感染症診療のコツ」を買ってきた。青木先生と岩田先生のブログで紹介されていたが、本当に研修医向けの本なのに感染症専門医が多数参加している。内容的にはこれまで購入した感染症の本で覚えたことが多いが、専門医か研修医に診療のコツを教えるという形なので、おもしろそうだ。

 今年の学会参加は春秋に化学療法学会に行く予定で、抗菌薬適正使用セミナーも含めると感染症治療に集中していることになる。外科の先生方にfever work upを教えてほしいと言われていたが、まだまとめていない。必要最小限のことを2ページくらいにまとめて院内メールで流すことにしよう。

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急性腎盂腎炎、一過性脳虚血発作

2013年03月08日 | Weblog

 昨日当直だった大学の応援医師は、今日の日中は内科外来を担当する予定だった。が、朝方から嘔吐を繰り返していた。消化器科医が診察して点滴のオーダーを出してくれた。血液検査では特に異常はない。上腹部痛というので、内視鏡検査もしたが、たいした異常はなかった。普段から胸やけがあったらしい。下痢はないので胃腸炎といえないが、軟便や下痢が遅れて出ることもある。ウイルス性胃腸炎の初期症状かもということになったようだ。夕方まで2本点滴をして休んでもらった。夕方病棟の仕事をしていると、その先生から「お世話になりました」と電話がきた。PPIなどの処方ももらっていて、土日と休めば大丈夫だろう。

 内科外来を代わりにしていたが、60歳台男性が、4日前に受診して感冒薬をもらった(別の大学応援医師)が良くならず、発熱も出てきたと受診してきた。当初から左胸の痛みもあったそうで、左胸上部に聴診でラ音が聞こえた。肺炎になっている(最初から)。胸部X線で左肺野に浸潤影があった。CTでみると正面像で見るより範囲は広い。ただし、食欲はあって酸素飽和度は正常域だった。この患者さんは胃全摘術と脾摘を受けていたが、肺炎球菌ワクチンは受けていない。でっきり肺炎球菌肺炎と思ったが、尿中抗原は陰性だった。痰は結局出なかった。入院を勧めたが、外来治療を希望された。セフトリアキソンを点滴して、クラビット内服で治療を開始して、3日後の来週月曜日に再受診とした。

 内科クリニックからの紹介で80歳台女性の急性腎盂腎炎患者が救急搬送されてきた。悪寒戦慄があり、血液培養2セットと尿培養を提出したが、搬送前にメロペンが点滴されていた。これはおそらく培養陰性となるだろう。セフトリアキソン1g2回で治療を開始したが、効かなかった時は抗菌薬の選択がむずかしくなる。

 循環器科に心不全で入院した後、外来に通院していた80最台女性が左不全片麻痺と構語障害で受診した。2時間前に家族が症状に気付いて連れてきた。頭痛はなく、脳梗塞と思われた。頭部CTで出血はなく、陳旧性と思われるラクナ梗塞があった。頭部MRIで新鮮な脳梗塞を確認しようとしていたら、症状が軽減してきた。頭部MRIでは新鮮な梗塞はなく、終わった後にはすっかり症状が消失していた。一過性脳虚血発作ということになる。点滴を開始していたのが、脳循環を良くしたのかもしれない。しかし、MRAで脳血管は全体的に狭窄が目立ち、また症状が出てくるかもしれない。入院して経過をみることにした。それにしても、今日の午後は脳外科医との神経内科医がそろっていなかったので、症状が軽快して助かった。

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通常の細菌性肺炎のはずが

2013年03月07日 | Weblog

 施設の付属診療所で診療している先生から電話が来た。系列のケアホームに入所している精神遅滞の72歳女性が肺炎で発熱があり、入院治療を依頼したいという。以前に入院した呼吸器科のある基幹病院に連絡したところ、満床で断られたという。もともと当院の泌尿器科に勤務していた先生で、いまでも週1回当院の泌尿器科外来に来てもらっている。それほど重症ではなさそうなので引き受けた。

 救急搬入された患者さんは体重30Kg台で、体格は小柄で小学生低学年くらいだった。性格はおとなしそうだったが、起き上がろうとするので、常に見守りが必要だった。診療所からは抗てんかん剤と降圧剤・利尿剤が処方されていた。精神科病院からも処方を受けているというが、明日行く予定だったそうで、薬がなくなっていて詳細はわからない。

 胸部X線・CT検査をすると、両側肺にもやっとした陰影が広がっていた。ただし酸素飽和度はそれほど下がっていない。誤嚥性肺炎か感冒後の細菌性肺炎併発を想定していたので、意外な結果だった。最初間質性肺炎の陰影かとも思われたが、放射線科医は肺うっ血ではないかという。確かに胸膜直下から広がる陰影ではない。肺門部から末梢へ向かう陰影であり、肺うっ血だった。胸水貯留はごくわずかで、心拡大は軽度か中等度だった。BNPは160で、うっ血性心不全としてよいようだ。肺炎を示す明らかな浸潤影としては指摘できない。白血球数が16000でCRPが7と炎症反応は上昇していた。肺炎球菌尿尿中抗原陽性だが、以前の感染を示している可能性もある。

 この患者さんの。両親はすでに亡くなり、兄弟姉妹としては80歳台の姉がいるということだったが、具合が悪いらしい。責任者はその息子になり、今日はその妻が責任者として来ていた。専門病院への転送は希望しないという。入院後の付き添いはいらないというとほっとしていた。気道感染+心不全として、抗菌薬と利尿剤の投与で経過をみることにした。

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めまい・ふらつきで救急搬入ーうっ血性心不全

2013年03月06日 | Weblog

 内科外来に高血圧症・糖尿病・高脂血症で通院している80歳女性が、昨日めまい・ふらつき・脱力で救急搬入された。1週間前からしだいに症状が進行していたが、患者さんから胸痛や息切の訴えはなかった。酸素飽和度が極端に低下していて救急隊が酸素吸入5L/分を開始していた。しかし血液ガスで酸素分圧が50しかなく、救急担当だった外科医が酸素を8L/分に上げたが、酸素飽和度92%とまだ低かった。その外科医から連絡が来て、救急室に診にいった。胸部X線・CTで両側肺に肺うっ血と胸水貯留があった。11年前に左肺癌で左上葉切除術を受けた既往がある。これは治癒としてよいだろう。

 心電図でほとんどの誘導でST低下があるが、ST上昇はなかった。BNPは1100と高く、CK-MB・AST・LDHが上昇している。迅速検査のラピチェックとトロポニンTも当然陽性だった。急性心筋梗塞が発症したのかもしれない。心筋虚血から急性に心不全となったと判断した。緊急心カテの適応で、このまま悪化すれば人工呼吸管理になるかもしれないと思われ、心臓センターのある専門病院へ搬送することにした。ちょうど救急隊が別の救急患者さんを搬入したところだったので、搬送を依頼した。

 今日搬入後の第一報となる報告がFAXで来ていたが、うっ血性心不全・急性心筋梗塞の疑い・僧房弁閉鎖不全症とあった。心筋虚血も1本の冠動脈だけではない可能性があり、心臓血管外科のある病院へ送ってよかったと思った。

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101歳の誤嚥性肺炎

2013年03月05日 | Weblog

 昨日の夕方に、内科クリニックからの紹介で101歳女性が誤嚥性肺炎紹介されてきた。救急搬入されたが、耳が遠くて声が大きい。寝たきり状態ではあるが、体格が良くてけっこうな体重がある。両手は自由に動くため、点滴や採血など痛いことをされるたびに看護師を叩こうとする(実際に救急室の看護師2名の頭を叩いた)。胸部X線・CTで両側肺の下肺野背側に浸潤影を認めた。確かに、肺炎だった。

 娘だちが付いてきていたが、なにしろ101歳の方のだから、娘といっても立派なおばあさんたちだ。入院時の書類などは孫娘が記載していた。治るとは思うが、なにしろ101歳なので、どうなるかは実際に治療してみないと何ともいえない。

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どこまで糖尿病の治療ができるか

2013年03月04日 | Weblog

 50歳男性が1週間前から調子が悪いと内科外来を受診した。今日の担当は大学病院の応援医師だったが、血液検査で高血糖があり、相談された。血糖300mg/dlでHbA1cは13%だった。尿ケトン体(2+)だったが、血液ガスでアシドーシスはなかった。

 もともと脳性麻痺があり、手足が拘縮している。右中大脳動脈領域の脳梗塞があり、左片麻痺もあるが、なんとか歩行はできた。母親とふたり暮らしで、入院が必要とお話しすると、母親に聞いてほしいという。自宅に電話してみると、真っ先にお金がかかるという話がでた。母親の年金生活なので、余計な出費の余裕がないのだろう。それにしても血糖が高いので、とりあえず2週間の予定で入院してもらうことにした。インスリン強化療法を開始するが、自己注射はできないので、その後は経口血糖降下剤に切り替えていくしかない。患者さん本人の理解力の問題もあり、ある程度までの治療にならざるを得ない。

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死因は老衰とした

2013年03月03日 | Weblog

 昨年10月から入院していた87歳男性が一昨日死亡した。約5カ月の入院だった。持病はいろいろあったが、どれも直接の原因とはしがたく、しだいしだいに全身状態が弱って死亡にいたったので、死因は老衰とした。

 内科医院に慢性C型肝炎と慢性閉塞性肺疾患で通院していたが、急性肺炎となって当院に紹介された。肺炎に偽痛風の関節炎も合併していた。抗菌薬とNSAID投与で軽快治癒して退院になった。当院に通院したいという希望で数カ月通院していた。その後、食欲が低下して倦怠感もあり、再入院した。もともとうつ傾向があり、抗うつ剤と投与して点滴を継続したところ、ある程度食欲が出てきた。老妻と二人暮らしのため、介護保険を申請して、施設の利用をするようにMSWに依頼した。

 入院中に肺炎になったが、抗菌薬を1週間投与して軽快治癒した。そのころから、また食欲が低下して、点滴を断続的にしていた。慢性閉塞性肺疾患があるが、酸素分圧は60ちょっとあり、必ずしも酸素吸入を要するほどではなかった。肝機能も安定していて、CTで診るかぎり、消化管の悪性腫瘍は否定的だった。

 首都圏にいる娘が何度か往復して週末を中心に介護していた。自宅に帰るのは難しいので施設入所を考えていた。経管栄養希望せず、こちらからも勧めなかった。1ケ月前から食欲低下が固定してしまい、たまたま半分以上食べる日もあったが、食事を工夫しても1週間前からはほとんど食べなくなった。一昨日の午前中から意識が低下して呼吸も弱くなり、娘に連絡した。間に合わないかと思われたが、娘が到着して2時間後の夕方に死亡した。以前から、死亡に至った時は死因を老衰とすることを伝えてあったので、死亡診断書に老衰と記載した。

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昔の本「肝機能検査とその臨床」

2013年03月02日 | Weblog

 昭和58年発行の「肝機能検査とその臨床」は研修医の時に購入した懐かしい本だ。結構使っていて、年数も立っているので、すっかり汚くなってしまった。調べてみると注文できることがわかったので、さっそく注文した。初版の本が送られてきたので、売れずに版元に残っていたらしい。同じ学年の研修医といっしょに勉強したことが思い出される。C型肝炎はまだわかっていなかったので、非A非B型肝炎となっている。

 最近の肝機能検査の本としては、虎ノ門病院の肝臓の先生方が出したものがある。しかし、肝機能の読み方としては、この「肝機能検査とその臨床」はまだ使える。「アルコール性肝障害のγ-GTPは、禁酒すると2週間で半減する」など、実際には必ずしもそうではないが、わかった気になるようなことが書いてある。ASTとALTの変化の仕方や、その比を使った診断など、今でも充分参考になる。隠れた名著だと思う。

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