スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

コレルスの伝記&制度の不備

2018-08-21 18:53:56 | 哲学
 リュカスの伝記La vie et l'esprit de Mr.Benoit de Spinozaと同様の観点からコレルスの伝記Levens-beschrijving van Benedictus de Spinozaも評価します。
                                     
 コレルスJohannes Colerusは1693年に説教師としてハーグに赴任しました。そのときの下宿がハーグでスピノザが最初に下宿していた家でした。さらにコレルスの説教の聴衆のひとりに,スピノザがそこから移り住んだ下宿先の家主であるスぺイクHendrik van der Spyckがいました。コレルスはこれによりスピノザに関心を抱きました。つまり契機は思想とは無関係です。コレルスはスピノザの悪名は知っていたかもしれませんが,それ以前には多大な関心を有していたとは思えません。遺稿集Opera Posthumaを読んでいるのは間違いないですが,それはおそらく伝記を書こうと思った後のことだと思います。なお,コレルスの伝記はオランダ語なので,読んだのもオランダ語版の遺稿集De Nagelate Schriftenだったかもしれません。
 プロテスタントの説教師ですから,スピノザの哲学には大いに批判的です。これは伝記を読めば一目瞭然です。ただコレルスは思想と生活は別と考えることができたようで,スピノザの暮らしぶりについてはかなり好意的に描いています。スピノザの生活を貶めるような誤った伝聞に対しては,むしろそれを否定し,批判しているくらいです。
 思想的に反スピノザのコレルスがスピノザを好意的に描いているので,その部分は真実らしく思われるかもしれません。ただしここにはひとつ弱点があります。それはコレルスがスピノザに多大な関心を寄せたのはスピノザの死後であり,伝記の内容の多くをスぺイクに負っているという点です。
 フロイデンタールJacob Freudenthalの『スピノザの生涯』では,スぺイクはいい加減な人間だからそのすべてを真に受けることはできないという主旨に記述されています。しかし僕の考えでいえば,家主としてスピノザを住まわせていたスぺイクには,スピノザをよくみてもらおうとする動機が存在し得るので,そのために虚偽の証言をする可能性があるのです。ですからとくにキリスト教とスピノザの関係をスぺイクの証言によってコレルスが記述するとき,そこにはスぺイクのフィルターが挟まれているかもしれないということに,最も気を付けなければならないでしょう。

 依頼してもすぐに作成できないのはなぜかといえば,需要に対して供給が追いついていないからです。サービスの給付を行政が決定するための支援計画書ですから,第三者となる社会福祉法人等は,行政から指定を受けていなければなりません。ただ,この制度は知的障害者に特化した制度ではなく,身体障害者にも適用されていますから,たとえば身体障害者の支援計画書は作成するけれど知的障害者のものは作成しないという事業所もあれば,その逆もあります。つまりまず,行政が指定した事業所のすべてで,妹の支援計画書の作成を受け入れてくれるというものではありません。
 次に,横浜市はとても大きな市ですので,事業所によっては市内のすべてをカバーするわけではありません。というより,市内全域をカバーするような事業所はごく少数です。支援計画書の作成のためには,利用者およびその保護者と面談が必要ですし,利用者が普段どのような生活をしているのかを観察する必要があります。なおかつこれは計画を立てれば終了というものではなく,その計画が滞りなく実施されているかも調査しなければならないのです。おそらく計画書を作成する支援員の負担は膨大なものがあると思われ,よって横浜市内のどこでもOKというような事業所は必然的に少なくなるのです。僕の妹の場合でいえば,住所すなわち僕の家は磯子区内にあり,入所しているグループホームと通所している作業所は港南区内になります。したがって少なくとも磯子区と港南区の両区をカバーしてくれる,知的障害者の支援計画書を作成することが可能な事業所を探さなければなりません。さらにそうした事業所には支援員がいくらでも存在するというわけではありませんから,受け入れられる人数にも限度があります。そもそもサービスの給付を行政が決定するためのものですから,本来は行政自身で行うべき仕事です。ですが手が回らないので事業所を指定し,そちらで行っているということでしょう。でも行政で手が回らなければ事業所を指定したところで同様のことは起こり得ます。結果的にサービスを受けられなくなる人が出る筈で,この制度には難があると僕は思っています。
コメント
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