『世界』を読む会

寅さんの博も読んでいる『世界』を読んで、話し合おう。

富岡の『世界』を読む会・4月例会の報告

2023-04-29 10:53:43 | 日記
富岡の『世界』を読む会・4月例会の報告
(郡山さんから)
 富岡『世界』を読む会・4月例会は、4月26日(水)午後、吉井町西部コミュニティセンターで開催されました。テーマは、『世界』4月号から、次の三つの論考を取り上げました。①吉田千亜稿『原発事故12年後の「子どもたち」―法廷で語られる「いのち」の言葉』、②満田夏花稿『原発回帰 GXの正体と民意の行方』、➂田代美江子稿『包括的セクシュアリティ教育の可能性』。
 
1.吉田千亜稿『原発事故12年後の「子どもたち」―法廷で語られる「いのち」の言葉』、
  満田夏花稿『原発回帰 GXの正体と民意の行方』
 吉田論考は、甲状腺がんに罹患した原告7人が、被ばくと甲状腺がんの因果関係を求めて東京電力を訴えた裁判の記録である。二人の「いのち」の言葉を、引用する。
 「私は小学校に入る前に原発事故に遭い、・・・13歳でがんになり、17歳で二度目の手術を受けました。原発事故の時も、検査のことも、まだ小さかったので、何が起きているのかよく分からず、覚えていることはほとんどありません。…将来自分が何をしたいのかよく分かりません。・・・恋愛も、結婚も、出産も、私とは縁のないものだと思っています。」  男性は、再発を繰り返し、四回手術を受けた。就職活動の真っ只中で三回目の手術を受け、手術の二か月後に希望の会社に就職が決まった。四回目の手術も、忙しい仕事の合間を縫って受け、アイソトープ治療も受けた。・・・「がんの再発は覚悟しているが、前だけ見たいと考えている。自分の病気が放射線による被曝の影響と認められるのか、この裁判を通じて、最後までしっかり事実を確認したい。」
 それでも「原発回帰」に乗り出した岸田政権を撃つ満田論考を読みながら、ただただ長く深いため息が出た。ドイツが敢然と脱原発を実行しているのとは対照的に、日本は、原発再稼働、原発運転期間の延長、次世代革新炉による原発の新増設・建て替えを進めていくという。しかも、国会論戦もなく閣議決定でこの大転換がなされようとしている。失われた30年に、さらにこれから先も、失われ続けようとしているのか、との感想の言葉が漏れた。また、パブコメの形骸化についても、指摘があった。
 
2.田代美江子稿『包括的セクシュアリティ教育の可能性』
 包括的セクシュアリティ教育とは、身体や生殖の仕組みだけでなく、人間関係、性の多様性、ジェンダー平等、幸福、人権、暴力等々、幅広いテーマの教育を指すユネスコのガイダンスだ。これはまさに、性教育に関わる普遍的価値を指し示すものだ。自公政権の外交政策の基本は、「普遍的価値を共有する同志国」との連携だと繰り返し語られるが、性教育の普遍的価値には見向きもされないばかりか、一部議員たちからは、公然と攻撃されてさえいる。  右派はなぜ、性教育を攻撃するのか。個人の人権、幸福・健康追求権、ジェンダー平等を認めたくないのだ。つまり、憲法13条〈個人の尊重、幸福追求権〉および憲法14条〈法の下の平等〉を何としても否定したいのだ、という指摘があった。論考の中に、「包括的セクシュアリティ教育のポジティブな影響」の記述があり、力強く感じた。「子どもたちが授業を受けた後と受ける前とでは変わっている」「卑猥な言葉を大声で叫ばない」「ズボンおろしがない」「子どもたちが非常に優しくなる」。つまり大人のセクシュアリティのほうがはるかに貧困なのだ、という筆者の指摘に頷いた。
 
3.5月例会の案内
(1)月日・場所:5月17日(水)14.00-16.00時 吉井町西部コミュニティセンター
(2)テーマ:『世界』5月号から  
 ①宮城大蔵稿『失われたバランス』(p.129-)
 ②李鐘元・青木理インタビュー『日韓逆転のなかの徴用工問題"解決策"』(p.48-)
 ➂ユルゲン・ハーバーマス稿『交渉の勧め』(p.146-)                            以上
追記:富岡の会の皆さんへ
5月例会のテーマに、①宮城大蔵稿『失われたバランス』(p.129-)を追加しましたので、よろしく。
 
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