岩井志麻子著、角川ホラー文庫刊
「ぼっけえ、きょうてえ」でびっくりしました。あんまりホラーは読まなかったのですが、山本周五郎賞を受賞した作品なので読んで、本当に驚いた作品でした。そして、同じ著者による、久方振り作品です。
岡山の北部の山間地にある僻村が舞台です。そして、実話に基づく本作の主人公は「森」です。小さい頃、夜の木立が恐ろしく感じることがありましたが、本作を読んでいると、その思い出と想念が . . . 本文を読む
以前「ソフィーの世界」を読み、大変にこなれた翻訳で読みやすい、との印象を持ちました。今日(1/30)、その翻訳者である池田さんの講演会を聞きました。行政主催で、退屈な主催者の挨拶などが終わり、「ではっ」と紹介者が言った途端、舞台の上座から池田さんが登場しました。かなりの短髪で、ポスターと異なった感じがしました。そして、話し始めた途端に、穏やかで力強いオーラを感じました。
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谷沢永一、太平洋戦争研究会共著、ビジネス社刊
本作は、司馬遼太郎さんの同名小説を下敷きにしたもののようです。明治の近代国家揺籃期に活躍した人々の群像を写真を交えて紹介しています。小説は、作家の世界観が濃密に反映している一方で、全体像を正確に捉えることが難しい。特に司馬さんの同作品は長大であるため、本書などは、そのエッセンスを詰め込んだ良書と言えるのではないかと思います。司馬さんの作品は二十代で多く . . . 本文を読む
第2集「伝統食品の知恵と工夫を探る」第5巻
本作品が制作されたのは1984年なので、25年位前のことです。当時は銚子付近で多く水揚げされて煮干しが作られていたようです。しかし、現在では、若い人は煮干しを知っているのでしょうか。私自身、育つ過程で煮干しを使った味噌汁などを食する経験が殆ど無く、最近では「だしの素」が広く普及しているので、煮干しを知る若い人が激減しているのではないでしょうか。煮干しの概 . . . 本文を読む
宮部みゆき著、読売新聞朝刊連載小説
宮部さんの作品は「火車」と「理由」の二作しか読んでいません。どちらかというと波長が合わない作家であるように思います。しかし、読売新聞の朝刊に連載された本作品はごく自然に受け入れることが出来ました。江戸時代の、とある商店を舞台に、主人公のおちかが、善意の人々に囲まれながら、「黒白の間」と呼ばれる座敷で『不思議の話』を聞き取る筋立てです。
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以前「ベクシル-2077 日本鎖国」を見た時に、本作の評価が高いことを知りました。似たような画面であり、同じくSFですが、こちらの方が遙かに完成度が高く、非常に感動しました。画が良い、ストーリーが良い、そして、いかにもSFぽくって良かったのでした。難を言えば、冒頭の廃墟と化した都市のビルディングのテクスチャの質感がイマイチでした。しかし、作画の完成度だが高く、何より(私は原作を読んでいないので想像 . . . 本文を読む
伊坂幸太郎さんの同名原作を読み、すっかり井坂さんの作品にはまったことを思い出します。また、映画「クライマーズハイ」の記者役で出演した(本作の主人公)境雅人さんが印象的でした。この2つの要素が合体した本作品は「是非劇場で!」という想いから今日(2/6)見てきました。
実は、原作を余り覚えていなかったのでしたが、多分、脚本はある程度原作を修正しているのだと思います。しかし、物語を支える重要な登場人物や . . . 本文を読む
ジョン・ル・カレ著、早川書房刊
本作には本当に手こずりました。実は読み終えるまでに、ほぼ3ヶ月程掛かりました。なにせ面白くないのです。スマイリーシリーズとして名高いので、読み進んで行く間に面白くなるに違いない、と信じて読みましたが、さっぱり面白くならないのでした。「マラソンマン」などは、1/3ぐらいから俄然面白くなりました。冒頭から訳の分からない、つまらない場面の連続でしたが、ある一瞬から、すべて . . . 本文を読む
第2集「伝統食品の知恵と工夫を探る」第4巻
寒天はあんみつや心太(ところてん)として食していて身近な食品です。また、海草が原料であることも知っていました。しかし本作で知ったところでは、心太から寒天を作るというのでした。作り方は下記のURLでも紹介していますが、本作で紹介された作り方は以下の通りです。
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足沢良子著、ぎょうせい刊
第二次世界大戦の勝利国であるイギリス、アメリカ、ソビエトの首脳がヤルタで会談した写真は有名です。下記のURLにも掲載されていますが、チャーチルの印象は、この写真で決まったように思います。その他にも葉巻を燻らす姿など、老練な政治家という漠然とした印象を抱いていました。
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原田宗典著、横浜カセット文庫刊
原田さんの著作は「スメル男」以外読んだことがありません。本作は海にまつわる12の短編集です。物語の舞台は南国が多いのですが、ある短編では自宅の書斎であったり、多彩な筋書きで楽しめました。下記URLによれば若い時分から才能が開花して、多方面で活躍されているようです。
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芳即正(かんばし まさのり)、毛利俊彦 編著、河出書房新社刊
上野公園の西郷さんは想像で作ったものだそうですが、いかにも大人風で、それらしく見えます。また、NHKの大河ドラマの西郷隆盛の印象も、いかにも大人風です。つまり、日本人にとって西郷隆盛は、明治政府に敵対したとはいえ、英雄であったとの意識が一般的なのだと思います。
私が学校で学んだ歴史では、西郷隆盛は征韓論に破れて下野し政府に楯突いたとされ . . . 本文を読む
フランソワ・ドラマール/ベルナール・ギノー著、創元社刊
タイトルを裏切らないカラフルな表紙です。その概要は、表紙に示されています。つまり、
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「幸い、色材に関しては様々な技術的、技法文書が存在しており、当時使われていた顔料や染料の産地、特性、品質別の価格、交易路を知ることができる・ . . . 本文を読む