「何とかしてよ ソニーさん」で部屋の中で響く音のことを書きましたけど、考えてみれば、楽器を弾けない私のような素人って幸福なんですね。どんなに素晴らしい演奏家でも、自分の音はきちんと聞けないのですから。
子供のころ、放送部って部活をしていました。テープレコーダーで録音した自分の声を聞いて、これは機械が悪いからこんな変な声になるんだって思うことにしました。すこし機械がよくなってきて、そして友人の声はそんなには違わないのに気が付いてからも、マイクがちゃちぃとかいろんな理由をこさえて自分の声はちゃんと録音できないって信じることにしました。
声楽家は同じことですね。自分の声はかなりの部分骨を通じて聞こえているので、自分が知っている自分の声は人の知っているものとはちょっと違います。
これはバイオリンやビオラも同じ、楽器を顎の骨と鎖骨ではさみますから。
オーボエなんかのリード楽器はリードを歯ではさみますから、ストレートに脳天まで響いてくる。
先ほど以前のブログを見ていてこの辺のことも書いていたのを見つけました。
人間はどこまで詳細な区別がつく オケのピッチ
(http://blog.goo.ne.jp/t_ashizuka/e/65cb05334c2e6f533f3e79bfe3e41a62)
水琴窟 その2 音色について
(http://blog.goo.ne.jp/t_ashizuka/e/719bcabd8b9add091e5e27fa2869422e)
ここでは温度や湿度のことはピッチの問題で以前のブログに書いていますのであえて省きますね
質問 ビオラダガンバと調弦
(http://blog.goo.ne.jp/t_ashizuka/e/fd9811caac7133ae5c1a8aca05e7684b)
これらは聴衆が聞いている楽器の音とはちょっと次元の違う音です。
でもピアノやチェロ、コンバスのような共鳴箱を自前で持っている楽器はまだ幸福。
知り合いのピアニストはイギリスのランズエンドという、大陸の一番西にあたる崖の上でピアノを弾きました。
もし、フルーティストにそこで吹けって命令したら、彼はその崖から飛び降りるかもしれません。フルートは自前では蚊の泣くような音しか出せません。もっとも自前の音も金や銀をどのくらい混ぜるかでずいぶんと違ってはくるのですけど。
ステージの反射板などの音の反射を利用してやっとあのフルートの音になるのです。
ですから反射のない(デッドな)ホールで吹かせたら、どんな名人でもめろめろになるはずです。
その楽器の持つ自前の音は代わりませんが、ステージなどの近間で反射してくる音はそれぞれのホールで違います。例えば今までで最高の音が得られたのは日光の戦場ヶ原の樹海でした。初春で木がまだ枯れていてその枝に音が反射して素晴らしい音になりました。やはり自然ってすごいんだな~って感じた一瞬でしたけど。
朝日ホールやカザルスホールも、素晴らしい音をだしますけど、できたては最悪でした。ステージやホールに張り詰めてある木が1年ほどして馴染んできて始めて今の素晴らしい音を出せるようになってきたのです。
でもここまでは演奏家は聞けると思います。
本当に聴衆が聞いているのは、その音がホールに満ちて反射してくる音とミックスされた音ですね。誰の音が綺麗とかって言われるときには実はこの音が基準なのです。もちろん、演奏家もステージでのリハーサルはします。でも客の入っていないホールの響きと客が入ったときの響きは全く違うものになってしまいます。演奏家はそれは聞けないのです。
ステージの広さ、高さ、反射板の角度や材質で響きの長さ、全体の音の色、艶が違ってきますし、設計によって途中で変に強く反響してくる部分もあるし、音が濁ることもある。オランダのコンセルトヘボウがこの問題で、ホールを修復しましたけど、いまだに一部の演奏家からは不満があるようですね。
プロのステージでのリハーサルは自分の考えている音楽をそのホールではどんな弾き方をすれば実現できるかの微調整なんです。でも人の入っていないホールは人が入ったときとは違う響きになるって書きましたよね。。。
国立博物館の主任学芸員というかたが、専門は音楽ではないのですけど、このことにものすごく詳しくて、例えばゲバントハウスっていうと、どこと、どこと、どこのホールで聞き比べたけど、あのオケはどこのホールの方が素晴らしい音を出すっていうようなことをお話になれる。でも本当に同じ演奏家、同じ楽器でもホールによってずいぶんと音が違うのです。
よく遠鳴りのする楽器って言い方をします。素晴らしくいい音を出すバイオリンをそばで聞いたことがありますが、傍ではただゴーゴーって音が出ているだけ。それが離れて聞くと素晴らしく色艶の音になっている。今でも不思議なのはあれを弾いていた人には少なくともバイオリンの音になって聞こえていたのかなってこと。その人には骨を伝わって聞こえている音がありますからね。
また、音楽が貴族の楽しみだったころには、ホールも小さく、音は小さくても綺麗な音が出る楽器が好まれました。音のピッチも今よりも半音以上低いことが多かったのです。
でも音楽が大衆のものになって、大ホールができるようになると、大きな音が出る楽器、そしてもっとさまざまな音色、表現ができるような楽器が好まれるようになってきました。ちょうどチェンバロがピアノフォルテになり、現在のピアノが生まれたように。
岬の部屋一杯に響くオケとピアノの音を夢見ているとなんだか変なことを書いていますけど、、、
子供のころ、放送部って部活をしていました。テープレコーダーで録音した自分の声を聞いて、これは機械が悪いからこんな変な声になるんだって思うことにしました。すこし機械がよくなってきて、そして友人の声はそんなには違わないのに気が付いてからも、マイクがちゃちぃとかいろんな理由をこさえて自分の声はちゃんと録音できないって信じることにしました。
声楽家は同じことですね。自分の声はかなりの部分骨を通じて聞こえているので、自分が知っている自分の声は人の知っているものとはちょっと違います。
これはバイオリンやビオラも同じ、楽器を顎の骨と鎖骨ではさみますから。
オーボエなんかのリード楽器はリードを歯ではさみますから、ストレートに脳天まで響いてくる。
先ほど以前のブログを見ていてこの辺のことも書いていたのを見つけました。
人間はどこまで詳細な区別がつく オケのピッチ
(http://blog.goo.ne.jp/t_ashizuka/e/65cb05334c2e6f533f3e79bfe3e41a62)
水琴窟 その2 音色について
(http://blog.goo.ne.jp/t_ashizuka/e/719bcabd8b9add091e5e27fa2869422e)
ここでは温度や湿度のことはピッチの問題で以前のブログに書いていますのであえて省きますね
質問 ビオラダガンバと調弦
(http://blog.goo.ne.jp/t_ashizuka/e/fd9811caac7133ae5c1a8aca05e7684b)
これらは聴衆が聞いている楽器の音とはちょっと次元の違う音です。
でもピアノやチェロ、コンバスのような共鳴箱を自前で持っている楽器はまだ幸福。
知り合いのピアニストはイギリスのランズエンドという、大陸の一番西にあたる崖の上でピアノを弾きました。
もし、フルーティストにそこで吹けって命令したら、彼はその崖から飛び降りるかもしれません。フルートは自前では蚊の泣くような音しか出せません。もっとも自前の音も金や銀をどのくらい混ぜるかでずいぶんと違ってはくるのですけど。
ステージの反射板などの音の反射を利用してやっとあのフルートの音になるのです。
ですから反射のない(デッドな)ホールで吹かせたら、どんな名人でもめろめろになるはずです。
その楽器の持つ自前の音は代わりませんが、ステージなどの近間で反射してくる音はそれぞれのホールで違います。例えば今までで最高の音が得られたのは日光の戦場ヶ原の樹海でした。初春で木がまだ枯れていてその枝に音が反射して素晴らしい音になりました。やはり自然ってすごいんだな~って感じた一瞬でしたけど。
朝日ホールやカザルスホールも、素晴らしい音をだしますけど、できたては最悪でした。ステージやホールに張り詰めてある木が1年ほどして馴染んできて始めて今の素晴らしい音を出せるようになってきたのです。
でもここまでは演奏家は聞けると思います。
本当に聴衆が聞いているのは、その音がホールに満ちて反射してくる音とミックスされた音ですね。誰の音が綺麗とかって言われるときには実はこの音が基準なのです。もちろん、演奏家もステージでのリハーサルはします。でも客の入っていないホールの響きと客が入ったときの響きは全く違うものになってしまいます。演奏家はそれは聞けないのです。
ステージの広さ、高さ、反射板の角度や材質で響きの長さ、全体の音の色、艶が違ってきますし、設計によって途中で変に強く反響してくる部分もあるし、音が濁ることもある。オランダのコンセルトヘボウがこの問題で、ホールを修復しましたけど、いまだに一部の演奏家からは不満があるようですね。
プロのステージでのリハーサルは自分の考えている音楽をそのホールではどんな弾き方をすれば実現できるかの微調整なんです。でも人の入っていないホールは人が入ったときとは違う響きになるって書きましたよね。。。
国立博物館の主任学芸員というかたが、専門は音楽ではないのですけど、このことにものすごく詳しくて、例えばゲバントハウスっていうと、どこと、どこと、どこのホールで聞き比べたけど、あのオケはどこのホールの方が素晴らしい音を出すっていうようなことをお話になれる。でも本当に同じ演奏家、同じ楽器でもホールによってずいぶんと音が違うのです。
よく遠鳴りのする楽器って言い方をします。素晴らしくいい音を出すバイオリンをそばで聞いたことがありますが、傍ではただゴーゴーって音が出ているだけ。それが離れて聞くと素晴らしく色艶の音になっている。今でも不思議なのはあれを弾いていた人には少なくともバイオリンの音になって聞こえていたのかなってこと。その人には骨を伝わって聞こえている音がありますからね。
また、音楽が貴族の楽しみだったころには、ホールも小さく、音は小さくても綺麗な音が出る楽器が好まれました。音のピッチも今よりも半音以上低いことが多かったのです。
でも音楽が大衆のものになって、大ホールができるようになると、大きな音が出る楽器、そしてもっとさまざまな音色、表現ができるような楽器が好まれるようになってきました。ちょうどチェンバロがピアノフォルテになり、現在のピアノが生まれたように。
岬の部屋一杯に響くオケとピアノの音を夢見ているとなんだか変なことを書いていますけど、、、