駅では原住民の像が歓迎!(威嚇?) (台東)
駅構内の原住民の戦士(?)の像が目に付く。原住民(族)とは漢族が台湾に移住する以前から住んでいた人々である。ひとつの民族ではなく10以上の部族があるそうで、ここ台東縣は原住民の人口に占める割合が高く、7つの部族が住んでいるそう。この像が何族なのか確認しなかったので知らない。なお下半身は諸事情により写さないでおく。出口に向かうと、「出口」「EXIT」の表記のほかに、「デグチ」と片仮名の表記もある。片仮名で書かれても判りにくい気もするが、日本語表記ありをアピールしたいのかも。集札するおばちゃんに、切符を持ち帰りたい旨を身振りで示すと、證明章のハンコの場所を教えてくれる。池上では改札氏が押してくれたけど、ここでは自分で勝手に押せばよいようだ。上手く押せなかったが、押印済の切符をおばちゃんに見せて出場。
臺東線 臺東車站 (臺灣省臺東縣臺東市岩灣里岩灣路)
台東駅は台東市街から離れた場所にある。臺東線と高雄方面とを結ぶ南迴線の建設で、市街地にある旧台東駅と別に設けられた駅である。民國71年(1982)より卑南駅、民國80年(1981)からは台東新駅を称していたが、民國90年(2001)には旧台東駅が廃止となり、同年12月1日より正式に台東駅を称している。関門隧道開通で移転となった下関駅のような、門司駅(旧大里駅)と門司港駅(旧門司駅)のような感じか。門司港駅は現役だが。ともあれ新駅であり、市街地と離れているので、駅前は送迎の自家用車だらけである。うちには新岩国駅があるので、事情はよく解る。駅前はいずれ開発するのか、広大な敷地が拡がる。
駅前の風景・・・・・・
入口に巨大な原住民の像が!
若い白人旅行者のグループが、駅前の地図を見ている。街外れに降ろされちゃった訳だが、彼らが市街地に出るには、バスかタクシーの利用となるだろう。幸い(?)、今日は市街地に用はなく、ただ列車を乗り継ぐだけなので、駅入口に向かう。台湾の多くの駅は、入口と出口が分けられている。広島駅南口のような感じ。先程の「デグチ」は駅の横っちょだったが、入口は正面。
何族か知りません><
窓口氏にこれから乗車する2本の列車をメモに書いて差し出すと、すぐに切符を発券してくれた。まだまだ長丁場なので、7-ELEVENで、無糖のアイスコーヒーを買っておく。なお、この台東駅でも前出の池上便當は販売している。さて、改札氏に最初に乗る列車の切符を見せる。鋏を入れる訳でもなく、スタンプを押す訳でもなく、ボールペンで何やら線を引いておしまいである。気分が出ないが、月台に向かう。
次の出発は…
南迴線 普快車354次 [R123牽引] (台東)
往枋寮(枋寮行)は客車3両編成!
4年前に南迴線の枋寮-枋山間に乗車した時には4両編成だったと思うのだが、3両編成になっている。しかも最後尾の車両には夜間婦女候車區とある。まだ夜間ではないが、乗るのはためらわれる。機関車の後の車両は機関車の出す騒音が凄まじいので、これもためらわれる。結局、中間の2両目に乗車する。
気温は摂氏34度
冷房はありません
この客車は北回帰線を越えた熱帯の夏の南台湾なのに、冷房は付いていない。天井に扇風機があるのみである。汽車旅らしくて実にいいじゃないか。扇風機の電源を入れるが、何故か回らない。車内は温室と化し、車外より高温となっている。こんな列車に乗る酔狂な人はおるまいと思ったが、何人か乗っている。しかし今日乗ってきた自強號とは比べる程もなく空いている。
この席で1時間52分…
これから乗る南迴線(台東-枋寮間、98.2km)は、自強號は1時間20分、普快車で1時間52分と、所要時分の差は思ったほどない。票價(切符の値段)の方は、自強號が225元(日本円で約630円)、普快車が105元(約294円)と倍以上違う。列車の速度より、車内設備(空調、リクライニングシート)の差だろうか。
コーヒーも温くなる…
しかし今日の行程では、太魯閣號の次に楽しみにしていた列車である。南迴線は民國81年(1992)に正式に全通した新しい路線である。台東線と同じく非電化。ほとんど単線だが、一部区間で複線となっている。普快車354次は台東を出発。非冷房車での南迴線の旅が始まった。幸いやってきた車掌が客車の電気系統の主電源(?)を入れたようで、扇風機は使えるようになった。アメリカ製ディーゼル機関車の騒音はやはり大きい。窓を半分くらい開けていると、黒い粒のようなものが入ってきた。払い除けようとすると服を汚してしまう。どうも機関車からの煤らしい。まったくSLじゃあるまいし。しかし暑いので窓は少しだけ開けておく。列車は各駅に止まり、知本に停車。先程乗った自強號らしいのが停まっている。知本は知本温泉への入口の駅。台湾には温泉が多数あるのだが、まだ入った事はない。知本を出て暫くすると、列車は海沿いに出た。
南迴線 普快車354 台東(15:13)→枋寮(17:05) 35SP32584
車窓の太平洋 (太麻里-知本)
南迴線 太麻里站 (臺灣省臺東縣太麻里鄉大王村)
太麻里に到着。改札から海が見える。利用客は少なそうだが、駅員は配置されている。太麻里から少し行くと川を渡る。長閑な車窓は一変する。川原は土砂などで埋まっている。そして線路は新しい。平成21年台風第8号(モーラコット)が台湾に上陸し、記録的な大被害となってしまった。八八水災と称される。ここもその被災地だろう。合掌。
列車は海沿いを南下する。大武に到着。新左營発台東行の莒光號93次と交換する。莒光號は編成も長く、乗客も沢山乗っているようである。冷房も効いているし。大武を出ると、列車は太平洋に別れを告げ、山間部に入る。次の古莊を出ると26.9km先まで駅は無い。長大な中央隧道(8,070m)で臺東縣より屏東縣に入り、太平洋と台湾海峡の分水嶺を越える。古莊からトンネルを経て中央號誌站(信号場)までは複線となっている。再び単線となり、なおもいくつものトンネルを抜けながら山峡を進む。やがて月台もない信号場で列車は停まった。
南迴線 枋野號誌站 (臺灣省屏東縣獅子鄉內獅村內獅巷)
交換かと思えばさにあらず。信号場の建物の方から人がやってきて、列車に乗ってきた。ここの職員のための停車だろうか。PCで検索する時刻表には載っていない。信号場を出て暫く行くと海が見えた。先程の太平洋ではなく台湾海峡だ。台湾東海岸から西海岸に抜けた。
台灣海峡が見えてきた!
南迴線 枋山車站 (臺灣省屏東縣獅子鄉內獅村內獅巷)
ようやく古莊の次の駅、枋山に到着する。西海岸最初の駅であり、台湾最南端の駅である。ここは4年前に降り立っている。そして枋山-枋寮間は、その時に乗車済なので、これで南迴線は完乗した事になる。同時に台湾を一周する路線に乗り終えた事になる。祝杯でもあげたいところだが、1日2往復の列車しか停まらない無人駅で降りても、酒屋もないし、明日の朝まで列車は来ないので、おとなしく終点に向かう。
車窓の台湾海峡 (內獅-枋山)
一往復しただけだが、見覚えのある車窓である。列車は久しぶりに大きな街の中を走り、終点の枋寮に到着した。なかなか充実した各駅停車の旅だった。 (つづく)
普快車で枋寮站到了
いずれも民國99年(2010)7月30日撮影