651系で運転 特急フレッシュひたち36号(我孫子)
平成15年6月25日水曜日。船のエンジンと隣の寝台の客のいびきで熟睡できぬまま朝を迎える。本来の2等寝台の船室ならば快適な一夜だったろうに。「ばるな」の旧ドライバー室は避けるべきだとわかったが、今回は仕方がない。
レストランに行く。朝食(1,000円)もいわゆるバイキングである。大洗-苫小牧航路を深夜に出港する「さんふらわあ」も同様の朝食だったが、食器は使い捨てだった。「ばるな」は使い捨てでないだけまだマシである。東日本フェリーの「へすていあ」の朝食の和定食(980円)と比べると割高感はない。夕食(1,600円)だけは何とかして欲しい。
もう車は運転しないので、朝から缶ビール(230円)を飲む。自動販売機の価格設定は良心的である。食事は「へすていあ」の方が良かったなというのが感想。食後は売店でアイスクリーム(105円)を買って食べる。自らの戒めに「ゆっくり走ろう北海道」のステッカー(210円)も買う。もう遅いけど。
寝台に戻って更に寝ようと思うが、うるさくてやはり寝つけない。今夜は午後11時から夜勤なので、大洗入港まで寝ておきたいのに。レストコーナーにTVがあるので行ってみる。2台TVがあり、禁煙となった側のTVは国会中継、喫煙側はMLB中継をしている。ともにNHK-BS。喫煙側は煙たいが、国会中継より野球の方を選んで喫煙席に座る。New York YankeesとTampa Bay Devil Raysの試合である。どちらのファンでもないし、どちらかを応援する訳でもない。New York, NYには行った事もないし、Tampa Bayに至ってはどこにあるのか皆目見当もつかない。(旅から戻ってフロリダ州だと判明)
MLBのチームのある都市で訪れた事のあるのは、San Francisco, Oakland そして Los Angelesの3都市。日本人選手がいようが、行ったこともないSeattle, WAのチームよりもOakland Athleticsを応援したくなる。ゆえにどちらのチームも応援せずにボーっと見ているのだが、松井が打席に入ると、その時だけ画面に集中。どちらも沢山得点があり、大味な試合だったが、どちらが勝ったかも覚えてはいない。(ちなみに6/24 New York 10-9 Tampa Bay)
外は激しく雨が降っている。旅行中は日勝峠越え以外に雨には遭わず、車での移動だったので傘は要らなかった。港から駅まで歩くつもりでいたが、水戸までバスで行こうかとも思う。レストランでは昼食の営業となるが、13時30分大洗着なのでパスする。放送で船長の挨拶があり、大洗入港で船が進路を大きく変えるために揺れがあると注意を促す。下船の支度をしていると、さだまさしの曲が放送で流れる。北海道=「北の国から」というのはいかがなものか。ちなみに私は「北の国から」の存在すら知らない頃、上川管内中富良野町の町営ラベンダー園で、さだまさしの曲がちゃちなスピーカーから何度も何度も繰り返し流されるのにウンザリした事がある。しかしながら、道の駅しりうち(渡島管内知内町)で北島三郎(知内町出身)の曲が、襟裳岬(日高管内えりも町)では森進一の襟裳岬が流れていたのは期待通りで好ましい。(基準は何だろう)
船は港に入って接岸しているが、なかなか下船できない。私にはなじみのある宮島の連絡船なぞ、接岸と同時に車や人を下ろし始める。国鉄、JRが運航しているだけに列車の到着とともにドアを開けるようなものだ。まあ、これほど大きな船ではそうはいかないのだろう。暫くして下船の案内があった。船からターミナルビルへ渡り、外へ出る。船から見たときは雨は降っていたようだが、今は止んでいる。予定通り、歩いて大洗駅に向かった。
大洗駅はJRの駅ではないが新松戸までの連絡乗車券(1,930円)は発売している。自動券売機発行のものなので少々味気ない。発車10分前に改札を入る。列車はもう待っている。車番をみると6016、4日前に水戸から大洗まで乗った車両である。今日は逆に水戸まで乗っていく。大洗14時18分発、水戸14時36分着。水戸からは普通列車に乗る予定だった。しかし寝不足で疲れている。次の列車を見ると我孫子停車の特急フレッシュひたち36号がある。旅行費用は相当予算を超過している。しかし気がつけば手にはB自由席特急券・水戸→柏(900円)があった。柏までなのは我孫子までと料金が同額のため。列車名にフレッシュとあったのでE653系かと思ったが、入線してきたのは651系だった。水戸14時50分発。死電区間(藤代~取手)で照明と空調が切れる儀式があってから交流から直流へ。利根川を渡り我孫子15時40分着。(注釈 最近の車両、E501系、E653系以外の電車は交直流転換時、予備灯を残して照明、空調が切れる)
我孫子で常磐線(緩行)に乗り換え。営団の車両が止まっている。車内を見ると高校の女子生徒が制服を着たままシートに胡座をかいている。ひどい所へ帰ってきたものだ。北海道が随分遠くに感じられた。我孫子15時48分発、新松戸16時01分発。列車を降り、改札口を出る。これで今回の旅は終わった。新松戸は雨上がりで、日も差していた。 (おわり)