臺灣鐵路管理局 縱貫線 區間車 3152次 [EMU500型] (新市)
高雄から嘉義行の區間車(普通列車に相当)に乗る。新しい地下区間を走る。昨日は莒光號(急行に相当)だったので通過していたが、區間車は地下区間の新駅の各駅に停車する。駅間隔は短く、地下鉄のようである。地上に出て、新左營を過ぎると、駅間隔も長くなり、平常に復する。高雄から1時間かかって臺南に到着。さらに北上する。これなら宿は臺南に取った方がよかったかも知れないが、最初は高雄よりまだ南に足を延ばすつもりもあった。しかしLCCとバスでの深夜の移動で疲れるので、臺南を観光して早々に宿に入り、お相撲を見る事にしたのだ。列車は新市という駅で、後続の自強號(特急に相当)の通過待ち。近くで台灣高鐵(新幹線)の高架が交差している。幸田駅を思わせるが、もっと長閑なところである。ところで區間車の発車時刻となっても自強號が通過しない。どうやら遅れているらしい。この後のバスの乗り換え時間があまりないのだが。やっと自強號が通過し、區間車が出発。5分くらい遅れて善化に到着。下車する。
縱貫線で善化站到了
縱貫線 區間車 3152次 高雄(8:33)→善化(10:05) 45EP552 電子票證票價86元
臺灣鐵路管理局 縱貫線 善化車站 (臺南市善化區中山路)
駅頭の様子!
バスが待っているのではないかと期待したが、10時10分の発車時刻は過ぎており、停留所にバスの姿はなかった。次のバスは2時間半後。とても待ってはいられない。
售票窗口(出札口)と剪票口(改札口)
善化は駅前を見ただけで駅舎に戻る。今日の目的地へは善化の他の駅からもバスが出ている。しかし本数は少なく、時間的に善化からのバスが最適だったのだが、乗れなかったものは仕方がない。バスの時間は合わないけど、目的地への最寄り駅へ移動する。
臺灣鐵路管理局 縱貫線 莒光 510次 [E200電力機車] (善化)
莒光號に乗る。出入口の扉は手動。月台(プラットフォーム)の係の女性が扉を閉めているようだが、全ての車両の扉を見て回るのだろうか。
莒光號で善化を出発
莒光號の切符は買わずに、悠遊卡で乗車している。全車指定席だが、座席指定のない悠遊卡の乗客も空席があれば座る事が出来る。車内は空席多数で好きな席に座れる。しかし次の停車駅で下車する。
臺灣鐵路管理局 縱貫線 莒光 510次 (隆田)
莒光號で隆田站到了
莒光號の善化-隆田間の票價は18元だが、悠遊卡などの電子票證(IC乗車券)を使うと、區間車の票價の1割引きで計算されて14元だった。交通系ICカードで特急・急行に乗ったら、料金不要で、運賃は普通列車の1割引きだった感じだが、日本ではありえない。
縱貫線 莒光 510次 善化(10:23)→隆田(10:29) 35SP32973T 電子票證票價14元
臺灣鐵路管理局 縱貫線 隆田車站 (臺南市官田區隆田里中山路)
駅頭の様子! ここまで民國107年11月26日撮影
隆田は3年前に麻豆の總爺糖廠(元の明治製糖本社)を訪れた時に下車している。駅前がなんか小ぎれいになっている。知らないキャラクターもいる。
臺灣鐵路管理局 縱貫線 隆田車站 (台南市官田區隆田里中山路)
民國104年7月25日撮影
駅頭の様子! 民國104年7月25日撮影
こちらのバスの時刻を見てみると3時間位来ない。駅前で客待ちしているタクシーに乗る。運ちゃんにダムに行きたいと言えば、すぐに話は通る。車内で中国語と日本語で書かれた案内を貰う。隆田駅を出発してタクシーは長閑な田園地帯を走る。あまりタクシーは利用しないのだが、以前臺中でタクシーに乗った時、運ちゃんの聞くカーラジオのFMの周波数が気になり、日本に帰って確認していたところ、台湾のラジオが聞けるウェブサイトがあり、時折聞いている。今の時間は好きな番組の放送中のはずである。運ちゃんにラジオをつけてもらうが、聞きたい高雄のラジオ局はこの臺南のタクシーにプリセットしておらず、結局聞く事は出来なかった。臺南も放送エリアのはずなのだが。運ちゃんはダムの中をガイドしようかというが、ダムの入口で降ろしてもらう。帰りに利用する時の連絡用に名刺をもらう。
計程車 隆田火車站→烏山頭水庫 車資(タクシー料金)250元
烏山頭水庫風景區へ! ここから民國107年11月26日撮影
徒歩だがバスや乗用車の料金所のようなところで料金を払って入場する。優待票100元だった。全票(大人)200元なのだが、107年11月1日より108年2月28日まで冬季優惠票價活動で門票一律100元だそう。ダムに来たつもりだが、大きな公園のようである。
舊送水站 旧放水口
ダムの水が用水路に流れ出すところ。理由は後で記すが、ここで合掌する。
平壓塔 平圧塔
噴水みたいな観賞用の物かと思ったが、送水管内の水圧を安定させるための施設だそう。
送水工作站 烏山頭別綫抽水站
KANO拍攝場景
映画『KANO』の場面で出ていた。映画のブルーレイディスクを買ったので再確認しよう。今年の甲子園ではKANOならぬKANANOを応援していた。くしくも準優勝だったが。
八田技師紀念室
烏山頭水庫(ダム)を設計し、工事に携わった八田與一技師。週刊誌か文庫で司馬さん文章を読んでその名を知る。日本ではあまり知られていない石川県出身の日本人だが、台湾では学校で習うのだそう。この紀念室には八田さんに関する資料などが展示されている。これらの資料に見入る。日本語の資料に台湾にいる事を忘れてしまう。紀念室の管理人のような方に「謝謝」と言って退出する。日本から来た事を告げればよかったかなと思う。
殉工碑
工事犠牲者の名前が、日本・台湾区別なく、亡くなった順に刻まれているそう。
堰堤より嘉南平原を望む!
長閑な風景だが、近くを高速道路・國道3號(福爾摩沙高速公路)が走っており、車の音が絶えない。烏山頭交流道(インターチェンジ)に近く、烏山頭水庫は高速とのアクセスは良い。
烏山頭水庫(ダム)のダム湖、珊瑚湖を望む!
臥堤迎暉
大壩石堤 ダム堰堤
大正9年に着工し、昭和5年に完成した烏山頭ダム(貯水池)。川の狭いところを堰き止めたコンクリートダムを見慣れているが、ここはフィルダムという型式らしい。村山貯水池(多摩湖)がこんな感じなのだろうか。
南無阿彌陀佛
遊覧船が見える!
溢洪道 余水吐
ダムの水位が58.18mを超えると、ここから水が流れ出すそう。立木が写真に入ってしまう。
烤肉區 バーベキューエリア 露營區 キャンプエリア
ダムの周りはこんな公園になっている。月曜日の午前中で誰もいない。
九重葛 ブーゲンビリア
吊橋
観光用の吊橋かと思ったが、初めの橋は昭和5年に架けられている。森の管理者、また対岸の村民の通路だったそう。現在の橋は民國75年(1986)に架け替えられたもの。
「毎次限載10人」の注意書きが…
珊瑚橋
案内には「跨虹吊橋」(虹のつり橋)と紹介されている。ダム湖を珊瑚潭と称するから、この橋名となったのか。
橋の上から溢洪道がよく見える!
溢れ出た水は官田溪へ流れ込む!
吊橋の先は行き止まり!
現在は観光用の橋のようだ。扉が南京錠で閉じられ、村人は往来出来ない。
振り返って見る!
下を見ると…
この高さでもちょっと怖い。
天壇公園
天壇
北京にある天壇の四分の三の大きさで造られたそう。こういった建物を見ると、中華民國なんだなと思う。
1,273mの堰堤を歩く!
タクシーの運ちゃんが車でガイドするのを勧めていた訳が判る。中は広大なのだ。歩くのは大変だが、普段の運動不足解消だと思おう。
三等控制點
三等水準点という事か。
火車頭 蒸気機関車
番子田より烏山頭に至る軽便鉄道。ダム建設の物資や人員を運んだ鉄道の機関車のうちの1両が保存されている。番子田は現在の隆田で、今日タクシーに乗った駅である。
ベルキー製の機関車
嘉南大圳南北幹線原始分歧閘門
更新で取り換えられた70年余り使用された閘門が展示されている。ダムの水は嘉南大圳の灌漑設備で嘉南平原の農地を潤す。
烏山頭ダムの歴史
嘉南平野の灌漑用水の問題を解決するため、台湾総督府は嘉南大圳と烏山頭ダムを旧台南州の官田・六甲・大内・東山の4つの地域に跨って設けました。もともとここには利用できる水源はありませんでしたが、八田與一氏が楠西に水閘門を、烏山嶺に導水路を設け、曾文溪の水を引き込みました。そのほか、烏山頭地区に水をせき止めるための堤防を築き、嘉南大圳の「官田渓貯水池」を完成させました。これが烏山頭ダムの前身です。
烏山頭ダムは1920年1月に着工されました。「セミ・ハイドロリックフィル工法」という施工法を採用し、10年あまりの歳月を費やして完成しました。1930年5月から貯水が始まりました。
(説明版より)
ダム完成後、昭和6年に建立された八田さんの銅像がある。
八田與一銅像
背後には八田夫妻のお墓もある。陸軍の命令により南方へ赴くため、宇品を出港した大洋丸に乗船していた八田さんだが、昭和17年5月8日夜、長崎県沖の東シナ海で米海軍の潜水艦の攻撃を受けて大洋丸は沈没。八田さんも犠牲者となった。毎年、命日の5月8日には慰霊祭が行われているそう。そして奥様の外代樹さんは敗戦を迎えた昭和20年9月1日、夫の後を追うように先程見た取水口に身を投げ、亡くなられている。
銅像の場所から眺める先にはダム湖が!
金沢より徽軫灯籠が贈られている!
戦時中の金属類回収令、終戦後も地元の有志に隠されて守られていた銅像は、民國70年(1981)になって元の場所に戻った。大切にされてきた銅像だが、昨年、銅像の頭部が切られるという事件が発生している。像はご覧のように修復されている。
とうに正午を過ぎており、昼食でもと思う。観光バスが何台かと待っているホテルがダム湖畔にある。団体さんが食事をとっているようである。エレベーターで二階に上がって入ってみるが、入口にメニューとか掲示はない。値段が判らない。ホテルのレストランで高いのだろうと思い、帰りは階段で降りて来た。
烏山頭水力發電廠 (臺南市官田區嘉南里)
ダムの水で水力発電も行われている。民國91年(2002)完成の比較的新しい発電所。有効落差24mあまりだが、発電に使った水は、灌漑用水となる。広大な敷地を歩いてダムについては凡そ見たと思うが、八田與一紀念園區(記念公園)があり、昔の宿舎が復元されているようなので、そちらにも足を延ばしてみる。 (つづく)