「20代の若者の70%が今の生活に満足している」という内閣府世論調査結果にショックを受け、いろいろと考えていたら、ブータンという国からイケメンの王様が美しい王妃様を連れだって来日し、「幸せについての全く別の物差し」を平然と突きつけてきた。
ブータンという国が世界一幸せな国だということは、何かで聞かされていたが、この国は世界の多くがGNP(国民総生産)やGDP(国内総生産)を価値の基準にしているのに引き換え、GNH=Gross National Happiness(総幸福量)を国の値打ちを量る指針としているようだ。それによると、GNHの指標は次の9項目ということだ。
・精神面の幸福 ・健康 ・教育 ・文化の多様性
・環境の多様性 ・生活水準 ・地域活力
・時間の使い方とバランス ・良き統治
国民への対面調査でこの9項目を尋ね、数値化して「満足度」を導き出しているようだが、2005年の調査では国民の97%が「幸せ」と答えたという。生活水準という項目もあるが、ブータンの一人当たりGDPは日本の数%程度というから、彼らは経済力や富の量で幸せ度を測っているのではなさそうだ。(本日付毎日新聞3面より)
私たちには、まさにその経済力、富の量が主要な物差しとなってきた。それに対しGNH指標の文化、環境の「多様性」に至っては勝負あり、という感さえした。我々はマニュアル的、画一性で物事を図ってこなかったか? 彼らは多様性にこそ価値を見ようとしているのだ。「時間の使い方とバランス」などいうものは、我々は高度成長経済の中でとっくに捨て去ってきたものだ。
私は、若者が「ユニクロ、ファストフード、家賃シェアーの月五万円生活…」などで満足していることにショックを受けたと書いたが、もしかしたら日本の若者はすでに「ブータンのGNH」を指標に生きているのではないか?
また新たな「考えねばならない課題」が一つ出てきた。