旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

アメリカの酒

2011-11-27 14:56:29 | 

 

 前回の投稿で、『旅のプラズ~世界の酒』に5回も行ったアメリカの酒について書き足りなかった、と書いた。確かに、アメリカについては、バーボンウィスキーに少しふれた後、ニューオーリンズを舞台にラム酒について書いただけであった。しかしラムはカリブ海を中心とした中南米の酒であってアメリカの酒ではない。
 アメリカにはどんな酒があるのか? ビールでいえばバドワイザーとクワーズをたくさん飲んだ。ワインもカリフォルニアワインはじめいろいろ飲んだ。スピリッツはバーボンやラムなど、これまたたくさん飲んだ。しかしバドワイザーの起源は、本でもふれたが、チェコの「ブデェヨヴィッキー・ヴドヴァル」だ。ワインは、古くはバビロンからヨーロッパ文明が生み出した酒だ。バーボン・ウィスキーは当然イギリスのスコッチ・ウィスキーを源流とするし、ラムは前述したようにカリブ海の砂糖産業が生み出した酒だ。
 アメリカ原産の酒はないのではないか?(インディアンなど原住民の酒を私はまだ飲んでないが、これは現在北米を支配するアメリカ人の酒とは言えない) つまりアメリカはまだ200年の歴史しか有していない若い国だ。坂口謹一郎が名著『日本の酒』の冒頭に書いた「世界の歴史を見ても、古い文明は必ずうるわしい酒を持つ」という対象になり得る歴史を持っていないのだ。
 とはいえ、私はアメリカの酒文化を決して低くは見ていない。彼らは全世界の酒を取り入れて、むしろ自分の酒と消化して、さまざまな食事や生活とともに飲んでいる。私はアメリカへの5回の旅で(しかも当初の外国旅行は、何回ものアメリカに始まった)、世界の様々な酒を知ったといってもいいくらいだ。それほどアメリカのバイタリティーはすさまじいものがある。アメリカに行けば、世界の大半はわかるのかもしれない。
 ただ、そこではあらゆる世界に触れることはできるが、それぞれの文化の「もう一つ奥深い味わい」は、それを生み出した国に行かなければわからないが…。


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