旅に出る回数がすっかり少なくなってきた。海外旅行は、2011年のオーストラリア旅行以来出かけていない。あの旅の最中に、留守にした日本が東日本大震災に襲われたショックもあって、「年1回」を続けていた海外旅行に終止符を打った格好になった。と言うより、エネルギーの限界を感じてきたと言うほうが正しいだろう。時差を含む長期の旅はそれなりのエネルギーを必要とする。エネルギーには体力だけでなく資力も含まれ、年金だけの生活ではそう思うにまかせない。
海外旅行がすくなった半面、国内の旅の頻度が増していたが、これも今年はほとんどなかった。傘寿の同窓会で帰郷した際に郷里の思い出の場所を回ったのと、山びこの会での蓼科くらいのものだった。前者は、帰郷のついでにもう一度行きたい心に残る場所を再訪しようと一週間ばかり滞在して、四浦半島めぐりや姫島探訪、竹田の岡城址などを歩いて若き日の思い出をたどった。後者は年1回の山びこ1泊登山に同行し、私は山には登らず高原歩きで2千メートル級の山の空気を吸うことにしている恒例の行事だ。
いずれも旅というほどのものではなく、長く続いた旅の記録も、そろそろ終わりを告げるときが近づいたのかもしれない。今後、大きな旅出かけることはおそらくないであろう。
ただ、私の書斎と脳裏には、たくさんの旅の記録と記憶がある。ここ9年にわたり書きなぐってきたブロの中にも、旅のカテゴリーが349項に上っている。整理の終っていない膨大な写真が、アルバムや紙袋、それとパソコンの中に埋まっている。これらを辿れば、あのすばらしい旅の数々が再現できる!
旅とは実にすばらしいもので、計画の段階、現地の段階、その整理の段階でそれぞれ異質の楽しみを味あわせてくれる。旅先当地が一番楽しいかと言えば必ずしもそうでもない。年を経ていろいろな書物なども読み比べながら辿る想い出が、現実の旅よりはるかに豊かになる例はいくらでもある。
過去30年の旅の記録(含む記憶)から、自らが選ぶ「紀行文ベスト10」、「写真ベスト10」、「思い出の品ベスト10」を選ぼう、などと思って久しい。それぞれ10個選ぶなどとは至難の業と思われ、これ以上対象を増やさないように、だんだん旅の回数を減らしているのかもしれない。
来年は、いよいよベスト10選びに着手するか。
庭の紅葉(一週間前、12月10日撮影)