平成の代になって四半世紀が過ぎたが、この間、日本酒はどのような飲まれ方をしてきたのであろうか? 次の表は日本酒の種目別消費量の推移表である。(単位:千kl)
平成元年 構成比 平成26年 構成比 伸び率
アル添吟醸 16.2 1.2% 24.9 4.4% 151%
純米吟醸 10.3 0.7% 31.5 5.6% 306%
純米酒 36.1 2.6% 59.4 10.6% 165%
本醸造 158.7 11.4% 51.6 9.2% 34%
普通酒 1165.9 84.1% 393.3 70.2% 34%
合計 1387.2 100.0 560.7 100.0% 40%
日本酒の消費量は、1973年(昭和48年)ごろをピークに減少に転じたが、平成に入ってもその傾向は続き、この25年間でも1387千kから561千klへと40%に減じている。半減どころではないのである。しかしその中身を見ると、普通酒と本醸造酒(普通酒よりは添加量を抑えているがアルコール添加酒)が三分の一に減ったことが主因だ。
逆に、純米吟醸酒は3倍へ、純米酒は1.6倍へと純米酒系は増えており、アルコール添加酒でも大吟醸酒など吟醸造りの酒も1.5倍に増えている。つまりよい酒は増えているのだ。
普通酒というのは、醸造用アルコールを大量に添加し、糖類や調味料などを添加した酒だ。本来の日本酒である純米酒とはかけ離れた酒で、これが戦後の日本を席巻してきたのであるが、前述したように1970年代中葉以来、本物に目覚めた人々に見放され減少を続けているのである。とすれば、これはむしろ喜ばしいことであり、ニセモノが淘汰され本物の評価が高まって、近時の輸出拡大に見られるように世界的にも日本酒が評価が高まってきているのである。
本醸造酒は普通酒よりアルコールの添加量を抑えているが、それでも本来の日本酒からすればニセモノに相違なく、これもやはり三分の一に減じている。ゴマカシは効かないのである。しかしそれでも、普通酒がまだ70%を占めており、本来の日本酒である純米酒は20%に満たない。この傾向は今後どうなっていくのであろうか?