旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

絶賛! オペラ「カプレーティとモンテッキ」

2016-08-07 16:13:37 | 文化(音楽、絵画、映画)

 

 娘とミャゴラトーリの面々が心血を注いで取り組んできたオペラ「カプレーティとモンテッキ」が、好評を得て終わった。二日とも満席となり、少なくとも私の周囲の人たちは絶賛してくれた。
 私は、この聞きなれない題名のオペラが、いわゆる「ロミオとジュリエット」の物語であるが、シェイクスピアの悲恋物語と全くちがう戦争の話だということを多くに人に語り宣伝してきた。そして観賞してくれた人たちが私に語ったのは、「お前の説明より何十倍も素晴らしかった。やはり見なければわからない、ということがよく分かった」という言葉であった。これは嬉しかった。私は、オペラを見たことがない、という人に「並のオペラではないのだ。騙されたと思って一度見てくれ」と言い続けてきたから…。

 戦争の空しさ、殺しあう人の世の空しさ…、このメッセージは十二分に伝わったと思う。その大半は岩田達宗演出のすさまじさにあったようだ。その演出力で、実力派歌手たちが、その能力の限界以上のものを引き出されて、通常の水準をはるかに超える舞台が生み出されるのであろう。

 両家の争いで、人々は次々に死んでいく。いや、全ての人が死に絶え、黒いヴェールをかむり灯篭を携え、星になっていく。生き残ったのは、戦争の張本人、カプレーティ家の家長カペッリオ(ジュリエッタの父)だけだ。彼が、墓場に横たわるロメオとジュリエッタを見て、「誰が二人を殺したんだ」と叫ぶと、かつての部下で今やヴェールをかむり灯篭を携えた亡霊たちが、「殺したのはお前だ! 人間ども!」と叫び詰め寄る。
 ここで物語は終わる。暗転したあと舞台上にジュリエッタがすっくと立つ姿を映してオペラは終わる。そういえば、ジュリエッタが死ぬ場面は描かれていない。そしてもう一人、重要な役を演じるロレンツォの生死も描かれていない。もしかしたら二人は生きたのかもしれない。少なくともジュリエッタは、「お前は生き抜け!」というロメオの最後の言葉を頼りに生きたのではないか? そして、二人を生かすすために周囲と闘い続けたロレンツォも、また新たな役どころを求めて生きたに違いない。そう見るのは甘いのかもしれないが…。

 以下、初日のゲネプロの舞台の写真をいくつか。

        
 
           
  
  


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