日本酒が美味しくなったことについては何度も書いてきた。特に最近の傾向は、甲乙つけがたいような高水準の酒が、全国的に出てきたということだ。つまり、日本酒の全般的な水準が上がってきたということだろう。
飲んでおいしい酒、食べながら飲んでおいしい酒、を基準に全国の蔵から選び抜かれた「純米酒大賞受賞酒」を楽しむ会に参加したが、そこに出された各部門の金賞受賞酒32銘柄47点は、ただただ驚くばかりの水準で、どれを飲んでもおいしかった。
中でも、本年グランプリを獲得した「陸奥八仙」は素晴らしかった。毎年のグランプリ酒に共通するが、すっきりしたふくよかなコメの甘味、食の妨げにならない豊かな香り、心地よいのど越し、そして後にはイヤ味がなにも残らない。
このグランプリを、一昨年は山形の「秀鳳」が、そして昨年は山口の「毛利」が獲得した。私は幸運にも、今年の「陸奥八仙」(青森)を含めた3品を入手することができて、この3酒を毎晩少しずつ飲んでいる。上記した特性が共通しながら、またそれぞれの個性を感じさせるこの3品に至福の時を感じながら……
「八仙」を中心に並んだ全国の金賞受賞酒
左「秀鳳」、右「毛利」