やがて妻は、ピアノ教室を弟子ともども娘に譲った。娘は、ピアノのレッスンを続ける傍ら、予てから計画していたオペラ普及集団ミャゴラトーリを立ち上げた。10年ぐらい前のことである。
わが音楽室は、「首藤ピアノ教室」兼、NPO法人「ミャゴラトーリ」の活動拠点となった。子供たちのレッスンが終わると、オペラ歌手たちが現れ歌の練習を始める。「練習場が欲しい」と娘はいい続けていた。
私は予てから気になっていた部屋の改造に踏み切った。全体を拡張するゆとりはないが、せめて音楽室に食い込んでいた洗面所を外に移し、効率的に使用できるようにと思ったのだ。2015年のことであったが、改造により玄関まわりはやや狭くなったが音楽室は正常な形になり、奥にグランドピアノが収まって、8~10畳の正方形に近い空間が取れた。指揮者とピアニストに加え、2,3人の歌手の歌稽古ぐらいはできる。決して満足ではないが。
こうしてわが音楽室は、小さいながらも娘の仕事場と化したのである。(つづく)
獲物を狙う将軍池(松澤病院)のサギ(?)