第14回「山桜桃の会」を湯島の『ふくろう亭』で開いた。ここでは2回目の開催となったが、それは前回欠席したMiさんが「『ふくろう亭』の焼き筍」をどうしても食べたいという強い要望を持っていたことによる。彼女は前回、ロサンゼルスの息子のうちにいて、「焼き筍がおいしかった。あまりおいしいのでお代わりした」という私のブログをロスで読み、その要望を抱き続けていたのだ。太平洋越しの強い要望を無視したのでは何が起こるかわからないと、シーズンまで指定して今回の山桜桃の会となったのだ。
ところが、これが桜のシーズンと重なった。このところ桜の満開は3月下旬が続いていたので、4月4日は見どころを過ぎているかと思ったが、今年は寒さが続いて満開の時期となった。それなら、近くの上野公園を回り、湯島に降りて宴を張ろう、ということになって、久しぶりに上野の桜を満喫した。
毎年どこかの桜を見るが、中でも「東京の桜のメッカ」の一つとされる上野公園の桜は何十年ぶりのことである。何十年も近づかなかったのは人混みを恐れてのことであったが、その人混みもいいものだとつくづく思った。桜にも、枝垂れ桜や八重桜などいろいろあるが、結局はソメイヨシノが一番ではないか。ごった返す人混みと歓声、酒の香りと食べ物のにおい、この人の営みを覆いつくすのはソメイヨシノでなければならないと改めて思った。
上野に詳しいM君、U君の案内で、「時忘れじの塔」、「時の鐘」、「上野大仏」、「清水寺」などを周り、不忍の池を経て湯島に向かった。これらの史跡を回りながら、桜の美しさもさることながら、東京都民と上野公園の縁の深さに思いをはせた。大きい事件だけでも大正末期の関東大震災、第二次大戦の東京大空襲があるが、そのような災害から、都民はまず上野の山に逃げたのだ。そのさまざまな思いが、華やぐ桜の陰に毅然として残っていた。
『ふくろう亭』では、「焼き筍」はもちろん、様々な季節の料理で定番の「一ノ蔵掌」を傾ける。今回はそれに「酒呑童子あらばしり」(由良の「ハクレイ酒造」の酒)を加えた。刺身の盛り合わせが出たが、その中にクジラの刺身があった。いかにも哺乳類の肉らしく、赤々と存在感を示していた。塩釜出身のU君が、港にあげられるクジラの様子や、東北の人たちがいかにクジラを常食していたかを語ってくれた。いやあ、全ておいしかったなあ。Miさん執念の「焼き筍」の写真だけは掲げておこう。
上野の桜のついでに、その前後に見た「上北沢の桜」よ「神田川の桜」も掲げておく。いずれも上野に比べて寂しいが。
上北沢の桜
神田川の桜
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