とにかく日本酒は新時代を迎えていることになっている。その新時代を、日本酒について語らせれば際限なき「新しい日本酒の創業者の方々」のパネルディスカッションがあった。(パネラー:高瀬斉、尾瀬あきら、太田和彦、古川修、司会:友田哲郎元テレビ大分アナウンサー)
つまりこのパネラーたちは、戦中戦後の堕落した日本酒の中にあって、地酒を中心に「日本酒ルネサンス」を起こした人たちである。
古川教授は私はよく存じ上げていないが、尾瀬あきらさんはかの『夏子の酒』で一世を風靡し、それは漫画と言うより「酒造の教科書的書物」となって、多方面の人々に読まれたのである。太田さんの「居酒屋から見る日本酒」は、飲み手からあたらしい日本酒を求めたもので、私もまさに立場を同じくする。酒は、飲む人の評価でどうにでもなる筈であるから。高瀬斉さんは、早稲田の漫研を経て一貫して「酒の漫画」を書き続け、「純米酒普及推進委員会」の委員長として、本物の日本酒の普及に生涯をかけている。
このような方々のディスカッションは、自ずとして方向は定まっている。大方の意見は以下のとおり。
・いろいろ言われるが、日本酒の未来には悲観していない。
・日本酒の質は文句なし。今の日本酒は相当な水準にあると
確信する。
・蔵元も、酒販店も、飲み屋も、もっと自信を持って日本酒
を推奨せよ。
と言うことで一致。
焼酎ブームやワインブームが問題になるが、「焼酎は蒸留酒であり質が違う。これと争う必要はない。むしろ問題はワインか・・・?」という意見あり。しかしこれにも、「ワインは赤と白の2種類、日本酒は大吟醸から普通酒まで相当な種類あり、負けない」などの意見もあった。(昨年ドイツ、フランスを旅して、ドイツの白ワインだけでも、「カビネット」、「トロッケン」、「ベーレン」、「アウスレーゼ」、「アイスワイイン」・・・など、またその組み合わせも含めて、きわめて多種類の酒があるので、あなどれない、と思ってはいるが)
まだまだたくさんの良い話があった。その中から、尾瀬あきらさんの次の話を掲げておく。
「法的に酒を飲める20歳になった娘を、自分の行きつけの飲み屋に連れていって、初めて飲ませるアルコールとして、おいしい日本酒話を飲ませたある親父の話を聞いた。これはいい。そこでいい酒を飲んだら、その娘はキッと日本酒を好きになる。このように、自分の飲む日本酒に誇りを持ちたいものだ」
日本酒は、特に娘などには「かっこいい酒」とは思われていない。それは、日本酒を飲む親父(おやじ)たちの、卑屈な姿勢の中にも原因があるのではないか?
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