オランダのクレラー=ミューラー美術館展を見るために国立新美術館に出かけた。「印象派を超えて 点描の画家たち ~ゴッホ、スーラからモンドリアンまで」という長い副題がついた絵画展であった。
点描画には不思議な魅力を感じていたので、一度じっくり見たいという思いがあった。ちょうど日蘭協会がこの美術展に関する講演会を開いてくれた。講師は国立新美術館企画室長で主任研究員の長屋光枝氏。実に丁寧な講演で、その一時間のお話に続いて展覧会を観賞したので非常によくわかった。
点描とは、簡単に言えばこのようなことらしい。
これまでの絵画は絵の具を混ぜ合わせていろいろな色を出し描かれてきた。点描は絵の具を混ぜ合わせることなく、原色のまま、隣り合わせに点を打っていき、鑑賞者の網膜の中でその点が混ざり合っていろいろな色になっていく…。
そもそも印象派は、戸外に光を求め、カンバスに原色を打って光と空気を表現してきた。スーラやシニャックは、その印象派の筆融分割をさらに超えて科学的、合理的な点にまで分割していったということだ。
だから点描主義は分割主義とも呼ばれる。スーラは自分の画法を点描主義と呼ばれることを嫌い、分割主義と主張していたという。
確かに、距離を置いて見ると光り輝く様々な色に見えるが、画面に近づくとすべてが原色の点で、色を分割した原点がそこにあるというのだろう。画家はその原点を見つけ出しカンバスに打っていき、見る人は網膜の中でその点を混ぜ合わせ様々な色(絵)を見ていくのだろう。
長屋氏の講演ともども大変興味のある展覧会であった。