旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

今年を振り返る … 文化

2016-12-29 16:19:45 | 文化(音楽、絵画、映画)

 

 既述の通り、今年の投稿項目の顕著な変化は、旅と酒の、特に旅の投稿が激減して、、その代わりに文化とスポーツが多くを占めたということであった。特に文化は、全58件中13件を占め、ウェイトは時局雑感を除けばトップとなった。
 その内容は、圧倒的にオペラに関することが多く、つまり、娘の主宰するNPO法人ミャゴラトーリの活動紹介で占められている。前半は、8月に公演したベッリーニ作曲のオペラ『カプレーティとモンテッキ』の記事で、後半は、明けて1月9日に公演する松井和彦作曲『泣いた赤鬼』の紹介だ。
 この二つの物語は、オペラというより別の形で知られている。前者はシェイクスピアの演劇『ロミオとジュリエット』として、後者は浜田廣介童話の代表作として、いわば子供向けの話として。ところが、娘がこのオペラを取り上げた動機は、単なるメロドラマや子供向けの話ということではなく、その原作が奥深く問いかける戦争の愚かさや差別思想の恐ろしさという、人間の問題の根源に触れる内容がその中にあるからだ、ということであった。
 つまり、21世紀にいたってまだ人類が当面している戦争(新たなテロを含む)や差別問題(貧富の格差、難民問題など)を考えるとき、これらのオペラは、きわめて現代的課題を提起しているということだ。過去の一般的演劇や物語としてみるのではなく、現時点の課題に照らして見つめ直そうということだ。したがって娘は、『カプレーティとモンテッキ』を、大人たちの愚かな争いの中で苦悩するロメオとジュリエッタの戦争告発として描こうとし、『泣いた赤鬼』も大人向けの本格的オペラとして取り組んだようだ。その根底には、「大人のわかるものは子供もわかる。大人に差別の根源がどこにあるか見てほしい」という願いがあるようだ。
 私自身としても、この二つのオペラに接する中で、特に『浜田廣介童話集』を何度も読み直す中で、相当に勉強をさせられた。時あたかも「戦争前のめり安倍政権」の暴走が日々の政局を動かしているだけに、絶えることなき人間の愚かさを見せられているようで、うら悲しい思いを続けている。来年はどうなるのだろうか?


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