先の大戦で日本は中国、アメリカを相手に戦って敗北した。
だが戦争は半世紀以上前に終結したわけではない。
戦争とは武器を持った殺し合いだけを言うのではない。
現代の戦争は外交もその一つであり、メディアや映像を利用した情報戦も国益を左右する重要な戦争の一つと言える。
≪戦争とは他の手段をもってする政治の継続である≫
(クラウゼヴィッツ『戦争論』』)
中国とアメリカを相手に戦った日本に対して70年後の今年、米中は合作映画という手段で日本に情報戦争を仕掛けてきた。
中国の国営テレビとの共同制作による米中合作映画「南京」の上映によって、中国に情報戦の宣戦布告をしたのだ。
だが中国の政治プロパガンダ映画で嘘塗れの「南京」の前に拱手傍観、雌伏したままでいい筈はない。
これに対抗して良識ある日本人が立ち上がったことはに対抗して、日本でも自主映画制作の話が持ち上がったことは「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」で詳しく伝えている(前稿)。
◆「南京の真実(仮題)」http://www.nankinnoshinjitsu.com/
◆記者会見http://www.youtube.com/watch?v=n_SNKHu5vow
大東亜戦争を日本と合作で戦った米中が、ここに来て合作映画で情報戦争を仕掛けてきた理由を、
国際法に詳しい佐藤和男青山学院大学名誉教授は次のように語っている。
「東京裁判は日本人に罪悪感を抱かせるための政治ショーに過ぎない。原爆投下は史上最悪の犯罪だが、南京は米国の原爆犯罪のすり替えだ」。
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映画「南京」 サンダンスで初公開 際立つ「日本の残虐性」
【ソルトレークシティー(米ユタ州)=松尾理也】1937年12月の「南京事件」をテーマにした米ドキュメンタリー映画「南京」が、ユタ州パークシティーで開催中のサンダンス映画祭で初公開された。同映画の制作陣は産経新聞と会見し、「反戦映画ではあるが、反日映画ではない」と述べる一方、中国の国営テレビ局との共同制作の形をとっていることなど、中国との密接なかかわりも認めた。
「南京」は、当時南京に滞在していた欧米人の証言、事件で生き残った中国人へのインタビュー、旧日本軍兵士へのインタビューの三つの角度から事件を描く構成になっている。
このうち、中国側のインタビュー部分には、生存者が出演し、涙をながしたり、傷跡を示したりしながら、日本の残虐性を訴える。
一方、旧日本軍兵士の部分の多くには、日本国内の平和活動家によって収録されていた過去のインタビュー映像を使用。一部には、文脈は不明ながらも、笑いながら虐殺を語る映像なども挿入され、中国側との対比が強調されている。
制作指揮はインターネット接続大手AOLの元副会長、テッド・レオンシス氏がとり、監督は、アカデミー賞短編ドキュメンタリー賞を2度受賞したビル・グッテンターグ氏が務めた。
レオンシス氏らによると、同作品は、中国中央テレビ(CCTV)の協力を受けて制作され、今後同テレビでの放送が予定されている。日本での公開は未定だが、同氏らは「広範な取材、調査に基づき、正確な内容を期した。多くの日本の人々にも見てもらいたい。政治的な意図はない」と話している。
サンダンス映画祭は全米最大規模の独立系映画祭として知られる。今年のドキュメンタリー部門には856の応募から「南京」を含む16本が選ばれ、上映されている。
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■語ろうとしたのは歴史の一つの側面
プロデューサーのテッド・レオンシス氏、監督のビル・グッテンターグ氏との一問一答
--映画「南京」の制作意図は
レオンシス氏「ヒーローの物語としてつくった。それは違う背景でも語られうるが、今回、私が選んだのが南京だったということだ。ただし、南京事件が世界的にはほとんど知られていない問題であるということが、制作の理由でもある」
--事件をめぐっては、さまざまな論争がある
グッテンターグ氏「この主題についてこのストーリーしかないと主張するつもりはない」
レ氏「犠牲者数についても、激しい論争があるのは承知している。そこで、私たちは東京裁判での数字を引用することにした。もっと少ないという意見はあるだろう。では、少なければ問題ないのか?というのが私の意見だ。数の多寡は問題ではない」
--反日映画ではないと強調しているが、日本に肯定的な部分はほとんど感じられない
グ氏「語ろうとしたのは、歴史の一つの側面だ。いろいろ取材はしたが、結局、当時現場にいた人々についての映画にすることにした」
--旧日本軍兵士が笑いながら虐殺を語る記録的なシーンが会場でも波紋を呼んでいたが、ああした映像は意図的に選んだものか
グ氏「70年も前の出来事を語る際には、入手できた記録フィルムが最良の映像として、よしとしなければならない場合もある。元兵士が笑っていようがいまいが、そこに何らかの含みを持たせる意図はなかった」
--日本では石原慎太郎・東京都知事らにも取材を行ったそうだが、そうした保守派の意見はまったく反映されていない
グ氏「その部分が映画に含まれていないことは遺憾に思う。しかし、私は同様に、他にも取材しながら映画からそぎ落とした多くの部分についても遺憾に思っている」
--故アイリス・チャン氏の「レイプ・オブ・南京」にはどれほどの影響を受けているのか
レ氏「チャン氏の死亡記事をみたことが制作のきっかけになったのは事実だが、同書については史実的に不正確な記述が多いと聞いている。この映画は同書に基づいて作られたものではない」(産経新聞 2007/01/26 09:08)
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この映画はアイリス・チャンの「レイプ・オブ・南京」に触発されて製作されたことは間違いない。(「「チャン氏の死亡記事をみたことが制作のきっかけになったのは事実だ・・」プロデューサー談)
「アイリス・チャンの考証もされていない本が基礎となっているが、アイリスの翻訳さえ日本では左翼系出版社も、あまりに誤りが多いので出さなかった。
こんな出鱈目本を基礎に、あのアメリカが映画を作ったのだが、日本でさえ文部省検定では南京事件があったことを書かないと検定が通らないという惨状を呈している」(藤岡信勝拓殖大学教授)
◆「レイプ・オブ・南京」の日本での販売権を持つ柏書房が今なお日本での発売が出来ない理由。(ニューヨーク・タイムズ)http://www.jiyuu-shikan.org/oversea/03/035/ntimes.html
◆アイリス・チャン「レイプ・オブ・南京」についてはhttp://www.history.gr.jp/~nanking/chang.html