沖縄の魚料理は刺身を除くと、大体次の四つに分けられる。
焼き魚、バター焼き、煮付け、そしてマース煮。
マース煮以外は全国どこでも見られるがマース煮は沖縄独特の料理。(・・と信じている)
マースとは沖縄語で塩のことなのでマース煮に匹敵する魚料理に潮煮(うしおに)が思いつく。
潮煮はあら(頭)等はぶつ切りにし塩のほかに醤油を垂らしたりする。
だが、沖縄のマース煮は原則として味付けは自然塩のみのシンプル料理で皮に包丁を入れて味がしみこむようにする他は姿煮が原則。
材料は白身の魚を原則とするが、中でも「エーグヮー」が最適。
和名は「アイゴ」。
アイがエーと訛り愛称の接尾語小(グァー)が着いて「エーグヮー」とくれば理解できる。
背びれには猛毒があり、刺さると大人でも大変らしい。
だが、スーパーとかで売られている時は背びれは切除されて売られているから安心。
調理方はシンプルそのもの。
塩で煮るだけだが島塩(マース)を使うのがミソ。
「エーグァーのマース煮」とはマース煮の代名詞ともなっている。
おっと、沖縄語講座が沖縄料理講座に脱線しそうなので詳しくは専門のサイトにバトンタッチ。
・マース煮レシピhttp://www.ryukyu-goten.com/shop/how/egua.html
これから体勢を立て直して沖縄語講座です。
本論の「マース」は「塩」のこと。
まず潮(うしお)煮の「うしお」が「うす」に訛る。
沖縄語で「うすみじ(水)」は「海水」のこと、潮水の訛りといえば分かりやすい。
「うすみじ」を煮詰めると水分が蒸発して「うす」そのものが残る。
その「うす」そのものを「真(ま)うす」、即ち塩である。
「まうす」が「マース」に訛るのはごく自然の流れであろう。
潮水(うしお水)⇒うすみじ(海水)⇒真うす(塩)⇒マース
これにて塩がマースに変化する謎の解明は終了。
ちなみに「エーグヮー」の稚魚を「スク」と称しこれを塩漬けにした「スクガラス」は泡盛のよき友。
島豆腐の上にスクガラスを乗せた「スク豆腐」を肴に泡盛でチビリチビリ・・・嗚呼!こたえられない。
邪道ながら「マース煮」に生姜や醤油を入れる応用もあるようだ。
ミネラルたっぷりの島マースを使用すればその必要も無いと思うのだが・・・。
・スク豆腐http://www.ryukyu-goten.com/shop/how/egua.html
それにしてもエーグヮーとはよっぽどマースに塩(えん)の、もとい、縁の深い魚だ。
親はマース煮で子はマース漬けとは・・・マスマス好きになった。
最後に極めつけの狼魔人流応用レシピ。
(但し味の好みはあくまでも自己責任。当日記は一切その責任は負わない)
①マース煮の汁で沖縄そば汁を作る。
②スクガラスの「漬け汁」(魚醤)でチャンプルーの出汁に使うとタイ料理のトムヤムクン効果が出る。