春秋(5/28)
「今のタクシー業界はおかしい」。そんな疑問を感じた運転手10人が都内で新会社を旗揚げした。参入規制などが緩和された5年前の話。乗り心地のいい高級車をそろえた同社が掲げた目標は「積極的に乗りたくなるタクシー」だった。
▼ワゴン車が多い。家族4人と荷物が1台に乗るため自宅から空港へ向かう客に喜ばれる。勘に頼らぬ流しを目指しGPSで優秀な運転手の行動を解析、客の目にとまりやすい信号待ちの位置などの知恵を共有した。携帯電話の充電器も置く。接客に気を配るよう売り上げではなく客の感謝の声を査定の基準とした。
▼工夫が評判を呼び車両は現在140台。運転手(同社では「乗務担当社員」と呼ぶ)の平均年収は580万円と業界の2倍に迫り、全産業平均も上回る。留学生に同乗してもらう通訳付きタクシーは外国人観光客に、時間制での契約は出費の上限が心配な高齢者に歓迎されているという。
▼少子高齢化が進む中、小回りのきくタクシーは重要な公共交通機関。盛岡市では初乗りが750メートル280円というタクシーが登場し「ちょっとそこまで」という需要を掘り起こしている。同質なサービスを前提にするから、値上げを巡り需給と価格ばかりが問題になる。安全で多様なサービスを後押しする議論も関係者には期待したい。
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京都に一泊した時、宿泊ホテル(京都東急ホテル)から清水寺までの往復にタクシーを利用した。
清水寺では修学旅行の大集団に巻き込まれもみくちゃになった・・・が、これはどうでも良いこと、帰りのタクシーは偶然MKタクシーだった。
タクシー料金は1000円前後の料金で往時よりも150円程度安かった。
が、何よりキチットした制服制帽で接客も気持ちよかった。
たった一回の乗車で云々するのもどうかと思うが、初めての観光客にとって乗ったタクシーの印象はその観光地の印象に大きく影響する。
値段が安くて接客態度が良く、おまけに会社が儲かって従業員の待遇がよければ利用者としては言うことなしなのだが。
京都のタクシーの接客はMKタクシー以外も総じて接客の印象は良かった。
京都の前日は「大阪シティホテル京橋」に泊まったがそのとき利用したタクシーにはベテラン運転手の悪い面が出ていた。
娘夫婦とホテルの近場で豆腐会席を食べたが調子に乗ってビールから日本酒まできこしめしてしまい帰りはタクシーを拾った。
「大阪シティホテルまで」といっても「京橋シティホテルやろ」と言うので
「大阪シティホテル京橋」とフルネームで告げた。
それでも「長年この近辺で仕事しているが、京橋シティホテルは在っても、大阪シティホテルなんちゅうホテルは聞いたことおまへん」と譲らない。
相手がいくらこの辺に詳しいとは言え、こちらはほんの数時間前にチェックインしたばかりで大きなホテルの看板もこの目で見ている。
ホテル名を間違えるはずは無い。
それにネット検索で予約したホテルであり、名前を間違えるわけは無い。
ここで小説の世界ならブチ切れて「もし大阪シティホテルがあったらどうしてくれる!」と開き直ると物語の展開は面白くなる・・・いや、タクシーの運転手との揉め事なんて面白くもなんとも無い。
どうやらベテラン運転手の言う「京橋シティホテル」と我々の目指す「大阪シティホテル京橋」は同一ホテルと思われたので以後無言で運転手の目指すホテルへ向かった。
勿論到着したホテルには大きな「大阪シティホテル京橋」という看板があったが・・・。
で、運転手は何か言ったかって?
何も。
我々もべテン運転手の勝手な思い込みをとがめるほどヤボではなかった、いや、実のところほろ酔い気分で早く寝たかったのが本音。
ところで肝心の豆腐会席はどうだったかって?
大阪に住む娘が予約してくれたJR京橋駅近くの「梅の花」で4000円の会席を賞味したが味、接客、店の雰囲気といずれも4000円、いや、それ以上の満足感を得て、つい日頃滅多に飲まない竹筒入りの日本酒までやってしまった次第。
おそらく同じようなメニューを京都で「豆腐会席」として食べたら倍近く(8000円前後)取られても仕方ないと思われる程のお勧めの店である。
◆「梅の花・京橋店」http://r.gnavi.co.jp/k021610/menu1.htm
◆MKタクシーhttp://www.mk-group.co.jp/kyoto/index.html