安倍事務所、朝日提訴…前代未聞「首相の法廷反撃」
安倍晋三首相
安倍晋三首相の公設秘書らは9日、長崎市長射殺事件に「関係」があるかのような記事や広告を掲載され、著しく名誉を傷つけられたとして、「週刊朝日」を発行する朝日新聞社や編集長、記者を相手取り、謝罪広告の掲載と4300万円の損害賠償などを求める訴訟を東京地裁に起こした。週刊朝日は、広告の見出しについて一方的な謝罪記事を掲載したが、原告側はその文面も名誉棄損に当たるとして、この記事を取り消す広告の掲載も求めた。安倍Vs朝日の因縁バトルは、ついに法廷に持ち込まれた。
「民主主義を冒涜する卑劣極まる犯罪に関係があるような事実無根の記事を書き、新聞広告や電車の中吊り広告で大宣伝しただけでなく、謝罪記事や謝罪広告でも暴力団との関係を印象付け、社会的信用をおとしめるなど極めて悪質。徹底的に戦う」
安倍事務所の関係者はこう語る。現職首相が矢面に立つのを避けるため、公設秘書ら3人が原告になった。
問題視しているのは「週刊朝日」の5月4、11日合併号。
同誌は「山口組系水心会と安倍首相の『関係』を警察庁幹部が激白」との見出しで、長崎市の伊藤一長市長射殺事件の背景として、安倍事務所に以前在籍していた秘書が右翼団体から文書を送り付けられるトラブルに見舞われたことがあるかのような記事を掲載した。
また、4月24日の新聞各紙にも「長崎市長射殺事件と安倍首相秘書との『接点』」「長崎市長射殺犯と安倍首相の『関係』」「城尾容疑者所属の山口組系水心会と背後にある『闇』を警察庁幹部が激白!」といった同誌の広告を出した。
事実ならば、政権の存立基盤を揺るがしかねない大スキャンダルだが、安倍首相は24日夜の記者会見で「まったくのでっち上げであって、捏造だ」と完全否定。「いわば言論によるテロ。これは報道ではなく(朝日新聞の)政治運動ではないか」「私や秘書が犯人や暴力団と関係があるならば、直ちに総理大臣も衆院議員も辞める」と憤りをあらわにした。
これに驚いたのか、同誌は25日付の朝日新聞朝刊に、山口一臣編集長名で「一部広告の見出しに安倍首相が射殺犯と関係があるかのような不適切な表現があった」とのコメントを小さく掲載した。
「週間朝日」に掲載されたおわび。広告については謝罪したが、記事の内容については謝罪していない
28日付の朝日新聞や同誌5月18日号にも「お詫び(おわび)」を掲載したが、記事の内容については「首相の元秘書が市長銃撃事件の容疑者が所属する暴力団組織の幹部などから脅されていたという証言を取材によって検証した」として、正当性を強調している。
これに対し、前出の事務所関係者は「まったく、話にならない」といい、こう語る。
「マスコミの使命は、不確かな証言や情報を綿密な取材で検証し、真実か否かを突き止めて報道すること。問題の記事は『事件の背景はやはり奥深く、いまだ全貌は見えない』と締めくくられている。つまり、真実の特定ができていない証拠だ。それなのに、あのような記事や広告、謝罪記事で、暴力団が関係あるかのような印象を読者に植え付けた。水心会幹部に脅された事実はない。週刊朝日や朝日新聞の悪意を感じざるを得ない」
HNK番組改変や憲法改正、靖国参拝などをめぐり、相反する立場にいる安倍首相と朝日新聞。因縁のバトルの行方は…。
★因縁は…
安倍首相と朝日新聞の因縁は深い。
首相が自民党幹事長代理時代の2005年1月、旧日本軍の慰安婦問題を裁く疑似裁判を取り上げたNHKの番組(01年1月放送)について、朝日新聞は政治的圧力で改変されたとの記事を掲載。
当時、首相は「朝日らしい、悪意と捏造(ねつぞう)に満ちた記事」と反論。自民党も同紙の報道を詳しく検証するプロジェクトチームを設置し、公開質問状を出すなどした。
また、首相が昨秋、村山談話の踏襲など歴史認識を軌道修正したことについても、朝日は10月12日付の社説で「君子豹変(ひようへん)ですか」とのタイトルで報道した。
この朝日の報道姿勢は毎日新聞のコラム「発信箱」(同月16日掲載)でも取り上げられ、「朝日のおごりを感じないわけにはいかない」などと書かれた。
ZAKZAK 2007/05/09
◇
朝日新聞は誰がなずけたのか「日本のクォリティ新聞」という名に胡坐をかいて、日本を貶める捏造記事を垂れ流してきた。
批判や反論があると引きこもってしまい嵐が通り過ぎるのを待つという卑劣な態度で通してきた。
「慰安婦問題」でも捏造記事を大々的に撒き散らし誤報と判明しても訂正や謝罪はしないということを社是としてきた。
NHKにからむ「言論弾圧報道」についても安倍首相や中川調整会長の公開質問に答えていない。
それどころか朝日新聞の社屋内にスタジオがあるという「朝日ニュースター」と言うテレビ番組に中川(酒)氏自ら出演し朝日との公開討論を申し込んでが逃げの一手。
同業者には甘いといわれる大手新聞にもその傲慢さは名指しで批判される始末である。
昨年の10月31日、「従軍慰安婦」に火をつけた犯人として読売新聞が朝日を名指しで(朝日の名こそ出さなかったが、誰が見ても朝日分る表現)糾弾したが例の如くこれには答えていない。
自分に都合の悪い事には「見ざる、聞かざる、言わざる」が朝日の社是なのか。
流石に今回の「長崎市長射殺事件と安倍首相の接点」と言う記事には小さな侘び文を掲載したが、ネット上では「大きな捏造、小さな侘び文」と揶揄された。
侘び広告が小さかっただけではない。
「一部広告の見出しに安倍首相が射殺犯と関係があるかのような不適切な表現があった」
これでは広告の見出しには不適切な表現があったが記事内容は正確だといわんばかりだ。
朝日得意の技でお詫びの対象を「記事内容」から「一部広告の見出し」にすりかえている。
>一国の総理の側と全国紙のトラブルが裁判沙汰(ざた)に発展した。なぜ、こんな空前の事態に至ったのだろうか。(今朝の読売社説)
この空前の事態を今朝の各ワイドショーは報道していないようだ。
少なくともテレビ朝日「スーパーモーニング」はジンベー鮫の移動のニューには時間をかけて報道していたが、首相と全国紙との裁判沙汰については完全スルーだったようだ。(確認は取っていない)
◆読売06・10・31社説
[河野談話]「問題の核心は『強制連行』の有無だ」
◇
◆首相秘書提訴 新聞広告、中吊りも同罪では(5月10日付・読売社説)
記事も広告も、「お詫(わ)び」記事も名誉棄損だ――。安倍首相の公設秘書ら3人が、「週刊朝日」発行元の朝日新聞社と同誌編集長らを相手取り、損害賠償を求める訴えを起こした。
謝罪広告の掲載や、「事実に反する」お詫び記事の取り消しも求めている。
一国の総理の側と全国紙のトラブルが裁判沙汰(ざた)に発展した。なぜ、こんな空前の事態に至ったのだろうか。
週刊朝日の発行直後から、首相の憤りは激しかった。「でっち上げ、捏造(ねつぞう)だ」「いわば言論によるテロ。これは報道ではなく(新聞社の)政治運動だ」
同誌側はすぐさま、朝日新聞朝刊に編集長名のコメントを出した。
「一部広告の見出しに安倍首相が射殺犯と関係があるかのような不適切な表現がありました。おわびいたします」
新聞数社に出した同誌の広告や電車の中吊(づ)りには、「長崎市長射殺事件と安倍首相秘書との『接点』」「山口組系水心会と安倍首相の『関係』」といった見出しが掲載された。これでは広告を見た人に、首相周辺と射殺犯に何らかのつながりがあるとの誤解を与えかねない。
その後、広告を掲載した新聞や、同誌の最新号に編集長名の「お詫び」も掲載したが、ここでも「証言などを伝えたもの」と述べるにとどまり、最初の記事内容の訂正はしなかった。
「根拠薄弱記事」は直ちに訂正すべきだった、と首相側は訴える。記事の真実性は裁判の最大の争点となろう。
もう一つの注目点が、広告による名誉棄損の“拡散”問題だ。
首相側は「広告で大々的に虚偽報道し、雑誌を買わない人にも広く喧伝(けんでん)し、名誉を毀損(きそん)した」ことを厳しく指摘する。
確かに、雑誌の販売部数をはるかに上回る数の視線にさらされる新聞広告、中吊りは、一歩間違えば名誉棄損などの違法行為の“加担者”になってしまう。
東京高裁が昨年10月に出した名誉棄損訴訟の判決がある。毎日新聞元社長の監禁事件を報じた週刊新潮の新聞広告、中吊りについて、「広告の見出しを見る圧倒的多数は記事を読まず、記事を読んで誤解を解消することが難しい」と指摘し、名誉棄損の成立を認めた。
広告には、ある程度の省略・誇張表現も許されるとしたうえで、行きすぎたケースだから違法、と判断した。
広告を出す側のモラルが問われると同時に、掲載依頼を受けた新聞などメディアにも、日本新聞協会の広告倫理綱領を守る責任がある。綱領には、不当な広告の排除がうたわれている。
訴訟の行方に注目したい。
(2007年5月10日1時51分 読売新聞)
安倍首相が激怒した週刊朝日の記事と広告
「広告見出しに不適切な表現があった」として「お詫び」
<朝日新聞は25日付朝刊で、週刊朝日編集長の「一部広告の見出しに安倍首相が射殺犯と関係があるかのような不適切な表現があった」とのコメントを掲載。首相は「大々的に広告を載せておきながら、わかりにくくおわび的な記事が出ていた。謝るならはっきりとわかりやすく、同じように国民に伝えていただかなければならない」と強調した。
(産経新聞 2007/04/26 03:41)>
05年1月、朝日新聞は安倍晋三・中川昭一両議員(当時)が「NHK幹部を呼びつけて、改変を求める圧力をかけた」などと報じた。これに対してNHKと両議員が朝日の報道を全面否定したうえ朝日に対して抗議。一方の朝日側も、取材内容を記事に掲載するなどして反論し、稀に見る「大戦争」にまで発展した。今回の「激怒」はその「第2ラウンド」の「ゴング」との見方が関係者には強い。<JーCASTニュース>