狼魔人日記

沖縄在住の沖縄県民の視点で綴る政治、経済、歴史、文化、随想、提言、創作等。 何でも思いついた事を記録する。

再生紙偽装の被害者は誰?

2008-01-19 17:44:54 | 県知事選

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「環境偽装」は業界最大手でも 王子製紙社長が会見(1/2ページ)
2008.1.18 12:36  産経新聞
 18日午前、東京都中央区の王子製紙本社 食品業界での一連の偽装に続く製紙業界の「環境偽装」は、業界最大手でも行われていた。王子製紙は18日の記者会見で古紙配合の偽装に手を染めていたことを認め、謝罪した。

 「社会の信頼を裏切る行為があったことは誠に遺憾で、深くおわび申し上げます」

 過去に生産したコピー用紙などの古紙配合率が公称比率を下回っていた王子製紙の篠田和久社長は18日、記者会見でそう陳謝した。

 役員3人とともに硬い表情で会見に臨んだ篠田社長だが、記者の質問にはほとんど一人で回答。「(再生紙の)受注量が増えていくなかで、古紙がなく、配合が下がってしまった」と釈明し、「途中でこれではいかんと担当者が気が付いて、生産を別の工場に移した」と現在は“偽装”が行われていないことを強調した。

                       ◇

有力6社で再生紙偽装 印刷用紙など幅広く(1月19日 朝刊)
東京新聞

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■「環境偽装」が、業界最大手でも行われていた?■

そもそも環境汚染ならわかるが環境偽装って何のことだ。

環境偽装といえば、山肌を緑のペンキ塗装で偽装した中国の緑化偽装のことではないのか。 ⇒ 【中国の緑化対策】偽善・偽装・偽造の本性、面目躍如?

 去年一年を象徴する漢字が、「偽」だということで、どかの坊主が大きな筆で墨黒々と「偽」と書いているのをテレビ画面で見た。

年が明けるや、めでたい筈の年賀状に「偽装再生紙」が使われていたということで各紙は大騒ぎ。

偽装は怪しからんと張り切って総攻撃をかけているようだが、

どうもいまいち腑に落ちない。

そもそも「再生紙を使っています」という表示自体に筆者は以前から一種の偽善を感じていた。

エコとか環境に媚びるような。

偽装って、普通は表示を誤魔化して実際より品質の落ちる物を販売することではなかったのか。

筆者の固まった頭脳では、再生というと中古という言葉に代表されるように、品質は落ちるが値段は安いモノと考えてしまう。

だとしたら、本来40%含まれるべき再生紙が数%しか含まれてなく、それでいて再生紙含有40%の価格で売るのなら感謝こそされても、非難される筋合いはないはずだ。

ところが今回の偽装は去年の一連の偽装とは偽装の種類が違ういう。

「環境偽装」だというのだ。

新聞によっては、「環境偽装」とも「再生紙偽装」とも言い、呼称にも戸惑いが見られる。

■沖縄タイムスが張り切って批判!■

今回の環境偽装が環境を破壊するとして、昨日の沖縄タイムスが全国紙に先駆け勇ましくこれを社説に取り上げた。

 【古紙配合率偽装】許されぬ信頼裏切る行為 沖縄タイムス1月18日

<地球温暖化が世界的な注目を集め、企業も環境を重視する時代である>

・・・というが何の検証もなく再生紙偽装が地球温暖化の原因であるかのような印象操作記事ではないのか。

<・・・製紙業界の偽装は消費者の信頼を裏切る行為であり、各社は事態を深刻に受け止めるべきだ。>

表示より良質の紙を買った消費者は新聞が叫ぶほど裏切られたと感じているだろうか。 

そして、再生紙偽装が環境を破壊するということは「検証された事実」なのだろうか。 

■割り箸の濡れ衣■

一昔前、割り箸が森林伐採を促し環境破壊の原因になるとしてバッシングを受けたことがあった。

だが、これも検証すると国内産の割箸は間伐材や木材加工時における捨てられる廃材から割箸や爪楊枝が作られ、森林破壊への影響はほとんど無い事が分かった。

しかも現在では日本で使われている割り箸のほとんどは中国からの安い輸入品である。

日本では、外食時にも割箸を使わず、自前の「マイ箸」を使う運動を進めている団体もある。

だが結局国産割り箸に対する「森林破壊」の誹り濡れ衣だった。

■再生紙偽装の被害者はいるのかよ!■

去年の牛肉偽装やブランド食品偽装は実質より高いものを売りつけられた被害者が出た。

だが、今回の再生紙偽装の被害者は誰なのだ。

郵政公社?

そうではあるまい。

表示より良質のものをを売りつけられて被害者もないだろう。

消費者だって使いにくい紙より、使いやすい方がよいに決まっている。

結局こうなるらしい。

「社会の信頼を裏切る行為があったことは誠に遺憾で、深くおわび申し上げます」

社会の信頼が被害者だって・・・。

7月の洞爺湖サミットを睨んで、製紙会社の社長たちは「社会の信頼」という得体のの知れないモノの人身御供にされたのだろうか。

今や環境とかエコに反するとなると、マスコミは鬼の首でも取ったようにおおはしゃぎで大バッシングの砲列を組む。

今朝の全国紙のうち次の二紙が社説でこれを取り上げている。 

毎日新聞
  ・社説:環境偽装 エコの名に隠した企業エゴ (2008年1月19日)

日本経済新聞
 ・社説2 あきれた再生紙偽装(1/19)

企業側も黄門様の印籠よろしく、エコや環境に関わる批判を突きつけられると、その前にひれ伏してしまう。

だが、去年の一連の偽装事件と違って「再生紙偽装」の直接の被害者は誰一人いない。

少なくともマスコミのキャンペーンの割りには、被害者の実感を持つものは見当たらない。

東海日報が大手マスコミに抗して鋭いコラムを書いている。

以下に引用します。

 

世迷言☆★☆★2008年01月18日付


 古紙は「故紙」とも書く。「故」は「温故知新」のことわざ通り「古い」という意味もあるから、中味は同じだが、「故ある紙」つまり「わけあり」という解釈もできる。あるいは一度役目を終えた紙であり「故人」同様の用法で「故紙」となったか▼大手製紙会社がその古紙の混入率を偽っていたことが判明し、中には責任をとって社長が辞任する騒ぎまで発展したところもある。古紙100%とうたっていたコピー紙が実は半分近くしか混入されていなかったのをはじめ、年賀ハガキなども40%の表示に対して1%だったというのだから、不名誉な「偽装」の初発覚だ▼実は以前から「再生紙を使っています」という表示に一種のまやかしを感じていた。リサイクル=エコというのはいまや常識となっているが、それはまた理念の問題でもあり、それだけで済むという単純なものではない。というのも古紙は繊維が短く腰の強い紙はできない。100%古紙のコピー紙は紙詰まりするか、裂けやすいはず。だからこれは程度問題なのである。だが「時代逆行」は許されない▼ゆえに古紙の混入率が「正義」となった。リサイクルの観点からだけならそれも妥当だろう。だが古紙の回収、再生のための脱墨、脱鉄、脱糊などの過程で使うエネルギー、薬品、水などの消費は決して小さくない。ゆえにそこには「かねあい」というものも考える余地がある▼槌田敦元名城大教授が「何が本当に環境に役立つかを考えないまま『環境主義』に流れる社会」(朝日新聞)の問題を指摘しているが、エコという印籠を見せられれば「ははーっ」となって本質を見据えない情緒性がこんな偽装も生むことになった元だろう。何が問われているのかを科学的に分析することも必要だ。

 

参考:毎日新聞「ワードBox」製紙業界のシェア争い(2006.8.4掲載)

 製紙業界は連結売上高1兆円を超える王子製紙と日本製紙グループ本社の「2強」が君臨し、3位の大王製紙以下を大きく引き離している。日本製紙連合会によると、2005年の紙・板紙の国内生産量は王子のシェア(占有率)が26%、日本製紙が24%と拮抗(きっこう)しているが、王子が北越の買収に成功すれば30%を超え、日本製紙との差を広げられる。製紙業界は1970年代は20社以上がひしめき合っていたが、市況の安定を狙い合従連衡を繰り返し、現在の「2強」体制になった。ここ数年は安い輸入紙が大量に出回っており、中堅以下のメーカーは規模を拡大しなければ生き残りが難しいとの見方が多い。

 


【追記】1月20日 8:11

おやおや、正義の味方「朝日新聞」が、

「エコ印」の錦の御旗を振りかざして遅れてはならじと参入してきましたよ。

朝日新聞1月20日社説:再生紙偽装―「エコ」でだます罪深さ

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