狼魔人日記

沖縄在住の沖縄県民の視点で綴る政治、経済、歴史、文化、随想、提言、創作等。 何でも思いついた事を記録する。

スパイ防止法の必要性② 民生技術の裏の軍事技術

2008-01-07 07:24:48 | 普天間移設

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わが国とって年金問題や格差問題も解決を迫られる重要問題ではあるが、これら全ての問題は日本という国家が安全に機能しているという前提に立ってこそ解消できるのは言うまでもない。

昨日のフジTV「報道2001」に中川(酒)前自民政調会長、小池元防衛大臣、前原前民主党党首、野田前民主党幹事長が出演した。

一見、四人とも政策の違いがないような人選の出演者だったが、

大連立に話題が及ぶと前原氏が

「私は二大政党論者だが、その前提として外交・安全保障については与野党が一致すべき」と発言し、アメリカやイギリスの二大政党の例を挙げた。

前原氏の主張は正論だが、現実は例えば新給油法の採択についても野党側は反対で、外交・安全保障に関わる問題といえども真っ向から対立しているわが国の政治状況である。

外交・安全保障というと国防に関わる問題だが、前原氏が与野党一致すべきと主張しても、

我が国の現状は、国防や国防のための情報管理というと脊髄反射的に反対する勢力か、或いは全く無反応の平和ボケが多いのも事実である。

見た目には国防・軍事には関係ないように見える民生用ハイテクも、その裏側は軍事先端技術の宝庫である。

米国の安全保障の傘のもとに、ハイテクと独創技術で経済が繁栄している日本は、、技術がもつ軍事要素という側面をすっかり忘れている。

その結果日本はスパイ天国というありがたくない異名を頂戴しており、スパイ防止法の必要性を「スパイ防止法の必要性 中国人宅から陸自「秘」資料発見」で述べた。

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」(平成20年(2008年) 1月7日)が、同じ問題を述べているので以下に転載します。(北国新聞よりの孫引き) 

                      ◇

  ハイテク日本を内側から脅かす法的不備
                               宮崎正弘

 

 防衛庁からイージス艦の機密が漏洩した事件では、日本に「スパイ防止法」がないために公務員法や窃盗罪などで逮捕するしか法的根拠がなかった。
 日米安保条約の同盟国=米国は、この情報漏洩状況に怒りを隠しきれないらしい。
 しかしハイテク立国=日本から技術情報を盗み出すのは造作もないことである。
 民生用ハイテクのコインの裏側は軍事先端技術である。
したがって米英仏独など工業先進国では「秘密特許制度」があって微妙な防衛技術に直結する特許は公開を制限している。
 筆者は83年に『日米先端特許戦争』(ダイヤモンド社)という本を書いて、日本にも秘密特許制度が必要ではないかと問題を定義したことがある。
 特許を所管する当時の通産省は嗤って聞く耳をもたず、また民間企業の特許専門家の親睦団体で講演しても、「そういえば、戦前そんな制度がありましたね」と関心の薄かったこと!

 ようやく最近になって経済産業省は「技術流出を防止するための新法」に動き出し、「技術情報等の適正な管理の在り方に関する研究会」を設置した。軍事特許に非公開制度を設け、外国のスパイやテロリストの閲覧を防ぐ目的である。
 これまでは法的不備を補うため企業の特許本部はライバル他社、外国などに情報を盗まれないために申請上の「技術」を行使してきた。
つまり本丸を隠して周辺の特許を全部抑えることにより肝要な特許に他者が近寄れなくするという高等な戦術を用いてきたのだ。
 他方、米国からは「サブマリン特許」なる秘密制度によって日本企業が米国で申請した特許が、しばしば「公開していない米国の秘密特許と同じ」とクレームを付けられ、法外な特許料を毟られてきた。
 ハイテクと独創技術で経済が繁栄している日本は、米国の安全保障の庇護をうけている裡に、技術がもつ軍事要素という側面をすっかり忘れていた。

 通商政策に関してもうひとつ深刻な問題がある。
 ハイテク日本が、ますます技術を高めれば、たとえばハイブリッド・カーの高性能エンジンがそうであるようにレアメタルの戦略備蓄という問題が浮上した
これも私事ながら筆者は82年に『もうひとつの資源戦争』(講談社)を上梓したおりコバルト、プラチナなど稀少な戦略物資の国家備蓄を提唱した(それまで国家備蓄は石油しかなかった)。

 直後に日米で専門家を呼んだシンポジウムなども開催され、国会で問題となって翌年から数品目に限って二十日分ほどの備蓄が始まった。
数量がすくなく、充分なシステムとは言えないが、国家安全保障の戦略的感覚があれば当然行っておくべき事柄だった。
 こうしてハイテクの躍進に追いつけない法的不備が最近とみに露わになっている。

(この文章は『北国新聞』12月31日付け「北風抄」からの転載です)

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