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沖縄タイムス 社説(2008年1月17日朝刊)
これでは予断を与える
防衛省防衛研究所が所蔵する沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に関する資料に、同研究所の戦史部が渡嘉敷、座間味両島で「隊長命令はなかった」との見解を付けて公開していた。
両島の「集団自決」をめぐって、大阪地裁で係争中の訴訟でも戦隊長命令の有無などが争点になっている。
にもかかわらず、政府機関が原告側の主張に沿った見解だけを一方的に付けるのはバランスを欠いている。
手記「集団自決の渡嘉敷戦」「座間味住民の集団自決」は、元大本営参謀が陸上自衛隊の幹部学校で「沖縄戦における島民の行動」の演題で講演した際の講演録に添付されていたという。
両資料について、見解は「事実とは全く異なるものが、あたかも真実であるがごとく書かれた」と断定。渡嘉敷島巡査の証言、宮城晴美さんの著書を挙げ「命令は出されていないことが証明されている」と言い切っている。
別の複数の資料にも、軍命を否定する「所見」や、資料評価の「参考」が付されていたことが明らかになった。
その後、同研究所は手記に付された見解を「不適切」として削除した。
しかし、「所見」などについては、「あくまで記述者個人の見解であり、戦史部や防衛省の見解ではない」(同研究所図書館史料室長)としている。
こうした見解は利用者に予断を与えかねない。同研究所の公式見解と受け取る人もいるはずだ。「集団自決」の評価を一方的に押し付ける恐れがあり、配慮に欠けると言わざるを得ない。
一九六八年に発刊された『戦史叢書 沖縄方面陸軍作戦』(防衛庁防衛研修所戦史部著)では、慶良間の「集団自決」について「戦闘員の煩累を絶つため崇高な犠牲的精神により自らの生命を絶つ者も生じた」と記されている。
県内の研究者の間では以前から、「崇高な犠牲的精神」という表現が問題にされてきた。
今回の教科書検定の訂正申請の際、文部科学省は専門家九人から意見を聴取したが、防衛研究所戦史部客員研究員は「軍の強制と誘導による集団自決とは言えない」との考えを伝えた。
文科省の検定意見といい防衛研究所の見解といい、政府は一貫して日本軍の責任を希薄化する姿勢を見せてきた。沖縄地元の研究者や住民側証言との落差が際立っている。
沖縄戦では住民を巻き込んだ激しい地上戦が展開された。「集団自決」や、日本軍による「住民殺害」が起きたことが大きな特徴である。重要な史実の評価をめぐって、国内においてさえ、こうも歴史認識が懸け離れていることに暗然とする。
◇
>これでは予断を与える
そう、・・・
「予断」とはなりゆき・結果を前もって判断すること。
歴史認識に予断は避けることに越したことはない。
だが、先に「予断」を避けるべきは、防衛研史料よりも教科書の記載の方に言うべきではないのか。
それに、沖縄タイムスが言う「予断」とは、自社発行の「鉄の暴風」や左翼学者のプロパガンダをメルクマールにして予断と称しているに過ぎない。
防衛研は、保有する史料を元に専門家として判断をしているわけで「予断」ではない。
沖縄タイムスにとって「鉄の暴風」を批判するものは、
全て予断となる。⇒防衛研「鉄の暴風」も批判/軍命否定の見解判明
ちなみに判断には「決断」が伴う。
「決断」とは、「是非善悪を見定めて裁くこと」であり、
三権分立の日本では防衛研とは別の判断・決断があり、
司法の判断は,裁判所が「判決」という形でこれを行う。
防衛省防衛研究所が目黒に在るということは、地方に住む一般の人間にとって、今回初めて知った人も多いだろう。
ここで史料を閲覧する人は研究者か素人でもよっぽどの戦史マニアだと想像する。
少なくとも「高校の歴史教科書」レベルはとっくに卒業していなければ防衛研の史料を読んでも理解不能だろう。
沖縄タイムスは、防衛研の史料で見解を付けるのは、次の点から問題だと主張する。
①「集団自決」をめぐって、大阪地裁で係争中の訴訟でも戦隊長命令の有無などが争点になっている。
②重要な史実の評価をめぐって、国内においてさえ、こうも歴史認識が懸け離れていることに暗然とする。
百歩譲って沖縄タイムスの主張通り、「これでは予断を与える」を是としよう。
だが「高校歴史教科書」と「防衛研史料」を比べた場合、
どちらの利用者が予断を受けやすいのか、
つまり、どちらの利用者がその読む史料によって刷り込まれ易いかということである。
しつこく言い換えれば、どちらの利用者が洗脳されやすいかということである。
当然、重要な史実の評価をめぐって、歴史認識が異なる事項は教科書においてこそ、より神経を使うべきではないか。
現に、沖縄の高校生には左翼プロパガンダを刷り込まれ、「教科書から集団自決が削除された」と信じている高校生もいるくらいだ。
防衛研の史料を「配慮に欠ける」というが、
今から歴史を勉強しようとする生徒のための「歴史教科書」に、まだ意見の別れる事項を記述することこそ、配慮に欠けるのではない。
◇
昨日1月17日の西日本新聞の「ワードBox」で、大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判が取り上げられ、関連記事が紹介されている。
担当の都留記者は沖縄地元紙の鵜呑み記事を書くのでなく、
独自に取材したようで、その心意気が「真実見えず、火種消えず」という小見出しや「証言は、時系列や人間関係などで理解できない」といった記述に現れていて好感が持てる。
沖縄タイムスのように、自分の都合のいいような証言を集めるのではなく、反対の証言も取材しているのに記者の真摯な態度が伺える。
- 大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判(2008年1月17日掲載)
(前略)
●真実見えず、火種消えず
2008年、沖縄県は穏やかな新年を迎えた。07年は、戦時中の住民の集団自決をめぐる「日本軍の命令・強制」が歴史教科書から削除されたことが問題化し、県民大会で怒りが爆発した。この問題は、「軍の関与」を示す記述で決着する運びとなったが、3月には自決命令の有無を争点とする「大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判」の判決が予定されており、火種は消えていない。
(社会部・都留正伸)
■隊長は「生きろ」と
女性が畑仕事をしていた。那覇市の西約30キロに浮かぶ座間味島(座間味村)。1月でも気温は20度を超え、山は青々としている。一休みした女性に声を掛けた。「また玉砕の話? 生きてる者の務めと言うけど…」。90歳という女性は幾度も同じ話をしてきたのだろう。歓迎する表情ではなかった。
座間味は米軍から爆撃や艦砲射撃を受け、上陸前に住民234人が自決した。女性は仲間4人と軍の逃走の案内や弾薬運びをし、手投げ弾をもらった。「4人で囲み、友人がピンを抜いて岩にたたきつけた。でも爆発しなかった」。なぜか、その時、死にたくないと思った。山にはツツジが咲いていた。
自決命令について尋ねると、「隊長の梅沢裕さんは『生きるだけ生きなさいよ』と言ってくれた」という答えが返ってきた。ただ「集団自決のテレビを見ると何も言えなくなる」と口を閉ざした。
証言は、時系列や人間関係などで理解できない面もあったが、重要な内容を含むことは間違いない。正直、困惑した。
■兄はうそつきでない
別の体験者は全く異なる証言をした。当時、兄が村の助役だった宮平春子さん(82)さんもその1人。壕(ごう)に兄がきて「米軍が上陸する。玉砕するよう軍から命令があった」と告げた。兄は3人の幼児を抱き「こんなに大きく育てたのに」と涙したという。その直後、別の壕に移された宮平さんは助かったが、兄と子どもたちは果てた。
「梅沢隊長は『命令は出していない』と、兄がうそをついているようなことを言う。隊を離れた人が銃殺されたとき、兵士が『これは隊長命令だ』と言っていた。米軍は怖いと教えられたけど、優しかった。うそつきはどちらかね」
宮平さんは自宅前の海を見ながら、今でも鮮やかに当時を思い出すという。「グラマンはガガガガガってくるけど、日本の飛行機はウーと悲しげな音で軍艦に突っ込んで行った。泣きながら手を合わせました」
潤んだ目が、これが真相だと訴えていた。
(略)
◇
おそらく記者は冒頭の90歳女性の証言に「正直、困惑した」のだろう。
今まで沖縄タイムス等から得た証言とは180度違う証言に初めて接し、都留記者は困惑したのだろう。
実はこのようなメディアに登場しない証言者は多数いるのだ。
この90歳の女性が言った、
「また玉砕の話? 生きてる者の務めと言うけど…」
という一言はこの女性が、
これまで何度も繰り返し取材された事を意味する。
しかし、テレビや新聞等では、証言は取捨選択され、
この女性とは反対の証言だけが報じられるのが現実なのだ。
自決命令について尋ねられ、
「隊長の梅沢裕さんは『生きるだけ生きなさいよ』と言ってくれた」と何度答えても、
テレビでは「梅沢が死ねといった」といった証言者の意見だけが流れる。
この女性の「集団自決のテレビを見ると何も言えなくなる」
という言葉が沖縄メディアの実態を余すことなく表している。
>証言は、時系列や人間関係などで理解できない面もあったが・・
まさにその通りで、当日記も再三述べてきたことだが、
証言者の人間関係を無視してはこの「集団自決」問題は語れない。
「兄はうそつきでない 」と証言した宮平春子氏は、
「集団自決」を事実上指導したといわれる宮里氏の妹であり、自決の責任問題を問われる当事者の身内である。
【追記】この宮平春子氏の証言は沖縄タイムスが
「梅沢隊長は『舌をかみ切って死になさい』と言った」
という誤報を掲載して、
後で「お詫びと訂正記事」を出している。
その誤報記事とは、↓
<座間味コミュニティセンターでは、沖縄戦時下、座間味村助役だった宮里盛秀さんの妹の宮平春子さん(80)ら体験者六人の証言を聞いた。「玉砕命令を聞いた」「梅沢隊長は『舌をかみ切って死になさい』と言った」などの証言が次々に飛び出した。体験者が声を詰まらせ、手を固く握り締めながら語る姿に、涙を流す委員もいた。 >
>潤んだ目が、これが真相だと訴えていた。
折角の好レポートが、この一文で台無しになった。
このような情緒綿々たるフレーズは印象操作の常套手段である。
記者の目が計らずも「軍命あり派」に傾いているいることを表してしまったが、
都留記者には人間関係や時系列を考慮にいれた取材を今後も続けて欲しいものだ。
【追記】おそらく都留記者は宮平春子氏の誤った証言のことは知らないのだろうか。↓
又しても沖縄タイムスが捏造記事訂正 証言続出の「集団自決」
◇
係争中の大阪地裁の「集団自決裁判」 は去年の12月21日で結審し、判決は、3月28日午前10時大阪地裁で下される。
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