沖縄戦「集団自決」の謎と真実
秦 郁彦
PHP研究所
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鳩山新政権が誕生して「政治主導」「脱官僚」という言葉が、マスコミに頻出し、官僚が困惑しているという。
これまでの「官僚主導」に対する反動としてある程度理解はしても、これが行き過ぎると国の政治がファッシズムに突っ走る。
行き過ぎた政治主導による権力の集中は独裁を生むが、これを避けるため三権分立はある。
政治主導を歴史問題に持ち込み、教科書記述を政治で変えようとする勢力が蠕動している。
裁判で確定し、教科書検定で決定した歴史認識を政治主導で変えたら、この国はもはやファッシズム国家であり、独裁国家である。
国を滅ぼすには、鉄の爆弾より新聞という紙の爆弾の方がより効果的だといわれる。
沖縄では、沖縄タイムスと琉球新報という強力な紙爆弾が連日県民に襲いかっているが、二週間後に迫った「9.29県民大会」を控え、これにに加えてテレビが電波の爆弾を投下し始めた。
テレ朝系列の地元テレビ局・QAB朝日放送が「11万6000人余りが参加した2年前の県民大会」と、二年前の悪夢の再現を呼びかけている。
いまや全国的に暴露されている「11万人」のウソの数字を、「主催者発表」の但し書きを付けるどころか、あたかも真実であるかのように「11万6000人余り」と報道する破廉恥ぶりである。
そして、彼らは政治主導による歴史の改変を目論んでいる。
QAB朝日放送 2009年9月15日
教科書検定意見の撤回求める 9・29県民集会へ参加呼びかけ
9月29日に開催される教科書検定意見の撤回を求める県民集会に向け、主催者団体が県民へ参加を呼びかけています。
【ちょん髷ジーさんの動画】が見れます⇒...続きを見る
◇
最近の一連の「9.29県民大会」関連の報道を見て、一部の知人から質問があった。
「集団自決訴訟では一審、二審とも被告側が勝訴しているのに、ここに来て何ゆえわざわざ二年前の11万人集会の再現を試みるのだろうか」と。
これまでの沖縄二紙が報じる印象からすれば、全て被告側の思惑通り事は運ばれている、と受け取る人がいてもおかしくは無い。
だが、事実は敗訴したはずの原告側の思惑通りことは進んでいる。
つまり裁判という勝負には負けたが、「集団自決は軍命による」という問題の核心は判決で否定され、教科書の記述も削除された。
「歴史教科書検定」と「集団自決訴訟」は集団自決問題にからむ二つの顔だと書いた。
言うまでもなく、二つの顔が持つ問題の核心は軍命令の有無である。
係争中の裁判は大阪高裁で被告側は全面勝訴し、現在上告中であるが、最高裁では事実認定はしないという。
従って最高裁で原告被告のどちらが勝訴しても、軍命の有無に関しては大阪高裁の判決で確定したと言うことが出来る。
では大阪高裁の判決はどうなっているか。
判決では、両隊長の名誉棄損を否定し原告は敗訴したが、直接の隊長命令の証拠はないとした。
両隊長の名誉毀損の当否は最高裁判決を待つとしても、
軍命については高裁でも証明されず、事実上両隊長の名誉は回復しているのである。
隊長命令説が証明されないことが、教科書検定によってまず示され、
さらに大阪高裁判決によっても明記され、あまねく周知されたことは原告側の思惑通りことが進行しているといえる。
被告側および沖縄マスコミは、あたかも大阪高裁の勝訴は、「軍命があったことが認められた」かのように喧伝をしているが、良識ある国民はこれがまったくのウソである承知している。
二年前の「11万人集会」を再現しようという最近の動きは、被告側が実際には苦しい情況に追い込まれている証拠である。
司法である裁判においても、また行政の一環である教科書検定においても、実質的には原告側が勝利しているのである。
集団自決の「軍命」「強制」「誘導」を削除した教科書検定は今回の地裁や、高裁の判決によっても、さらに裏付けられ、変わることはもはやありえない。
事実認定を行わない最高裁が、両隊長が自決命令を出したという判決を書く可能性は絶対にない。
従って、被告側や左派マスコミが、「9.29県民大会」の再現を目論んで情報工作をしても、集団自決に関する論争の核心は既に勝負あったと言うことが出来る。
追い詰められた被告側は政権が変わったことに一縷の望みをかけ、
政治的圧力で教科書記述を変えさせようと、またぞろちょん髷ジーさんらの懲りない面々がゾンビのように這い出してきた。
これが最近の動きである。
その典型を示す記事がこれ。
琉球新報 9月16日
教科書記述で要請 県民大会実委、民主に
9・29県民大会を実現させる会世話人の玉寄哲永さんらは15日、県議会会派室に民主党沖縄県総支部連合会の新垣安弘幹事長を訪ね、新政権誕生を機に、高校日本史教科書の沖縄戦における「集団自決(強制集団死)」に関する文部科学省の教科書検定意見の撤回と軍強制の記述回復が実現できるよう、党本部への働き掛けを要請した。新垣幹事長は「しっかりと党本部へ伝え、(県選出国会議員でつくる)うるの会も一緒に要請したい。文科省の審議会では十分な審議がなされていない。政治の分野から直すところは、しっかり直さないといけない」と語った。
実現させる会は同日、県庁で記者会見し、29日午後6時から県庁前広場で開く「9・29県民大会決議を実現させる県民集会」への参加を呼び掛けた。
◇
高裁判決でもダメ、教科書検定審議会でもダメ。
ならば、政治的圧力で歴史や教科書を変える。
彼らは政治で歴史改変が出来る独裁国家を夢見ているのである。
【おまけ】
前政権では、「11万人」の政治的圧力に一時は動揺したが、踏みとどまって三権分立の民主国家の矜持を示した。
県民大会実行委上京 政府などに要請(2008.4.14)
教科書検定撤回、回復求め決議 県婦連、満場一致で採択(2007.10.27)
言葉の裏に激しい攻防 「教科書検定撤回」実行委が要請(2007.10.17)
検定撤回要請団が出発 首相面会求める(2007.10.15)
検定撤回きょう再要請 政府へ170人(2007.10.15)
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