狼魔人日記

沖縄在住の沖縄県民の視点で綴る政治、経済、歴史、文化、随想、提言、創作等。 何でも思いついた事を記録する。

沖縄語講座、油揚げと天ぷら

2010-01-30 08:19:27 | 沖縄語講座

 よろしかったら人気blogランキングへ クリックお願いします 

 ブログセンターランキングへクリックで応援願います。

当日記は地元紙を引用して、全国的に活躍する沖縄の若者に声援を送ったり、沖縄の食文化などを紹介をしたりするいわば「お国自慢」「郷土自慢」をテーマにしていたのだが、

沖縄タイムス、琉球新報を中心にした沖縄マスコミの極端な偏向報道と、マスコミに巣食う「知識人」といわれる人々のデタラメな言動を批判していたら、

いつの間にか沖縄左翼の目の敵のような存在になってしまった。(笑)

時々は原点に返って、沖縄の高校生の活躍をと思ったのだが、沖縄紙のウェブ記事更新遅いので、沖縄の高校野球の快挙を読売記事をリンクして自慢しておく。

センバツ32校…沖縄から嘉手納、興南の2校 (1月29日 18:58)

それにしても、一県から同時に二校も甲子園行きなんて、「野球には弱い沖縄の高校」を同時代的に体験している筆者にとって、つい隔世の感という陳腐な表現もしたくなるほどである。 甲子園の常連高の興行南高校はともかく、基地の街嘉手納の嘉手納高校の初出場も快挙である。

ところで沖縄紙を批判するばかりではない証拠に、一昨日の新報コラムを引用して、しばらくご無沙汰をしている「沖縄語講座」をしてみたい。

再三言うが当日記は学術論文の発表の場ではないので、掲載文は筆者の独断と偏見で書き連ねてあるので、学術的信憑性の責任は負わないことを申し添えておく。

これを学術論文と思うバカはいないって?

はい、ごもっともです。

もっとも学術論文と称するものにも、デタラメやねつ造が多い昨今なので、改まって但し書きを書く必要もないとはおもうのだが・・・。

琉球新報 金口木舌 2010年1月28日
 「シーブン」。響きのいい言葉だ。沖縄方言で「おまけ」の意味。買った物を余分にもらえれば、それだけでうれしいし売り手のぬくもりまで感じ笑顔も浮かぶ
▼座間味村は宿泊観光客に1000円分の地域商品券を贈呈するという。名付けて「しーぶん商品券」。4月開始の予定で、観光収入増につなげたい村の熱意が伝わる。効果的な一手となるよう期待したい
▼景気低迷や新型インフルエンザの影響で、県の年間観光客数が8年ぶりに前年を割った。観光を収入の柱にする離島町村の危機感は強く、久米島町では総決起大会を開いた。知恵を集め、行動に移さないと道は開けない
▼座間味村にはダイバーなら誰もがあこがれる慶良間の海がある。有人・無人の島々も含めた自然環境は、観光客を呼び込む大きな資源だ。ダイビングだけでなく、シーカヤックやこの季節だとホエールウオッチングも楽しめる
▼自然がそのまま観光資源となる離島は、沖縄本島の市町村より有利だといえる。ただ島の魅力を伝えるのは人。昨年、同村で開かれたフォーラムで「おしゃべりは最高のお土産」という発言があった
▼座間味村の商品券が評判になれば、観光収入増につながるだろう。同時に“シーブンの心”が広がると面白い。村民との交流、触れ合いは、いつまでも心に残る。それが島の魅力を高めてくれるはずだ。

                                          ◇

「シーブン」とは新報コラムが言うとおり「おまけ」を「意味する沖縄方言だが、「シーブン」とカタカナで書いたり、日常会話でそのまま発音されると最近では沖縄人でも理解できない人が増えている。

特に県外から来た人がこの言葉に接したら、方言というより外国語ではないかと思う人がほとんどであろう。

最近の沖縄の識者の中には沖縄の特異性を強調するあまりに、沖縄語も日本語とは異質の独立した言語であると主張する意見もある。

だが、言語学の専門家でもない筆者の独断と偏見に従うと、「シーブン」は紛れもなく日本語の一部である沖縄方言である。

「シーブン」を語源的に辿ると、日本語の「添え分」になる。つまり計算とは別の添付物という意味である。

「おまけ」と言う意味が理解できるだろう。

「添え分」が「シーブン」に転化していく過程は、過去に当日記の「沖縄語講座」を見た人なら説明不要だと思うのだが、沖縄語講座のエントリが途絶えて久しいので、復習の意味で母音転化の法則を説明する。

先ず「添え分」をローマ字表記するとこうなる。

SOEBUN

沖縄語の母音は O→U、  E→I  と転化するので、

添え分・SOEBUN⇒SUIBUN と転化してスイブンと発音されると、

これが「SIIBUN」・シーブンに転化するのは自然の成り行きである。

 

先日天ぷらを10個買ったら一個シーブンしてもらった。

読谷村に天ぷらの美味い店があるので名護からの帰りに立ち寄った。

ここで沖縄独特の天ぷらと天ぷら屋を知らない向きには多少の説明が要る。 

沖縄でそばといえば、いわゆる蕎麦ではなく、蕎麦粉の入らない沖縄そばだということは今では周知のことになっている。

沖縄で、いわゆる蕎麦を指すときは日本そばといわなければ、沖縄そばと間違えられるのが必定である。

従って蕎麦の風味や蕎麦湯を好む「蕎麦好き」にとって沖縄そばは似て非なるもの、いや、全く別物だともいえる。

ところで天ぷらの話だが、所謂和食の天婦羅の衣の薄いカリッとした歯ざわりを好む「天婦羅好き」にとっては沖縄風天ぷらは似て非なる物だろう。 

沖縄天ぷらは、小麦粉を溶いたものに魚やイカを塗して油で揚げる点ではいわゆる大和風天婦羅と同じだが、小麦粉の部分が分厚く微妙に塩味が効いているので天ツユなしでそのまま食しても美味い。

次に天ぷら屋だが、沖縄の天ぷら屋は、東京あたりに気のきいた高級天婦羅専門店とはまるで違うイメージで、店頭に置いたガラスケースのなかに分厚い天婦羅が陳列されている持ち帰り専用の極めて庶民的な店である。

「シーブン」の話が脱線したが、その天ぷら屋で10個の天ぷらを買ったらガラスケースに一個だけ残ったのでそれを「サービスしましょうね」とおまけしてくれたわけ。

そのとき「シーブンですか」と聞いたら、若い女性店員に「エッ?」と、けげんな顔をされた。

20歳前後の若い店員は、シーブンどころか「おまけ」という言葉さえ使わず天ぷら一個をサービスしてくれた。 

古い世代の筆者には、サービスしてくれた天ぷらより「おまけ」、いや「シーブン」してくれた天ぷらの方が、子供の頃マチヤーグヮーで(駄菓子屋)でシーブンされたことが想い出されいかにも美味そうに感じる。

因みにマチヤグヮーとは、最近ではコンビニ食われて絶滅寸前の沖縄独特の雑貨屋のことで、大抵はオバーが店主である。

筆者の友人の母親も主人を戦争で亡くしたがマチヤーグヮーで稼いで、息子を本土の大学まで行かせたたくましいオバーである。

 

所変われば品変わるで、沖縄方言では天ぷらのことを元々「油揚げ」といっていた。

油揚げと言えばトンビやキツネの大好物で、キツネを祀る神社を稲荷(いなり)神社というところからいなり寿司やキツネうどんなどが連想される。

天ぷらと油揚げ、確かに両者とも油を使用するがイメージがまるで違うので、これが同じなどとデタラメを言うなと沖縄語の専門家からお小言を喰らいそうだが、それでも地球は、いや、天ぷらは油揚げである。

アンダとは沖縄語で油のことで、観光土産で有名になった「サーターアンダアギー」は「サーター(砂糖)+アンダ(アギー)+アギー(揚げ物)」と言えば、砂糖入りの天ぷらであることが理解できるであろう。

今ではあまり使われないが天ぷらは元々沖縄方言では「アンダギー」といったが、砂糖の入った天ぷら「サーターアンダギー」が有名になったため「アンダギー」はサーターアンダギーのの専売特許になってしまい、今では沖縄風天ぷらのこともアンダギーとはあまり言わなくなって「てんぷらー」と語尾をのばすことで沖縄風を主張する人もいる。

沖縄風天ぷらは衣に塩味が付いているので、天ツユは使わないと言ったが、何かをつけるとしたらウースターソースをつける人が多い。

例によって「油上げ」を狼魔人表記,、ではなく、ローマ字表記するとこうなる。

ABURAAGE

油=あんだ、→  ANDA+AGE  (油+AGE)

法則に従い、E→I、⇒ ANDAAGI

語尾を延ばすと「○○する物(人)、された物(人)

AGI- →  アギー → 揚げた物→天ぷら

めでたく「油揚げ」⇒「アンダギー」となり、油揚げが、天ぷらであることが証明されたことになる。

沖縄方言のことを沖縄口というが、アンダ(油)で思い浮かぶ沖縄口を羅列すると

油口⇒アンダグチ⇒お世辞

油ミソ⇒アンダンス⇒豚肉の細切れをミソを油でいためた「肉味噌」

油喰い坊主⇒アンダケーボウジャー」⇒伝説の怪盗雲玉義留の子分・

アンダンテ⇒油喰い坊主の手ではない!西洋音楽のテンポを表す表記、歩く早さのこと

手・TEの場合はTIで「アンダン+ティ」⇒アンダンティーとなる。

 

【おまけ】 以下は創作です。

その昔、マチヤーグワァー(雑貨店)でみかんを10個かったら1個シーブンに貰った。 

家に帰ってみかんを見たらその一個のシーブンのミカンだけが腐っていたいた。

それを店主のオバー文句をつけたら、

「シーているからシーブンにした」、と切り返された。

シーる(シーン)とは沖縄語で饐(す)える(腐る)ということ。

「饐(す)えていたから添え分にした」と言うオバーが、本気でそのように言ったのか、

それともオヤジギャグならぬ、オバーギャグでそう言ったのかは不明である。

だが少なくともシーブンを貰った時は饐(す)えた臭いはしなかったとのこと。

 よろしかったら人気blogランキングへ クリックお願いします 

 ブログセンターランキングへクリックで応援願います。