【ロンドン共同=伊藤慎司】先進7カ国(G7)外相会合が3日、ロンドンで開幕した。本格討議初日の4日は中国やロシア情勢が主な議題。バイデン米政権が「専制主義」と見なす両国に、結束して対抗姿勢を示せるかが焦点だ。北朝鮮非核化や人権問題のほか、最終日の5日にはインド太平洋地域の民主主義国もゲスト参加し、新型コロナウイルスや気候変動対策で連携強化を目指す。

 G7外相会合は1月のバイデン政権発足後初めて。新型コロナの影響で対面での開催は約2年ぶりとなった。茂木敏充外相やブリンケン米国務長官らが出席し、5日に共同声明を発表する。

 英外務省は4日の声明で、中ロを念頭に「民主主義や自由、人権をむしばみかねない喫緊の問題」へ断固とした措置を取るべく協議すると強調。ラーブ外相は「G7が民主的な社会を結集させ、団結を示す機会となる」と意気込みを示した。

 3日は夕食を兼ねて北朝鮮やイラン情勢を討議し、北朝鮮の核問題解決を目指して国連安全保障理事会決議の完全履行が必要との認識を共有した。茂木氏はオンラインでの記者会見で、北朝鮮の全ての大量破壊兵器とあらゆる射程の弾道ミサイルに関して「完全かつ検証可能で不可逆的な廃棄(CVID)という目標堅持で一致した」と述べた。

 4日はミャンマー情勢も議題とし、デモ弾圧の関与者への制裁発動など国軍への圧力強化を英国が要請。香港問題を含め人権や報道の自由を侵す行為への対応のほか、民主主義国に打撃を与える偽情報の拡散やサイバー攻撃への対策も5日にかけて協議する。

 インド太平洋地域では中国が海洋進出などを通じて影響力を高める中、日米に加え英国や欧州連合(EU)も関与の強化を図る。

(写図説明)G7外相会合の討議を前に、英国のラーブ外相(右)に迎えられる茂木外相=4日、ロンドン(ロイター=共同