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メイウェザー独演会にパッキャオ”乱入”で朝倉未来戦は”代理戦争”の様相…「オレにボコボコにされる」「朝倉の強いパンチに気をつけた方がいい」
いよいよ今日25日にゴングが鳴る総合格闘技イベント「超RIZIN」(さいたまスーパーアリーナ)で、総合格闘家の朝倉未来(30、トライフォース赤坂)と3分3ラウンドのスタンディングバウトルーツによるエキシビションマッチで対戦するプロボクシングの元5階級制覇王者のフロイド・メイウェザー・ジュニア(45、米国)が24日、都内で会見を開き記者団との質疑応答に応じた。
「3ラウンドで終わらせる」「ボコるだけ」「相手は真剣だがオレは遊び」と豪語を続けたが、現役時代のライバルだった元6階級制覇王者のマニー・パッキャオ(43、フィリピン)がサプライズで登場。マニラで指導した朝倉の支持を打ち出すとメイウェザーはムキになって反論。代理戦争の様相を呈してきた。果たして注目の異色マッチの結末は?
「相手は真剣になるが、自分は遊びでしかない」
車9台を連ねてホテルに乗り込んできたメイウェザーは、今回は遅刻せず定刻の午後7時ピッタリに会見場に登場した。グッチとアディダスがコラボしたシャツにお決まりのTMTのキャップ。ギンギラのブレスレットや高級時計をつけて壇上に上がったメイウェザーは、メディアの質疑に応じて、約40分間にわたって独演会。
大口を叩くこともなく、務めて冷静に話をしていたが、最初にヒートアップしかけたのは、朝倉が前日のインタビューでキックのフェイントすら禁止するなど、がんじがらめのルールが設定されていることを明かし「ビビっているのではないか」と発言したことの感想を聞かれた場面だ。
「オレは(朝倉の)試合映像も見たことがないし、彼がどの体重で戦っているかも名前も知らない。ぶっちゃけルールも知らない。縛りがあるなんで初めて聞いた。むしろ自分に教えて欲しい。自分のなかのルールは一つだけ。試合当日に自分が現れること。あとはオレがやるべきことを遂行するだけだ」
スイッチの入ったメイウェザーの1人語りが続く。
「MMA選手のマクレガーと試合をした時もルールはボクシング。MMA選手はボクシングをやることが不慣れだったりやりづらかったりするのかもしれないし、ゴングが鳴って(ボクシングを)不自由に感じたら、アスリートとして体が覚えていることを出してしまうのかもしれない。ただ自分が知っているルールは一つ。ボクシングだけ。対戦相手(朝倉)は、私の今までの対戦相手と同じことをやればいいだけ。それは私にボコボコにされることだ」
2017年にボクシングの公式戦として総合格闘技の最高峰UFCの2階級制覇王者のコナー・マクレガー(34、アイルランド)と戦い、TKO勝利した試合を持ち出し、総合格闘家にとって不利な条件であることに理解を示した上で「自分がルール」と強調した。 さらに「文章の中でメイウェザーと“ビビっている”という言葉を一緒に使うな。なぜならオレは五輪にも出ているし、プロになってからもベスト・オブ・ザ・ベスト、常に最強の相手と戦ってきた。最近、若いMMAの選手はオレと対戦する時に自分を奮い立たせるために“フロイドはビビっているんじゃないか”と口に出すが、実際は真逆。ビビっているのは自分たちで自分を奮い立たせるためにそういう言葉を使っているのではないか。私はこういう経験を数えきれないほどやっている。朝食を注文するようなものだ」とヒートアップした。
50戦無敗。史上初の6階級制覇王者、オスカー・デラホーヤ(米国)や現在のスーパーミドル級の4団体統一王者であるサウル“カネロ”アルバレス(メキシコ)ら、歴戦の最強挑戦者を退けてきた世界のボクシング史に残る“黄金のキャリア“に自負がある。 「オレはエリート中のエリートとして、スポーツという芸術に身を注ぎ、20年間以上トップを守ってきた。Youtubeで有名になったわけじゃない。努力で練習量をもってパフォーマンスと結果で有名になったのだ。相手は真剣になるが、自分は遊びでしかない。楽しみにきている、昨日はパーティーを開き人生を謳歌した。オレにとってボクシングは息をするようなもの。それは決して離れない」と、エンジンがかかり、「オレがビビっていると思うなら、今から榊原(CEO)さんに話して、明日の試合は3ラウンドではなくて無制限でやっていいぞ」とまで言い放った。
22日の公開練習では、「皆が倒せというならいつでも倒すが、試合数も少ないし3ラウンドに引き伸ばしたショーを届けたい」と、あえて3ラウンドまで引き延ばすことを口にしていた。「それは3ラウンドで倒すという意味か?」と改めて聞くと、「もちろんだ。自分が3ラウンドで終わらせたいと思ったら3ラウンドで終わる」と豪語した。
「天心戦は、大晦日で早く帰国して新年のパーティーをしたかったから早く終わらせた。今回もセコンドがもう倒せというなら、そこで終わるかもしれない」 4年前は、体重差のある那須川天心をわずか138秒でTKOに仕留めて、力の差を見せつけたが、早期決着の理由をそう明かして、今回の決着の付け方も「すべては自分の思うように試合が進む」と語った。またなぜか10オンスか、8オンスか正式決定していなかったグローブ問題については、「自分はグラント製のグローブを複数持ってきているので、それでやるならそれでやればいい。同じフィールドでやるというのが大切なことだが、ぶっちゃけ気にしてない」と言い、ボクシングの階級に応じた正式なオンス数と同じく10オンスのグローブを使用することを示唆した。
また気になるファイトマネーについては、先日、英国のメディア「スポーツメール」の単独インタビューに答え、「9分、2000万ドル(約29億円)だ」と語り、世界を驚かせていたが、この日、その発言は、間違って受け取られていると否定した。 「エキシビションで稼ごうと思えば年間に2000万ドルは稼げると言う意味で話しただけ。金も大事だが、エキシビションを戦う理由は金だけじゃない」 嘘か誠か、ザマネー(金の亡者)と呼ばれる男は生真面目にそう語った。
メイウェザーの独演会の終了後にサプライズが用意されていた。榊原CEOの紹介で、2015年に世紀の一戦として拳を交えた宿命のライバルであるパッキャオが登場したのだ。 メイウェザーは表情を緩めハグをして再会を喜んだが、パッキャオが、「朝倉選手の応援に駆けつけた。彼はフィリピンの私のジムにまできて、ボクシングに対する技術を教わり、いろいろな質問をしに来てくれたので、彼をサポートしたい。明日はとても楽しいエキシビションになる。フロイドもコンディションがいいし衰えてもいない。明日は素晴らしいものが見られると思う」と発言すると、いきなり不機嫌モードに突入した。
パッキャオが“参謀”として朝倉側についたことでライバル心に火がついたのである。 「マニーに教えを請うことはいいこと、たくさんの経験を持っている彼に高いレベルで教えてもらうのは大切なことだが、誰もオレには勝てない。本人が良くわかっていると思う。この部屋の人間の数じゃ足りない。世界中の人間を連れてきても勝てない。マニーは最高のボクサーで、この先、殿堂入りするだろうが、マニーの言葉を信じて、私がボコボコにされるなどと騙されてはいけない」
この部屋の人間には、パッキャオも含まれてる。世紀の一戦ではパキャオが判定で敗れたが、試合後、肩の故障があったことを明かすなど、ベストな状態で戦えておらず、パッキャオは、すっと再戦を訴えてきたという因縁がある。 今度は、パッキャオが反撃した。
「私の方がまだ若い。いつも練習をしている。私は世界で唯一8階級制覇をしている王者。自慢ではなく、それをメイウェザーに覚えておいてもらいたい。本当のボクサーというのは思いやりと人を助けること。それが僕のボクシング人生だ」 メイウェザーも黙っていない。
「オレは人の悪口を言うためにここにいるんじゃないが、オレがザベストだ。その現実を体現するためにここにいる。100年、300年(のボクシングの歴史)でベストは一人しかいない。それはオレだ」 2人のプライドが交錯してバチバチと火花が散った。 決して友好ムードとは言えず、両者はツーショットで写真撮影に応じたが握手はしなかった。
欧米のファンの間では、今なおメイウエザーとパッキャオの再戦を望む声が強く、実際、エキシビションで両者の再戦構想を練るプロモーターもいる。
パッキャオは、「エキシビションでもリアルファイトでも何の話もしていない」と、“再戦”の可能性を白紙だと強調したが、「朝倉はメイウェザーをいっぱい殴って欲しい」と語り、あながち“代理戦争”の様相を呈してきた。
メイウェザーが会見場を立ち去った後に、その場に残ってメディアに対応したパッキャオは「2人を比べると朝倉には失うものがない。必死で戦うしパンチも強い。メイウェザーは気をつけたほうがいい」と、さらに挑発的な発言をした。
マニラのジムでは、朝倉のパンチを打った際に体が流れる欠点の修正や、対メイウェザーに重要な基本的なステップワークに「オーバーフックやカウンターのテクニックを教えた」という。パッキャオは、朝倉が取るべき戦略について、こうも言及した。
「メイウェザーが次を考えられないように思い切りプレッシャーをかけること、勢いでいくことだよ」 朝倉は、1ラウンドから、被弾覚悟で前に出て、ロープやコーナーにつめていくアグレッシブなファイトを予告しているが、パッキャオもその作戦を支持した。 さて最後に試合の予想であるが、プロボクシングのある元世界王者がこんな話をしていた。
「すべての映像を見たわけではないが、朝倉のボクシングレベルは、正直言ってパンチの強い4回戦程度。ボクシング初経験の4回戦ボーイが、あのメイウェザーに勝つことは、ほぼゼロ。ただ右フックは強い。あれをどう当てるか。レフェリングはわからないが、ボクシングでクリンチは認められている。MMAの組みのテクニックに近いホールドという反則スレスレのクリンチをうまく使い、一発当てられるかどうか。体重差は耐久性につながる可能性があるが、朝倉はパンチを打った後にバランスが崩れるので、ボディなどを楽々ヒットされるだろう。
3ラウンド立っていられれば、朝倉の“勝ち”と言っていいのでは」 注目のゴングは、欧米へのPPV配信の時間帯を考慮して日本時間の午後2時前後になる。(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)
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筆者の予想
朝倉は相手の土俵で勝負を挑む。
3ラウンド終了して、メイウェザーのクリーンヒットの4分の一以上朝倉のパンチがヒットし、立っていたら朝倉の勝!