辺野古新基地建設に対する抗議行動を嘲笑したひろゆき(西村博之)氏が主宰する7日のインターネット番組で、孤独対策に取り組むNPO法人「あなたのいばしょ」理事長、大空幸星(こうき)さん(23)が辺野古の抗議を「座り込み」と呼ぶことについての議論を呼びかけた。共演して意見が衝突した本紙記者が、改めて発言の真意を聞いた。(聞き手=編集委員・阿部岳

 -「座り込みやハンストの選択肢は、入管施設にいる外国人など、他に手段がない人のためにとっておくべきだ」と番組で発言しました。

 「前提として番組でも言ったのは、沖縄で3千日も続く抗議に本土の人間は敬意を示すべきだということです。抗議自体は全く否定していません。ただ、1日1時間以内の座り込みを座り込みと呼ぶのは、この手法が持つ意味を弱めてしまいます。抗議行動と呼ぶのであれば個人的には納得できます」

 -入管施設での非道を許しているのは、私たち多数派の日本人です。辺野古の基地建設を許しているのも。私は番組で、なぜそういう責任ある立場の大空さんが抗議の方法を講釈するのか、と問いました。

 「確かに、誰が本当の弱者なのか、と強弱をつけることは危険性をはらんでいます。入管でも沖縄でも抗議の必要がない環境をつくるのが一番で、それができるのは余裕がある人です。私の団体は1日約千件の自殺相談を受けますが、命がぎりぎりの人に今選挙に行ってとは言えませんから」

 -余裕があるというより、そういう環境をつくってしまった私たちが「ごめんなさい、直します」と言うべきではないでしょうか。

 「私たちが社会を変えようともがいても、傍観者は必ず出てきてしまいます。そういう人たちを含めて、社会の誰にでも講釈する権利はあります。上の世代は保守もリベラルも先鋭化し切って、絶対に埋まらないような溝を掘ってしまった。私はいろんな立場の人が話し合って解決する希望を捨てたくありません」

 -実は辺野古に来たとか。

 「卒業旅行で9月下旬に沖縄に行きました。友人たちを説得して、キャンプ・シュワブのゲート前に短時間だけ寄りました」

 -新基地建設はどう考えますか。

 「反対です。日本の安全保障なのに、沖縄に基地が集中しているのは正しくない。自民党の強権的な進め方も、野党が民主党政権時代の総括をしないのもおかしいと思っています」

 -ひろゆき氏は沖縄に対して差別的な発言を続けています。

 「掲示板に『汚い文字』などと言うべきではありませんでした。事実に基づかない差別や偏見は残念です」

(写図説明)ひろゆき氏主宰のネット番組「ABEMA Prime」で発言する大空幸星さん