ミャンマーチーク屋さんのわが道を行く

日々の出来事と旅と愚痴と文句を勝手に語る日記。

青春時代

2007-09-22 07:46:09 | 

先日、高野秀行著「ワセダ三畳青春期」を読んだ。
あまりに面白くて一気に読んでしまったほど楽しい本であった。

高野秀行氏は、早稲田大学探検部出身の辺境作家で、いくつもの
著書を出している。そのほとんどが、いわゆる探検(旅もの)であるが、
彼はとてつもなく困難でハードな旅(探検、取材)もしている。

そんな中、この本はこれまでと違っていわゆる旅ものではなく、
彼が長いこと住んでいたワセダのボロアパートが舞台になっている。
本にはこのアパートに出入りする個性的な人々の生活や人物像が
リアルに描かれており、現実味があって非常に楽しめる作品である。
わざとコミカルに書かれていないところも良かった。

この本の最後は、筆者がこのボロアパートを出て行くところで終わるのだが、
これがまた、なんとなく切なくて良いのである。
たくさんの思い出の詰まった、住み慣れたアパートを出て行くときの、
寂しげな感覚である。一人暮らしを経験した方であれば、わかるであろう。
(そういえば昔、まだそれほど売れる前の、長渕剛のアルバムの中に
このような心情を唄った歌があった。わかる人はわかるであろう。
まあ、関係ないことであるが…。)
そして筆者の青春時代の終わりと、自分自身のその時代を重ね合わせて
ノスタルジーな気分に浸れる本でもある。

ちなみに、学生を卒業と同時に、何の迷いも無くサラリーマンになった
方々よりも、うだうだと好きな事をやり続け、そのうちに一人抜け、
2人抜け、ふと、周囲を見渡すと自分だけが、地に足の着いていない
生活を送っていて、自覚はしているが、あちら側の社会に行くのが、
未だ踏み切れない…という現在進行形の方、または過去にこのような
スパイラルに陥った事がある方には、この本の確信がわかるであろう。
強力にお薦めしたい作品である。
(実際はそれほど奥深い内容ではありません。あしからず…。)

(このブログを読んで、この本を読まれて、もし、「つまらん本」だったとしても
あくまでも自己責任ということでお願いします。)

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