インドでファッション雑誌「ヴォーグ」が、国内40の都市で
発売することになったそうである。価格は100ルピー(約290円)
だそうだ。インドでは、結構なお値段である。
インドで「ヴォーグ」とは、ちょっとびっくりだが、なんてことはない
すでに、「コスモポリタン」、「マリ・クレール」、「セブンティーン」
などのファッション誌のインド版がすでに出版されているとのことである。
一体どういったインド女性がこのような雑誌を読むのか?疑問である。
一部のリベラルなお金持ちか?はたまた最近増えているという、
外資系に勤める中産階級の女性たちであろうか?
インドの女性の服といえば、ほとんどがサリーである。確かにジーンズや
ブラウス、そしてスカート(しかし必ずロングである)といった洋服を
着ている人もいるが、圧倒的に少数派であったと記憶している。
最後にインドを訪れたのは、もう6年ほど前になるから、この6年の間に
変わったということか…?
このところ、飛躍的な経済発展を遂げるインドでのことである。
およそ11億とも言われるインドの人口を考えれば、このうちの
数パーセントのお金持ちと中産階級をターゲットにしても、十分に
購読者がいるということなのだろう。
私はインド女性と一度も口を聞いたことがないような気がする。
少なくとも、全くその記憶がないのである。良く列車に乗った時などに、
そのような機会が訪れるものだが、なぜかインド女性とは縁がなかった。
しかし、一度こんなことがあった。列車の席に座っていると、ちょっと
骨太な感じの、今時の格好をした大柄な女性が突然、手を叩きながら
私のひざの上に座ったのである。顔は向こうを向いているので、良く
わからなかったが、ちらっと横を向いたときの横顔ですべてを察した。
それは厚化粧と強い香水を付けた、オカマであった。
周囲の人は皆、怪訝な顔をして無視を決め込んでいる。
後で聞いたところ、時々ああやって、インドのオカマは車内でお金を
恵んでもらう為に、やって来るとのことであった。
初めてのインドのオカマにびっくりしたのと、インドのオカマの
境遇や社会的地位は、おそらくそれほど高くない日本と比べても、
はるかに低く、厳しいものだろうと思ったことを記憶している。
それにしても、そのオカマが身に着けていたファッションは、全くインド
らしくなく、なかなかオシャレであったと記憶している。
たとえインドの人々の服装が徐々に変わっていったとしても、根強く
カーストが残る国でもある。社会の急激な変化は、おそらくないであろう。
手前勝手であるが、インドの女性には、これからもずっとサリーを着ていて
ほしいと思う反面、あのオカマの人たちでもファッション雑誌が普通に
買える国になってほしいという、矛盾したふたつの思いがある。