ミャンマーチーク屋さんのわが道を行く

日々の出来事と旅と愚痴と文句を勝手に語る日記。

バックストリート・ファクトリー

2011-09-21 21:05:53 | 時事(海外)
この間、タイに滞在していた時、面白いテレビをやっていた。

いつも滞在している宿は、様々な国のチャンネルを見ることができるホテル
で、その番組は確か、イギリスで放送されているものだったと思う。

番組は、テレビ局のインタビューアが何人かの若者に、いくつかの質問
をするところから始まった。まずは、おしゃれな20歳の女性である。

「今、最も興味のあるものは何?」

「ファッションかな…」

「よく行くお店はあるの?」

「安くてオシャレな店を知ってるわ…」

そしてインタビューアは、その彼女に連れられ、ロンドンにある若者向けの
トレンドの服屋さんに向かい、そこで彼女にさらに質問をしていく。

「この洋服は、どこで作られているのか知ってる?」

「知らないわ…」

彼女が選ぶ洋服の裏に付いているタグを次々と、確認していく。
そこには「チャイナ、インディア、コリア、ベトナム、ポーランド」などの
国名が記されている。

そして、彼女に対して、「この洋服が、どのように作られているのか、体験
してみない?」と問いかけ、一気に画面は、インドの裏さびれた汚い家の中に
ある、縫製工場に変わった。

「バックストリート・ファクトリー」

日本語にすると、「裏通り工場」とでも言うのだろうか?

そしてこの彼女は、こう呼ばれる劣悪な環境下の工場で、そこで働く労働者と
全く同じ1日を共有するのである。ここで働く労働者は1日16時間ひたすら、服
を縫っていく。職場で寝泊まりし、小さな食事を取る部屋以外は、供用のトイ
レとそこにある水道の蛇口が生活の場のすべてである。そしてまた、このトイ
レが汚いを通り越している。

当然のことながら、彼女は途中で「もう、帰りたい」と泣きだす。

すると、スタッフは、彼女を別の部屋に案内する。そこには、10歳から16歳くら
いの少年らが、やはり1日16時間ひたすら、生地にビーズを張り付ける仕事を
しているのである。そこにいるのは皆、田舎の村から半ば売られてきた子であった。

それを見た彼女は、今度は別の意味で泣きだすのである。

まぁ、このような形式で番組は進められ、最後には、体験を終えた彼女のコメントで
終了するのだが、要は、我々先進国の人々の生活を支えているのは、このような劣悪
な環境でしかも、安価で働く人々がいるということを忘れてはならない、ということ
を視聴者に訴えているわけである。

やや、やらせの感もあるのだが、かつてあった「世界ウルルン滞在記」よりも数倍
面白かった。

そして次の日も観てしまった。

今度は20代の男の子だ。

「今、最も興味のあるものは何?」

彼は手に持っているシュリンプ・カクテル(海老のサラダ)を指してこう、答える。

「これだよ!とっても美味しいんだ…」

「じゃぁ、その海老がどこで作られているのか知ってる…?」

そして彼は、インドネシアのとある海辺の、劣悪極まる海老工場にいた。

やはり涙あり、笑いあり、感動ありで、少々やらせっぽいが、背景には流通や社会問題も
併せて盛り込まれており、娯楽プラスアルファーが絶妙であった。

この番組、日本でもやったら絶対受けるだろうな、と思った。

どこかの局の方、ぜひ、お願いします。

コメント