ふっ と想うこと

山・雪・風・人、徒然なるままに--

第九

2011-12-20 20:42:02 | 本と雑誌

中川右介さんの”第九”(幻冬舎新書)を。

不思議なことに、ベートーベンが第九交響曲を作曲したあとの作曲家の多くは、自分の交響曲の第九番を作曲すると、死んでしまいます。マーラーも交響曲第九番を作曲したあと、次の交響曲を作曲するのを躊躇、そして10番を作曲中に、亡くなってしまいます。

”第九”が初演されたときには、ベートーベンには聴力はないのに、どうして、このような美しい曲ができたのか、その出自も興味深いです。この本では、その後、作曲家の手から離れたひとつの”曲”を通しての世界の歴史が書かれています。国威発揚にも使われ、また、社会主義運動家にも受け入れられ、そして、冷戦終了時の”和解”の場面でもこの”第九”は”利用”されてきました。

さらに有名な話ですが現在当たり前に使っているCDの最初の規格は、カラヤンの第九が収録できる長さである70分に設定されていたのも、やはり”第九”らしいエピソード。

ベートベーンの第九は不思議な曲です。ひとつの曲で物語が書けるのも多分、この第九だけ?とにかく、第九とそれをとりまく人たち(ヒトラーも)の歴史がおもしろく書かれています。

日本では不思議なことに年末になると”歓喜の歌”が全国各地で演奏されます。

この本を読んで、あらためて”第九”を聞きたくなりました。

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