前回は、5条、6条で少し授業を延長してしまいましたから、今回はなるべく少なく講義します。できるかな。
今回は13条です。前回では、借地権者は「契約の更新(更新の請求及び土地の使用の継続によるものを含む)」でものすごく保護されていたことを学びました。民法と違う点です。
それでも、ごくごく例外的に終了することはあります。前回の要件を借地権設定者に認められたならです。
では、終了するとどうなるか、民法の賃貸借をまず見ておきましょう。実は、これも理解しておけばすむことです。
・・・・・・・・・・
(使用貸借の規定の準用)
第六百十六条 第五百九十四条第一項、第五百九十七条第一項及び第五百九十八条の規定は、賃貸借について準用する。
(借主による収去)
第五百九十八条 借主は、借用物を原状に復して、これに附属させた物を収去することができる。
・・・・・・・・・・
人のものを借りた場合、終了したら、元に戻してきちんと返さなければいけないのです。当然ですよね。
昔であればビデオを借りたときには、元に巻き戻して返せということですか。今はほとんどDVDですから。
そこで、これを借地に適用すると、まだ建物が建っている状況ですから、それは自己の建物ですから、自分で壊して、きちんと土地上から取り除いて、返せとなるはずです。
ここまでいいですか。
しかし、しかしですよ(強調フレーム)。
借地借家法では、そうしなくてもいいんです。
13条の条文を見てみましょう。まず読んでみてください。
・・・・・・・・・・
(建物買取請求権)
第十三条 借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。
2 前項の場合において、建物が借地権の存続期間が満了する前に借地権設定者の承諾を得ないで残存期間を超えて存続すべきものとして新たに築造されたものであるときは、裁判所は、借地権設定者の請求により、代金の全部又は一部の支払につき相当の期限を許与することができる。
3 前二項の規定は、借地権の存続期間が満了した場合における転借地権者と借地権設定者との間について準用する。
・・・・・・・・・
建物買取請求権を行使しなくてもいいんですが(文末が「できる」となっている)、これを行使したら、どういうことになるのか。
これを読むと、地主が買うつもりがないときでも、買わざるを得ないとなっています。
契約では、ないのです。承諾は要らないのです。こういう権利は、形成権(一方的に権利を形成できる)といいます。
つまり、ここまで保護してんのかい、ということです。終了しても、借地権者は、金銭的に損をしないということです。
2項は、また後で勉強しますので、ここでは1項と3項でいいです。
行使した後は、なんら規定していないのですが、あとは売買契約があったとほぼ同じに処理すればいいことになります。
借地権者が売主、借地権設定者が買主です。同時履行も代金と建物の引渡にはあります。しかも、判例は、敷地の明渡も代金の支払いがないと、正当に拒否ができるといっています。
建物だけ拒否できないですもんね。もちろん、その間の賃料相当は払わないといけませんが・・・人のものを使っていることになりますから。
あと、終了といっても、債務不履行解除で終了するときには、これは適用しません。賃料を払わないで終了したような借地権者にこのような強力な権利を認めてはまずいですね。
あくまでも契約の更新がない場合です。
ということで、借地権者は、「契約の更新」でも「建物買取請求権」でも非常に保護されていることがわかります。実は、もう一つ保護される内容があって、それは次回となります。
民法と違い、借り手を保護する3つの内容、それで保護される権利を覚えることが重要ですね。
今回も、お疲れ様でした。次回は、借地で最も難解である7条8条です。
では、また。
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今回は13条です。前回では、借地権者は「契約の更新(更新の請求及び土地の使用の継続によるものを含む)」でものすごく保護されていたことを学びました。民法と違う点です。
それでも、ごくごく例外的に終了することはあります。前回の要件を借地権設定者に認められたならです。
では、終了するとどうなるか、民法の賃貸借をまず見ておきましょう。実は、これも理解しておけばすむことです。
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(使用貸借の規定の準用)
第六百十六条 第五百九十四条第一項、第五百九十七条第一項及び第五百九十八条の規定は、賃貸借について準用する。
(借主による収去)
第五百九十八条 借主は、借用物を原状に復して、これに附属させた物を収去することができる。
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人のものを借りた場合、終了したら、元に戻してきちんと返さなければいけないのです。当然ですよね。
昔であればビデオを借りたときには、元に巻き戻して返せということですか。今はほとんどDVDですから。
そこで、これを借地に適用すると、まだ建物が建っている状況ですから、それは自己の建物ですから、自分で壊して、きちんと土地上から取り除いて、返せとなるはずです。
ここまでいいですか。
しかし、しかしですよ(強調フレーム)。
借地借家法では、そうしなくてもいいんです。
13条の条文を見てみましょう。まず読んでみてください。
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(建物買取請求権)
第十三条 借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。
2 前項の場合において、建物が借地権の存続期間が満了する前に借地権設定者の承諾を得ないで残存期間を超えて存続すべきものとして新たに築造されたものであるときは、裁判所は、借地権設定者の請求により、代金の全部又は一部の支払につき相当の期限を許与することができる。
3 前二項の規定は、借地権の存続期間が満了した場合における転借地権者と借地権設定者との間について準用する。
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建物買取請求権を行使しなくてもいいんですが(文末が「できる」となっている)、これを行使したら、どういうことになるのか。
これを読むと、地主が買うつもりがないときでも、買わざるを得ないとなっています。
契約では、ないのです。承諾は要らないのです。こういう権利は、形成権(一方的に権利を形成できる)といいます。
つまり、ここまで保護してんのかい、ということです。終了しても、借地権者は、金銭的に損をしないということです。
2項は、また後で勉強しますので、ここでは1項と3項でいいです。
行使した後は、なんら規定していないのですが、あとは売買契約があったとほぼ同じに処理すればいいことになります。
借地権者が売主、借地権設定者が買主です。同時履行も代金と建物の引渡にはあります。しかも、判例は、敷地の明渡も代金の支払いがないと、正当に拒否ができるといっています。
建物だけ拒否できないですもんね。もちろん、その間の賃料相当は払わないといけませんが・・・人のものを使っていることになりますから。
あと、終了といっても、債務不履行解除で終了するときには、これは適用しません。賃料を払わないで終了したような借地権者にこのような強力な権利を認めてはまずいですね。
あくまでも契約の更新がない場合です。
ということで、借地権者は、「契約の更新」でも「建物買取請求権」でも非常に保護されていることがわかります。実は、もう一つ保護される内容があって、それは次回となります。
民法と違い、借り手を保護する3つの内容、それで保護される権利を覚えることが重要ですね。
今回も、お疲れ様でした。次回は、借地で最も難解である7条8条です。
では、また。
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