高橋克典の“法律 だいすきになーれ+ひとり言α”・・・・・ まずは“宅建資格”から

法律系資格を取得しようとする場合、まず民法の勉強はかかせませんね。さらに、好きになって得点源にぜひしたいものです。

意外に解ける”問21・法定利息・約定利息・R2年司法試験の民法をうまく分析“よーくわかる・・・。

2021-07-23 07:28:35 | 司法試験・司法書士・行政書士問題
問21・法定利息・約定利息・・・。

肢の一つでの出題可能性大ですし、宅建試験でも出題されたときのために準備しておきましょう。

・・・・・
問 21 法定利率及び約定利率に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.利息を生ずべき債権について約定利率の定めがないときは,その利率は,最初に利息が生じた時点における法定利率による。

イ.法定利率の割合は,3年を一期とするその期ごとに見直され,必ず変更される。

ウ.将来において負担すべき費用についての損害賠償の額を定める場合,その費用を負担すべき時までの利息相当額を法定利率により控除することはできない。

エ.債務者が貸金返還債務の履行を遅滞した場合,債権者は,法定利率又は約定利率により算定された額を超える損害が生じたことを証明しても,当該損害の賠償を請求することができない。

オ.金銭消費貸借契約の利息について法定利率を超える約定利率の定めがある場合,返済を遅滞した借主は,元本及び返済期日までの約定利率の割合による利息に加えて,当該金銭消費貸借契約を締結した時点における法定利率の割合による遅延損害金を返済期日の翌日から支払済みまで支払わなければならない。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ
・・・・・

肢アですが、○ですね。これで正解は、肢1か2です。
まず、この債権は利息を生ずべき債権ですね。しかし、それについて別段の意思表示がないときですから、その利率は、その利息が生じた最初の時点における法定利率になります。

「その利息が生じた最初の時点」とは、「利息を支払う義務の履行期」ではなく、「その利息を支払う義務が生じた最初の時点」ですね。たとえば、金銭消費貸借の場合には、金銭交付時になります。

肢イは、×ですね。
法定利率は、3年を1期として1期ごとに民法のルールにより変更されます。
令和2年から5年までは、3%ですが、3年後にどうなるかですね。

変動制は、必ず変動するのではなく、過去5年間の平均利率から算出した基準割合を直近変動期の基準割合(令和2年は、0.7とされています)と比べ、この差が1%を超える場合に、1%未満を切り捨てたうえで直近変動期の法定利率に加算とか減算されるというものです。1%未満の場合の場合には、法定利率は変更されないというものです。

肢ウですが、×ですね。
将来において負担すべき費用についての損害賠償の額を定める場合に中間利息を控除するときも、変動法定利率を用いるべきということです(417条の2)。

肢エですが、○です。
金銭の給付を目的とする債務の不履行による損害賠償の額は、原則として、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定めます(419条①)。
この利率により算定された損害を超える損害については、債権者は債務者に対して請求することはできません。

ここで正解は、肢2となります。

肢オですが、×ですね。
まず、利息について法定利率を超える約定利率の定めがありますが、遅延損害金についての定めがない場合です。
この場合は、約定利率による遅延損害金を賠償する義務を負います。
この場合でも約定利率でなく法定利率では、不公平ですね。

なお、遅滞後に適用される利率が当事者間で予め合意されている場合には、損害賠償額の予定がなされたものとなりますね。

では、また。


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